フリマアプリ最大手のメルカリが2018年に東京マザーズに新規上場し、上場時の時価総額は最大で4000億円超が見込まれ、ベンチャー企業の大型IPOが注目されました。多くの若手ビジネスマンが起業を考える際に、心得ておくべき「失敗」とは?

光の影に潜む!起業や独立する際に考えうるリスクとは

有名女優と、ベンチャー企業の経営者が続々熱愛報道され、起業しベンチャー企業を経営するとビッグマネーをつかめる、有名女優と交際できるなど、起業を夢見る人たちにとって2018年は「プチ起業ブーム」が話題になっています。しかし、起業につきものなのがやはり「失敗」。大きな光には、影が潜んでいるように、起業には大きなリスクもついて回ります。そこで今回は、起業や独立を考えている人に起業と隣り合わせである失敗例と、その回避の仕方についてフォーカスしてみました。

起業の失敗定義とは?

起業において失敗した、と判断するには事業を存続すること、継続することが難しくなった、と感じたら一般的に失敗と考えるようです。

事業が存続できなくなる、具体的な例でいうと

・従業員に給与を支払うことができない

・資本金がゼロに近く、増やす手だてがない

・会社がスケールしない

・創業メンバーが仲間割れして人的リソースが足りなくなる

など様々な理由があります。この記事においては、国や公的機関が開示している起業・創業についてのデータで、「開廃業率」「継続率」「生存率」「利益率」と表すことからこの四つを軸に考えて、マイナスが出たら失敗と定義した上でご紹介していきます。

起業における「失敗」の一般的割合

起業における失敗の割合ですが、公的機関による2018年度、最新のデータが現存していないようです。経済産業省の出しているデータで『中小企業白書 2011』の第3-1-11図によると、1980~2009年に創設された企業の創設後経過年数ごとの、生存率の平均値を示したもののうち、10年後には約3割、20年後には約5割の企業が撤退していることがわかり、新規の起業が経済市場に参入しても、創設後の継続率が厳しいことも示唆しています。

※参考 http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/h23/h23_1/Hakusyo_part3_chap1_web.pdf

また、『中小企業白書 2017』の『中小企業のライフサイクル』のデータによると我が国は、起業がしやすく、閉業率も他国と比べて緩やかではあるが、比べて起業する母数が他国と比べて圧倒的に低い、と示しているため、母数の少なさを加味するとやはり継続率は全体的に低いと考えて良いでしょう。

※参考 http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H29/PDF/chusho/04Hakusyo_part2_chap1_web.pdf

民間企業である、東京商工リサーチの調査結果によると、2017年度の倒産失敗、トラブル、ヒヤリとしたことの企業の構成比を、金融・保険業が44.7%(前年40.9%)と最も高く、サービス業などの37.6%、(同33.4%)、農・林・漁・鉱業が36.2%(同26.6%)と続いていることを発表しており、金融、飲食、介護などのベンチャー企業の倒産が増加傾向にあると示しています。

リアルな失敗例

次に、起業における失敗例を見ていきましょう。

国内の事例でいうと、経済産業省の『ベンチャー企業の経営危機データベース』に、経済産業省経済産業政策局新規産業室が、ベンチャー企業にインタビューを実施し、失敗、トラブル、倒産理由等を調査結果として詳しく掲載しています。

『ベンチャー企業の経営危機10選』では、代表例を下記のように掲載しています。
(以下抜粋)
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No.9 “独自技術を獲得のためM&Aを焦り、買収先企業の経営破たんにより連鎖倒産”

下請け経営からの脱却を目指し、独自のノウハウを構築するためにM&Aを積極的に展開。無理な投資もあったが、社長の一存で抑止力が働かなかった。IT不況の中、M&Aの効果は限定的だったが、グループ企業への投資をストップするタイミングを失っていた。グループ企業のうち1社が経営破たんし、その影響を受け連鎖倒産した。

実情を無視した拡大路線による典型的な破綻。また、ベンチャー企業においては、成功の一里塚とされる株式を上場した後にも経営危機が訪れることを示している。 

株式公開を実現した会社が、独自技術の不足を補うためM&A戦略を焦り失敗したケース。 ナンバー2の人材がいなかったことも失敗要因といえる。

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起業に失敗する人、またその行動

起業において、失敗の確率が高いと理解した上で次、起業で失敗しやすい人は総じて共通点があると言われています。現に、過去起業で失敗した起業家や経営者は、振り返って自身の失敗について様々な理由をメディアにおいて語っています。

ここでは、企業において失敗する人、またその行動や理由を詳しくご紹介していきます。

起業で失敗しやすい人の特徴と多く見られる失敗理由

様々な分野で起業したベンチャー企業を、身近で多く見ていた経験者である公認会計士の午堂登紀雄氏監修のprecious.jpの記事、Forbs japanの参考記事などから一部ご紹介いたします。
起業で失敗しやすい人の特徴とは、次のように分かれるそうです。


1,プライドが高すぎる人

まずプライド、自尊心が強すぎてしまうと何かトラブルがあった際や、新規事業をスケール化する上で、社内の人間、チームを頼ることができません。事業がスケールしていかないと利益も上がらないため、自転車操業になり、経営が苦しくなっていきます。

経営者の多くは、自分が人より優れていると思い込みがちですが、全ての分野で優れている人は世界でもほんの一握りです。マーケティング、営業、戦略などあらゆる面で、その分野に長けている人物と協力体制になっていくことが起業を成功する秘訣だと多くの起業家が話しています。

有名な話でいうと、DeNAの創業者として著名である南場智子氏は自身の会社に必要な人材を5年かけて口説き続けた、という逸話もあります。自社に必要で、優秀だと思う人は引き入れ、頼る、ということがわかっているこそ、会社が大きく成功したと考えても良いでしょう。

2,物事に対して柔軟に動くことができない人

多くの起業家が、事業を立ち上げる際に事業計画書を作ります。この事業計画書に固執しすぎると、絶えず変化していく市場の顧客ニーズや、会社のステージ移行において、大きな弊害になることがあります。

例えば、事業がうまくいかず、利益が出ていない場合は、『ビポット』が必要になる際もあります。ピボットとは企業経営における「方向転換」や「路線変更」を表す用語で、近年IT用語としてよく使われています。このピボットに成功したベンチャー企業が日本国内でも多く健在。ピボットによりうまく苦しい事業状況を打開して立ち直ったベンチャー企業が存在しているのです。イーロン・マスク、ジェフ・ベゾス、マーク・ザッカーバーグなど海外で著名な経営者は、その場その場の判断で事業を進めてきたと言います。大事なのは、物事や考えに固執せず、瞬間で判断し動き続ける人であると考えられています。

3,資金においてリスクヘッジができない人

資金においてのリスクヘッジができていない多くのベンチャー企業が、次の資金調達や、新規事業への投資ができずに苦しむことでしょう。例えば、新しく構えるオフィスの賃料と月々の利益はきちんとバランスが取れているか?初期投資、(備品やオフィスの施設など)に資金をかけすぎていないか?削減できる経費は削減し、事業に必要な資金をテスト検証し、クォーターごとに考えられるのかなど、起業した手の経営者にとって「資金」についてのリスクは常について回ります。このリスクヘッジはあらゆる側面で考えられる人こそ、起業に向いていると言えるでしょう。起業したベンチャー企業、起業を考えたものの断念した大きな理由が「所得、収入の不安定さ」「失敗時の負債」が一番であるためです。

4,形から入ってしまう人

まず、起業すると決めた際に、サービスの根幹を決めずに法人化を先にしてしまう、人材を先に集め、組織を作ってしまう、など形から入る方もいます。

例えば、法人化していた方が資金調達をしやすい、組織を最初に作った方がアイディアを出しやすいなど偏った知識や見解から起業をしてしまうと、その後に作ったサービス、事業にマッチせず、うまくいかないなんてパターンも。

ミッションやブランド作りよりも、まずは自分がやりたいと思っている事業やアイディアが想定している顧客のニーズに合っているのか、また市場にそのニーズがあるのか。顧客のニーズを満たすことが、利益を生むということを忘れがちになってしまいますが、会社として一番大事なのは、事業展開をし利益を生むことにあります。法人化や会社のブランドづくりはその後からでも遅くはないのです。

5,顧客のニーズよりも金儲けを重視してしまう人

顧客のニーズを満たすことで利益を生む、と先ほど説明しましたが、この顧客ニーズを軽視し、事業展開を拡大することや、利益を重視して手広く事業をやろうとすると、失敗する傾向にあると言います。

人気ビジネス書を手がける、公認会計士の午堂登紀雄氏『33歳で資産3億つくった僕が43歳であえて貯金ゼロにした理由 使うほど集まってくるお金の法則』によれば、最初から商品ラインナップ、サービスを広げると経営資源が分散してしまい、すべての事業が中途半端になってしまうのだとか。また、事業において一番難しいのが「継続」。この継続には起業家の熱いビジョンや情熱が必要になってきます。金儲けがそれ程、強いモチベーションになるかというと、そうではないことの方が多いと言います。

6,友人と起業してしまう人

多くの起業家が、気の会う友人と起業したいと思うことでしょう。気の会う仲間がいれば苦しいことも乗り越えられるきっとそう思ってしまうことが背景にあります。しかし多くの起業家が、実際に友人と起業したことを後悔したり、失敗の理由と話す人が多くいます。友人と起業するデメリットは、まず友人だから起きる「甘えと依存」です。働き方や、企業に対して、友人だからこそ理解してもらえる、と対話やコミュニケーションをおろそかにすることが多いため、これが失敗の直接的な理由となることも。どういう人と共にやるか、スタートアップは創業メンバーの人生を賭けたプロジェクトです。友人だから、ではなく会社のビジョンや、理念などに強い共感性を互いに持っていること、お互いをリスペクトし、会社を大きく成功させていく必須条件です。また、株式会社Gunosy代表の福島良典氏によると、友人と起業することが一番の失敗パターンだとメディアで語っています。友人であってもスキルの一致、ビジョンに共感できるというのは非常に稀なケースだと考えられるためだそう。

失敗パターンや、失敗しやすい特徴を知った上で、どうやって失敗しないようにするのか?起業に失敗せず、成功を狙うためにはマインド設定と、リスクマネジメントが必要になります。またこの二点を意識することで、起業失敗率を大幅に下げられる理由もご説明します。

起業しても失敗しやすい人の特徴6タイプ

起業家が陥る8つの失敗 手遅れになる前に学ぶべき教訓とは

リスクマネジメントの必要性

まず、リスクマネジメントとは、事業をする中で起こりうる「リスク」を、想定し、あらゆる側面で不利益が起きないようにすること、または被害を最小限にするために「マネジメント」することを指します。このリスクマネジメントがなぜ必要になるかというと、成功している企業の多くがリスクマネジメントの仕組みを念密に構築し、実践していることが多いためです。

リスクマネジメントの効果でいうと、2017年にPwCが、「Risk in Review Survey」の調査結果、最新版を発表し、「その後2年間で利益率が向上した」との回答は、リスク管理に先進的に取り組んでいる組織が59%、その他組織が51%、「収益の増加が見込まれる」との回答は、リスク管理に先進的に取り組んでいる組織が77%、その他組織が71%であり、継続して高い利益率をあげていることを調査結果として発表しました。

※参考 https://www.pwc.com/us/en/risk-assurance/risk-in-review-study.html

企業においてのリスクとは

企業においてのリスクは、2つのリスクがあり、一つを投機リスク、もう一つを純粋リスクといいます。リスクを想定する際や、知識において調べたい場合はこちらの二つを想定すると良いでしょう。

投機リスクとは、利益・損失両方が発生する可能性のある危険性を指し、

純粋リスクとは、企業や組織に対して、損失のみ与える危険性を指します。

知っておきたいリスクマネジメントの流れ

リスクマネジメントを実施していく場合、一般的に、下記のような流れで行います。

〔1〕リスクの発見及び特定
〔2〕リスクの算定
〔3〕リスクの評価
〔4〕リスク対策の選択
〔5〕リスク対策の実施
〔6〕残留リスクの評価
〔7〕リスクへの対応方針及び対策のモニタリングと是正
〔8〕リスクマネジメントの有効性評価と是正というプロセスを経ることとなる(第2-4-10図)。

リスクマネジメントにおける基礎的知識は、経済産業省『リスクマネジメントの必要性』のページを見るとわかりやすいでしょう。

http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H28/h28/html/b2_4_1_4.html

起業の成功はリスク回避と成功事例を見ていくこと

起業においての失敗例をパターンなど含めて見てきましたが、失敗を回避する鍵となるのは、リスクマネジメントの必要性ともう一つ失敗から立ち直り、成功事例を見ていくことも重要です。

成功した起業家の多くが、失敗例を踏まえた上で、成功した要因や、具体的な行動をとる重要性も一緒に説いています。

その理由としては、失敗ばかり恐れていては起業できないということ、リスクヘッジを加味した上で起業すれば成功するチャンスに恵まれる可能性もあるためです。また、起業に必要なものは、起業家のサービスに対しての情熱とモチベーションであると説明しましたが、そこには「成功した時の具体的イメージ」を掴めるかどうかも重要であるためです。

失敗から、リスクマネジメントがうまくいって成功した例

前述では、いかに失敗を避けることができるかを紹介しましたが、失敗からリスクマネジメントを行い、成功した企業もあります。

株式会社メルカリ代表山田進太郎氏は連続起業家として、失敗から学んだこと、また失敗した後にリスクマネジメントを行う必要性や心得をこのように説明しています。

まず、最初の1回目は失敗するつもりでやろうと思っていたそう。何回かチャレンジして失敗しても最終的にうまくいけば、成功したことの方がフォーカスされかこの失敗経験がネックにならなくなると考えたそうです。また、サービスがうまくいかなくなってしまった原因として、サービスを使用するユーザーの目線に立てていなかったと話しています。

また、それは会社内にも言えるそうで、社員が仕事にどれだけの熱意を持っているのか、どんな業務にアサインするべきなのかを事前に共有することが大事だと紹介しています。今では、採用に注力し、人事に多く時間を割き、社員に対しては1on1をするように。

会社をやる、サービスを作る上で、自分1人でできることは限られているため、経営陣、執行役員、社員はもちろんマネージャーレベルも巻き込んで会社づくりをするように意識しているんだとか。

山田進太郎氏は、1回目で失敗したこと、自身に足りないと思ったことを次に必ず生かすことでリスクヘッジし、結果として株式会社メルカリで成功したと考えています。

ここから学べることは、1回目の起業、事業立ち上げで失敗してもそこから学びリスクマネジメントを行えば、成功へ指針を変えることができるということです。

 

デメリットを理解した上で、自信がある人は企業しよう

失敗しても、2回目で成功する可能性がある、と簡単には言えても、失敗には予想もつかない事態になることもありえます。大きな負債を抱えてしまう、起業失敗で無理がたたり、体を壊してしまうなど思いも寄らない苦しみが降ってくることもあるでしょう。

しかし、起業においてリスクマネジメントをしっかり意識していれば、大きな損失を免れる可能性が高いこともご紹介しました。また失敗しても2回目を成功させる!など失敗を恐れない大きな意気込みと起業後の事業展開において具体的なイメージがあるのなら、起業をめどに動き始めても良いのではないでしょうか。

自信を持つ、ということも起業を成功させる大きな要因であると多くの起業家が示唆しています。

起業の失敗について考える上で、大切なことは、成功だけをイメージをするのではなくきちんとリスクを考えた上で、リスクマネジメントを事前に組み立て実践すること。

また顧客ニーズをしっかり理解した上で、高いモチベーションで起業することです。