起業を視野に入れて将来のキャリア設計をしていると、必ず課題に上がるのが「資金面」。特に資金調達となると、不明なことも多いという人も多いはず。また資金調達を受ける上で、投資家が、投資したくなるような魅力的な会社とはどういう会社か?など、今回は、資金調達を考えている人に、資金調達の基本と、資金調達の多岐にわたる方法などをご紹介していきます。

資金調達とは?

経営者にとって避けては通れない「資金調達」。資金調達とは、企業や、組織などが事業に必要な資金を調達することを言います。資金調達は大きく二分で考えることができます。

・デットファイナンス 銀行や投資機関から借り入れることで資金を調達すること
・エクイティファイナンス 株式を発行して資金を調達すること

資金調達は、起業時の起業資金、また初期費用などの初期投資に使われることが多く、サービスを開発する、人件費など様々なところに使われます。

また資金調達は、起業時だけではなく、ある程度サービスの事業展開が見えるようになったら、サービスや会社をスケール化させるために資金調達をすることも多くあります。

起業を考えている上で課題になる「資金調達」

ベンチャー企業が多く設立され、ITを活用したり、様々なコミュニケーションツールやカルチャーによって資金調達の種類も豊富になりました。また、新商品・新サービスに賭ける思いや情熱に、投資家、ベンチャーキャピタルなどが共感し、投資という形で支援することが可能になり、多くの新しいサービス、新しい企業理念を持った会社が輩出されました。
しかし、あらゆる多くの、起業家もしくは起業を考えている人にとって資金調達は大きな課題となり得るのはなぜでしょうか。

経済産業省、2014年度『第3部 中小企業・小規模事業者が担う我が国の未来』によると、資金調達の課題は大きく3つあると定義しています。この3つの課題により、投資を受けることが、容易にはいかないと示唆されています。

資金調達目的の明確化

資金調達目的の明確化ができていないと資金調達は非常に難しいです。たとえ会社に将来性があり、バリューがあったとしても、具体的にどんな事業に、資金をどのように使うのか、どのぐらいの資金を募集して何を作るのか、などを投資家、もしくは個人に明確にしなければなりません。また、資金を調達した上で、その資金が必要だった課題をクリアする明確なスケジュール、意思の説明も必要になります。

投資リスクへの正しい認識をもつ

ベンチャーキャピタルや個人投資家が増えていく中でベンチャー企業にとって資金調達の方法は広がり、また資金調達もしやすくなった一方で、投資に対するリスクについての認識深めないといけません。小口の投資は手軽なのが魅力的でもありますが、投資は必ず投資家にリターンをしないといけません。出資に対するリターンを明確にする必要もあり、また実現しないといけないという点を理解する必要があります。そのため、出資を受ける人、また出資する人の相互できちんとそれぞれの資金調達手段に伴うリスクをしっかりと認識した上で、自己責任の下で出資を受けるということを認識した方が良いでしょう。

詐欺目的の存在など

資金調達を検討している企業は、調達した資金を利用して、新しい商品やサービスを開発する、会社を大きくすることを前提としています。一方で、金銭を搾取する目的で資金調達をしようとする者が現れないとも限りません。そのため、出資者側もかなり慎重に資金調達を検討します。また、詐欺を目的にせずとも、ベンチャー企業の成功する割合はまだ国内では低いため、資金調達に成功しても必ずしも会社も成功するということはありません。その際に負債を抱えることになる、出資者と揉める可能性もあるというリスクまでも想定するべきでしょう。

資金調達が必要になるシーン

企業が資金調達を行うには、さまざまな理由があります。資金調達を行うケースとして、一番多いのは、新規の事業、会社を立ち上げるための初期投資が足らないことです。新規のサービスの開発、事業の発足、または新製品の生産など、人件費、オフィスなど多額の資金を準備しなければいけないためです。

前述しましたが、起業時だけではなく、資金調達のタイミングは多数あります。
大まかに説明すると創業前、会社設立後、事業拡大時、上場を視野に入れた際、上場時になります。
例えば、資金調達が数回必要になる場合も。創業時に初期投資として資金調達をし、サービス、製品が軌道に乗りある程度利益が出た上で、さらにサービスを拡大するための大型の資金調達をするベンチャー企業も多数存在します。

会社によって資金調達のタイミング、調達額は違うので、よく考えた上で資金調達の計画を立てることをお勧めします。

資金調達の種類は豊富

資金調達の種類ですが、現代では多種多様な資金調達の仕方が存在しております。そこで今回は、資金調達の方法をわかりやすくまとめました。

資金調達の方法として、

・銀行、公的機関からの融資

・経営陣の自己資金の投入

・国の補助金制度

・VC(ベンチャーキャピタル)のような外部の投資家もしくは、エンジェル投資家と呼ばれる裕福な個人からの投資

・個人からの借り入れ(親族、友人など)

・クラウドファンディング

ベンチャーキャピタルとは成長しているもしくは、成長の見込みのあるベンチャーに投資して、最終的にはベンチャーを上場もしくは、買収させるなどして、投資した資金を回収する投資家、投資会社、金融機関などのことを指します。

また起業の資金調達の方法には大きく「出資」か「融資」の2つがあります。
この違いには三つあります。

・返済義務の有無
・議決権の有無
・評価軸の違い

などです。

出資と融資の違い

融資とは、「返済の必要があるお金」です。身近な言葉でいうと、「借金」です。要は「借り入れ」になります。個人や法人が金融機関、もしくは個人などから金銭を借りることで、資金を調達することを指します。個人であれば自宅や車を買うローン、法人ならば起業時の開業資金や会社の運営資金の調達も融資にあたります。融資側のメリット、利益は貸したお金に対する利息等があります。

出資は「返済義務のないお金」です。お金を出資する個人、企業はその会社の将来性や、上場した場合の株価の値上がり、配当、また経営への参画や経営に対する発言権を有することを目的としています。出資を受ける方から見ると、返済義務がないというと有利に聞こえますが、新株の発行や増資の引き受け先を確保する必要性があります。

また経済産業省委託「起業に関する実態調査」(帝国データバンク)によると、

『起業家の資金調達先の割合及び調達額(中央値)を示したものが第3-1-37図である。資金調達先の割合を見てみると、「自己資金」、「配偶者や親族からの出資金や借入金」、「友人や知人からの出資金や借入金」が上位を占めており、いわゆる3F(Founder, Family, Friends)からの融資が多い。また、約2割が「公的機関・政府系金融機関の助成金・借入金」を得ており、起業において政策金融が重要な役割を果たしていることが分かる。調達額の中央値を見てみると、ベンチャーキャピタル等からの出資の金額が最も大きく、ごく少数の起業家がベンチャーキャピタル等から大口の資金を得ていることがうかがわれる。』

とある通り、大半の起業家が起業時に、友人・知人、親族や配偶者などから出資、借り入れをしている割合が高く、次に多かったのが、公的機関や、助成金の利用です。

資金調達のメリットデメリット

次に、資金調達の種類や方法を紹介した上で、起業家や、起業を考えている人が一番気になっているメリットデメリットをご紹介していきます。
自分が立ち上げる事業や会社と照らし合わせながらどの資金調達方を選ぶべきなのかは、やはりデメリット、メリットを知った上で決断するのが良いでしょう。

知人、友人、親族、配偶者からの借り入れ

友人や知人など、親族に借り入れする起業家が多いので、参考にしたい方も多いのでは無いでしょうか。
身近な人から借り入れするには信用、信頼度がある程度必要ですが、条件の自由度に魅力があります。

・メリット

自由な条件で貸してもらえ、返済に関する条件も比較的無いに近しいことが多い。

また、返済期限などに猶予があり、親族、配偶者、知人、友人ならではの信頼関係が基盤にあるため、

利子などもないことが多い。

・デメリット

返済にめどが立たない、事業に失敗したなどの際に、リスクを共有しないといけない。

リスクを共有する際、それが親族だとすると大きな負債等を家族で負うことになる。

また返済ができないと決まった際に、関係性に亀裂が入る。親族間の確執などになりやすい。

公的機関からの融資

1,まず公的機関にある日本政策金融公庫。「新創業融資制度」は株式会社日本政策金融公庫法に基づいて、設立された財務省所管の公的金融機関です。その役割の一部として、新規事業を始める起業家への融資があり、新規事業を始めようとする起業家が、無担保、無保証で融資を受けられる「新創業融資制度」が設けられています。

・メリット

無担保・無保証で、融資するまでの期間が短いのが最大のメリット。
自己資金要件は、創業資金総額の10分の1以上の自己資金があれば融資可能で、他の金融機関と比べて、条件が緩い。

・デメリット

金利が比較的高い。

2,各地方公共団体による「制度融資」ですが、信用保証協会がその融資の保証人になることにより、金融機関がリスクを気にせず、融資できる制度のことを言います。信用保証協会とは、信用保証協会法に基づいて設立された公的機関で、現在47都道府県にあり、横浜市、川崎市、名古屋市、岐阜市の4市にあります。

銀行からの融資

銀行からの融資は、とにかく厳しい審査が特徴です。また必要書類、信用に当たるエビデンスの用意など融資を受けるまでのステップが多いことが特徴です。準備に有する時間が多いですが、その点メリットも大きくあります。

・メリット

厳しい審査を通過すると対外的に信用を得られやすい。銀行から融資を受けていることが信頼度につながるため、別メリットにつながりやすい。支店が多いため利便性もある。

・デメリット

審査が厳しく、書類など多く用意するため時間がかかる。金利も発生する。金利の高さは銀行によって差があります。事業計画書、利益率などを厳しく見るため、起業時に融資を受けにくい。

個人投資家からの出資

海外、特にスタートアップやベンチャー企業の活躍がめまぐるしい国ですと、個人投資家から出資受け大きく成長したベンチャー企業などが多く存在しています。このような創業したての企業、創業時に出資する個人投資家のことを「エンジェル投資家」と言います。通常、個人投資家が企業に出資する場合、出資先の企業は出資金の代わりに株式を提供します。株式を手に入れることによって、出資した企業が利益を上げ大きな会社になる、サービスがうまくいき、会社に企業価値がつくと個人投資家も売却によって利益を得られることも。

・メリット

出資の場合は株式を譲渡するため、返済義務がありません。投資家との関係地で条件を設定できる。
また人脈がある、著名な投資家の場合、会社の信用度につながったり、投資家の口利きにより人脈が増えることも多くあるようです。

・デメリット

個人投資家がどんな人か見極める必要性があります。また株式譲渡をすることで発言権を得るので、事業の推進や、会社の経営方針などに多少の決定権を与えることになります。投資家からのプレッシャーなどで辟易する起業家多くいるので、株式譲渡の際はパーセンテージや条件を細かく共有する必要性があります。

ベンチャーキャピタルからの出資

前述した通り、VC(ベンチャーキャピタル)は、ベンチャー企業に出資し、出資したベンチャー企業が大きくなったり、サービスで利益を出した際に、上場、売却などで利益を上げる投資会社のことを言います。VCは、ベンチャー企業の将来性を見極めた上で、出資を決めます。ベンチャー企業の将来性を大きく評価します。またベンチャーキャピタルといっても、金融系や証券会社のグループ会社としても存在してます。三井住友銀行グループであるSMBCベンチャーキャピタルや、みずほ銀行系のみずほキャピタルなどです。
事業会社のグループ会社で、LINEやDeNAのようなIT系事業会社がキャピタルを設立しているパターンも。

・メリット

VCからの投資を受けて大きく成長したベンチャーが多い。またノウハウや、人脈もあるため、経営者にとって勉強や参考になるなど学びにつながることがあります。追加の資金調達ができたり、大型の資金調達がしやすいのもメリット。株式譲渡するパターンが多いので返済義務もありません。

・デメリット

リターンの確保がいります。上場もしくは売却について目処を立てないと調達が難しい。
また株式譲渡するため、発言権を得たVCの意向が経営に反映されることも。

クラウドファンディング

クラウドファンディングとは、インターネット経由、もしくはWebサービス、その他プラットフォームで不特定多数の人たちから、プロジェクトに資金を募り、資金調達することを言います。

クラウドファンディングには、「購入型」「寄付型」「投資型」などの種類があります。

このクラウドファンディングは近年注目されている調達の方法で、個人から、企業まで出資を得たいと思う人たちのバリエーションが豊富なのが特徴です。企業理念、プロジェクトに共感してくれる多くの人たちから資金を集めることができ、クラウドファンディングが活性な海外では、数億の大型調達をされた企業も多数存在します。

・メリット

出資を募る人のバリエーションが豊かである。起業、中小企業、個人まで、サービスもしくは企業理念に共感されれば資金調達が可能です。また不特定多数なので、指示が多ければ多いほど多額の資金調達も可能です。プラットフォームが多く存在しているので、工数が少なく、手軽に資金調達ができます。

・デメリット

リターンが必要になります。また資金を出資してくれる人が多ければ多いほどリターンの数も多くなります。ある一定の人数に達しない、額に達しない場合、資金調達が不可能なるなどプラットフォームのルール、規定に縛られることもあります。

資金調達ができる会社とは?

資金調達の方法や利点欠点をご紹介しましたが、そもそも資金調達が可能な会社とは一体どういう会社なのでしょうか?もし、起業したとしたらどのような所に投資家たちが惹かれるのかをご紹介いたします。

 投資家が投資したくなる魅力的な会社とは

投資家たちが会社に投資をする際に見極めるポイントはまず、会社の人と事業にあるといいます。
まず一つ目の要素として企業のカラーを決めるといっても過言ではない「経営者」です。

会社の顔といえば、経営者。経営者の意向が大きく反映される会社にとって、経営者がどのような人となりかを判断すると会社の意向や将来性も自ずとわかってきます。会社の運営、スキルなどは新規事業を指標とする上で、自然と身につくものだそうで、あまり投資対象の評価軸にならないのだとか。

著名なエンジェル投資家でもある島田亨氏はメディアで次のように語っています。

1,「変化を受け入れることができる人」

まず、島田氏は変化を受け入れることができる経営者こそ、投資に値すると定義しています。世には変化への対応を得意とする人おり、その変化への柔軟性は、会社が大きな課題にぶつかったときこそ力を発揮できると考えているそうです。

2,「お金に固執しない人」

単なるお金儲けの基準でものごとを考えている人というのは、投資に値しないと考えているそうです。
島田氏は、投資を決める際に経営者と直接の面談やコミュニケーションをとるそうですが、会話の端々でお金稼ぎが目的の起業家はすぐわかると紹介しています。

会社について、投資するかどうかは、事業内容を見ているという島田氏。事業に必要なのはもちろん、需要と供給のマッチングですが、それ以外にも大切なことがあると述べています。

1,事業内容に人の心を動かす要素があるかどうか

成功する事業には、人の心を動かす要素があると考えているそうです。つまり、そのようなエモーショナルな何かが、その商品やサービスに含まれているかどうかです。
つくり手が事業に思い入れやストーリーを持っていれば、製品やサービスはそれに伴い、島田氏から見ても、それを使用するユーザー含めワクワクするものになるので、成功するイメージが持てるのだとか。

島田氏は、投資に値する会社は、人にもサービスにも人の心を動かす力やストーリーがあるとご紹介されています。ストーリーさえあれば、それに伴い共感してくれる人が必ず出るので、経営者に起業経験がない、まだ会社として利益が出ていなくても、投資したいと思う理解者が出てくれるのだそう。自身の言葉や行動で人を動かせるかどうかが重要だと説いています。

参考記事:エンジェル投資家・島田 亨はどんな人に投資をするのか?(前編)

 

自分にとってベストな資金調達方を選ぼう

資金調達の基礎知識から、種類、また資金調達をする上で、投資家が魅力的に思う会社の秘訣などをご紹介しました。この記事を読んでいる方で資金調達が課題だと感じている方の多くの原因は、資金調達の種類を網羅できていなかったり、また自身の立ち上げたい会社が資金調達に値する会社なのか気になっていることが大きな原因でしょう。

資金調達の種類と方法を知った上で、ベストな手段をとる決断ができるようにまず、自身の立ち上げたい会社の企業理念や、事業のストーリーと照らし合わせて資金調達法を決定するのが大切です。