一般的に、転職活動は年齢に比例して難易度が高くなります。特に35歳は一つのターニングポイントであり、「35歳転職限界説」という言葉があるほどです。

人材紹介サービスのリクナビNEXTは、35代後半を対象としてアンケート調査を行いました。

(30代後半の)転職活動は不利であるかという質問に対して、実に半数以上の方が不利であると回答。また他方で、特に不利を感じていない方も3割ほどいることが分かりました。

人によって意見が割れる30代後半の転職活動。この明暗を分けたのはどこだったのでしょうか。

本稿では30代後半の転職活動について、転職市場を踏まえつつ転職活動を成功させるポイントを探っていきたいと思います。

なお、本稿では「キャリアプラン」というワードが頻出します。キャリアプランについて理解が十分でない方は、ぜひ以下の記事と併せてご覧ください。

1.30代後半の市場動向や転職事情

転職 30代 後半

年代によって転職の市場動向は異なります。20代の頃と同じ要領で転職活動を行うのではなく、30代後半として相応しい転職活動を行う必要があるのです。

つまり、転職は年代によって戦い方を変えなければなりません。ここでは、まず30代後半の転職市場動向や転職事情を探っていきたいと思います。

1-1.やや長期での転職活動となる

冒頭と同じく、リクナビNEXTのデータを参照します。

30代後半の転職活動は、1ヶ月以内に決まる方が18%、3ヶ月以内が37%、そして6ヶ月以内の方が22%という結果になりました。その他にも、6ヶ月〜1年ほどかかった方も20%ほどいるようです。

このデータでは1ヶ月以内に転職活動が決まるほうがレアケースで、早くとも2,3ヶ月程度の日数を要していることが分かります。同サイトの30代“前半”を対象とした調査では、6割近くが3ヶ月以内に転職活動を終わらせていました。

ここから、35歳という分岐点は転職難度に大きく寄与していることが分かると思います。既に35歳後半に差し掛かっている方は、戦略的な転職活動が求められるのです。

1-2.定年までのキャリアプランを構築しなければならない

30代後半の転職難度を踏まえると、以降の転職はさらに難しくなるものと想定できます。そのため、30代後半の転職活動では定年退職までのキャリアプランを構築し、その過程としての一歩でなければなりません。

30代後半にもなると、子供の養育費や両親の介護、また自身の老後のための貯蓄など計画的な収入が必要になります。行き当たりばったりではなく、今回の転職によってさらにキャリアアップしていくという青写真を描かなければならないのです。

1-3.35歳以降も転職ができる人は、キャリアプランができている人

冒頭でご紹介した通り、30代後半の転職者は不利だと感じる方とそうでない方に分かれるようです。では、この両者を分かつポイントはどこにあるのでしょうか。

それはずばり、キャリアプランができているか、またそのプラン通りにこれまで職務実績を積めてきているのかに尽きるでしょう。

キャリアプランをもとにキャリアアップの転職を行ってきた方は、そこまで不利だと感じることなく転職活動を行うことができる傾向にあります。

他方で、ネガティブな理由で(人間関係や労働環境に嫌気が差して)転職を行ってきた方は、どうしても不利に感じてしまわれるようです。

その背景には、30代後半を即戦力として採用したいという企業側の思惑があります。これまでの実績を中心にみるため、ネガティブな理由で辞めた方はスキルを積めずに退場してしまったケースだと捉えられてしまうことがあるのです。

1-4.年収を下げないためには、同業種内での転職となる

30代後半の転職で気になるポイントとして、年収は欠かせません。

これも前項と同じで、キャリアプランがしっかりできている方は大きく年収を下げずに転職が可能となります。また、下げないばかりかアップすることも十分にありえるのです。

この場合、キャリアプランにもとづいた転職になるため、基本的には同業種・同職種の転職となります。

しかしながら、キャリアプランが構築できていない方はそうはいきません。実績やスキルが無いと「未経験」に近い扱いにもなるので、年収が大きくダウンしてしまうことも避けられないのです。

2.企業側が30代後半を採用しづらい理由

転職 30代 後半

30代後半の方の活動は、キャリアアップしてきたかどうかが大きなウェイトを占めることが分かりました。しかし、それは転職希望者側の観点に過ぎません。

企業側が30代後半を採用しづらい理由はもちろんそれだけではなく、企業側の都合もあります。ここでは、企業目線に立って30代後半の転職難度を探っていきたいと思います。

理由1.給与の社内調整が難しい

会社には、各社それぞれ給与規定というものが存在します。これは役職や年齢、実績に応じて一律の報酬を支払えるよう定められているきまりです。大きい会社であればあるほど制度が整備されており、かつ高水準の傾向にあります。

この規定があるため、たとえ30代後半の方が給与は安くても構わないので雇って欲しいと申し出たとしても、簡単にそのような待遇で採用することはできないのです。

また、他の社員との兼ね合いの中で給与を調整するため、同じスキルセットであれば20代を採用してしまう可能性が高いともいえるでしょう。

理由2.人間関係が難しい

年齢による仕事のしづらさも看過できないポイントの一つです。

たとえば、平均年齢が20代後半の会社に30代後半の方が入社すると、会社の空気ががらりと変わってしまう恐れがあります。また、年下の上司という状況も発生するので、本人がいくら大丈夫だと言ってもお互いにやりにくさは否めないでしょう。

会社全体の雰囲気を考慮して、選考を見送られてしまう場合も決して少なくないようです。

理由3.柔軟さに懸念がある

30代後半というと、10年以上別の会社で働いてきた実績があります。これまでの経験がプラスに働けばよいのですが、場合によっては今までのやり方に固執してしまい、転職先での新たな方法を柔軟にキャッチアップできない可能性もあります。

企業側は、前職までのルールややり方を持ち込まれても困ってしまいます。30代後半で転職されてきた全ての方が以前のルールに拘ると言い切れるわけではありませんが、リスクとしては考えられるため企業は敬遠してしまうのです。

3.30代後半の転職を成功させるポイント

転職 30代 後半

このようにいくつもの懸念事項がある30代後半の転職活動ですが、いくつかのポイントに絞ることで成功の確度を高めることができます。

まずは以下のポイントに意識しながら転職活動に臨みましょう。

ポイント1.20代と同じような戦略での転職は避ける

20代の転職希望者と同じ戦略で戦ってしまうと、どうしても企業側は安い賃金でポテンシャルのある若手を採用してしまいます。特に未経験の分野では、圧倒的に20代の転職者が有利と言えるでしょう。

そのため30代(後半)での転職は、実績ベースで自分をアピールする必要があります。30代後半での転職はどうしてもこれまでの実績が評価されるキャリア採用となるので、早い段階から戦略的にキャリアプランを固めることが求められます。

ポイント2.キャリアの棚卸しを行う

実績をベースにした転職活動が大切であることを解説しましたが、多くの方は自分の実績を100%把握できていません。また、自分自身では価値のないスキルだと思っていたものが転職市場では大きなアドバンテージとなる場合もあります。

そのために大切なのが「キャリアの棚卸し」です。これまでどのような職務経歴をたどり、どういった成果をあげてきたのか。また、どのようなスキルが身についているのかを改めて洗い出すのです。

ただしこの作業は自分一人では気付けない点も多く、客観的な視点が求められます。そこでは転職のプロフェッショナルにマンツーマンでアドバイスをもらえる「転職エージェント」というサービスを利用すべきなのですが、詳細についてはまとめて後述します。

ポイント3.事実や数値ベースでの実績をアピールする

キャリアの棚卸しで見直した実績は、事実や数値ベースで伝えられるようにしておきましょう。「売上を上げました」という情報だけでは転職先の人事担当者も評価しようがありません。

いくらの予算があり、いくらの売上をあげ、どれくらいの比率で伸ばすことができたのか。また、そのためにどのような工夫や試行錯誤をしたのかまで説明する事が重要です。

転職先の企業は、その実績に再現性を求めます。うちの会社にきても同様の事ができるのかを重視するのです。その点を踏まえてアピールポイントを考えるのが良いでしょう。

ポイント4.企業選定を厳選する

これらのポイントを踏まえた上で、最も重要なのが企業選定です。

転職の難易度が高い30代後半の転職ですが、少しでも採用確度を上げるためには多くの企業へ応募する必要があります。書類の通過率も決して高くないので、いくつもの企業を受けることになるでしょう。

しかしながら、むやみやたらに応募をすればよいわけではありません。自分の実績が活かせること、そして今後のキャリアアップに繋がることを踏まえて選定しなければならないのです。

人材紹介会社のDODAが発表した「転職回数と成功率の関係性」によると、転職は回数を重ねれば重ねるほど成功率が落ちていることが分かります。

ただでさえ難易度の高い30代後半の転職、決して失敗は許されません。できる限り応募企業は増やす必要があるものの、「ここなら働いていけるであろう」という自信がない企業で中途半端な気持ちのまま転職活動をするのは、非常に危険なのです。

そこで利用したいのが「転職エージェント」と呼ばれるサービスです。キャリアプランに応じた求人を多く入手するためには、転職エージェントの利用を強く推奨しています。

4.30代後半の転職で活用したい転職エージェント

転職 30代 後半

転職エージェントとは、担当制の転職支援サービスです。利用することでエージェントと呼ばれる転職のプロフェッショナルが担当につき、マンツーマンで転職をサポートしてくれるのです。

サポート内容の一例は以下の通りです。

  • 現在の市場価値やキャリアプランへのアドバイス
  • キャリアプランや希望に応じた求人の紹介
  • 履歴書や職務経歴書など、応募書類の添削
  • 面接内容のアドバイスや模擬面接の実施
  • 企業との面接日程の調整
  • 面接後に企業担当者へのフォローやプッシュ
  • 内定後の給与交渉、など

応募書類の添削や、面接の対策、また代理での年収交渉など、転職エージェントのサービスは多岐にわたります。なかでも、30代の転職活動で大きなメリットとなるのが「キャリアプランや希望に応じた求人の紹介」です。

転職エージェントは、求職者とキャリアカウンセリングをした上で求人を紹介します。このキャリアカウンセリングとは、転職者のキャリアプランの相談を受け、それに対してのアドバイスなどを行うのです。

キャリアプランを把握した上での求人紹介となるため、多くの求人に応募できると同時に、質も担保することができます。また、転職エージェントを利用することで、自分一人では見つけられないような優良な求人にアプローチを掛けることができるのです。

ただし、転職エージェントはマンツーマンのサービスであるため、担当になったエージェントのスキルが転職の成功を大きく左右してしまうというデメリットがあります。

このデメリットは複数登録をすることで解決することができます。4社程度のエージェントに登録し、その中から特にスキルが高く相性が良いエージェントを2,3社に選定するのです。

詳しい選定方法、そして転職エージェントの詳しい使い方などは以下の記事でまとめています。ここでは、特におすすめな大手の転職エージェントをご紹介していきます。ぜひ全てに登録し、選定をするようにしましょう。

4-1.リクルートエージェント

転職エージェント業界の最大手がリクルートエージェントです。求人数、転職実績、転職エージェント在籍数など、他の追随を許さない圧倒的な規模感を誇ります。

難易度が高くなる30代後半の転職では、どれだけ優良な求人と出会えるのか一つのキーとなります。求人数が多いことは、それだけで単純に強みなのです。

実績に基づいた転職サポートも豊富です。模擬面接といった選考対策も充実しているので、選考通過確度を高めることができるでしょう。

>リクルートエージェントの公式サイトはこちら

4-2.DODA(エージェントサービス)

DODA

出典:DODA

人材紹介会社大手のパーソルキャリアが運営するDODAは、求人数だけでなくサポートの質にも定評がある転職エージェントです。

「経験を活かせる求人数」の指標で利用者満足度1位を獲得しており、キャリア転職が前提となる30代後半の方が利用する転職エージェントとしてはうってつけのエージェントでしょう。

また、在籍しているエージェントはそれぞれ得意領域を持っており、自身のキャリアに近い方が担当になることで業界の動向を踏まえた転職活動が可能になります。

>DODA(エージェントサービス)の公式サイトはこちら

4-3.マイナビエージェント

リクルートと並んで知名度の高いマイナビエージェント。新卒採用ではリクルートを超える求人数を誇り、大手企業からの信頼も厚いことが伺えます。

30代後半の転職では、年収も重要な条件の一つとなります。年収アップに力を入れてるマイナビエージェントは、年収関連の相談をすることで豊富な求人を提案してもらえることが期待できるでしょう。

求人の実に80%が一般の転職サイトに掲載されていない非公開求人です。より多くの求人案件に接触するためにも、登録しておくべきエージェントの一つです。

>マイナビエージェントの公式サイトはこちら

4-4.type転職エージェント

type転職エージェントは、関東圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)ではDODAを追いかける規模の大手転職エージェントです。

IT・Web業界には特に強く、大手からベンチャーに至るまで数多くの求人案件を保有しています。エンジニア専門のキャリアアドバイザーも在籍しているので、技術や志向性を踏まえたキャリアプランの提案が期待できるでしょう。

大手企業とのコネクションも豊富で、面接時には直接つながりのある担当者経由で詳細な面接内容を教えてもらえるケースもあるようです。

>type転職エージェントエージェントの公式サイトはこちら

4-5.JACリクルートメント

ハイクラスの求人案件に強いのがJACリクルートメントです。特に年収500万円以上のミドル〜ハイキャリア層をターゲットとしており、一定の年収がある方にとっては心強いエージェントとなるでしょう。

特に外資系企業の転職サポートには力を入れており、ネイティブの外資専属エージェントも在籍しているほどです。ネイティブならではの視点で英文レジュメの添削や面接のフィードバックを行ってくれるのです。

JACリクルートメントだけが保有する独占案件もあり、外資系企業に興味が無い方でも機会損失をなくすためにぜひ登録しておきたいエージェントです。

>JACリクルートメントの公式サイトはこちら

5.まとめ

転職 30代 後半

転職難易度が高く、不利だと感じている方も確かに多い30代後半の転職活動。しかしながら、しっかりとキャリアプランを積んでいる方にとっては年収や待遇面でも大きなキャリアアップが望める年代となります。

キャリアプランに自信がない方はまずはキャリアの棚卸しを行い、どういったスキルを持っているのかを客観的に把握することがスタートラインになります。

繰り返しになりますが、30代後半の転職活動はキャリアプランが全てです。今現在の状況を踏まえて転職をするのではなく、残りの人生を見据えた転職活動を行うようにしましょう。