30代が見えてくると、独立を視野に入れて、開業について考え始める方も少なくありません。また、日本全体の労働形態から見ると、30代目前にして、ぐっと独立する比率も上がるようです。独立開業を視野に入れる上で今回はメリットデメリットや、必要な知識までご紹介いたします。

独立もしくは開業について考えるべきこと

そもそも、独立を考える上で、独立、開業をきちんと理解している方はどのくらいいるのでしょうか?まずは「独立開業」の言葉についてご紹介いたします。

まず「開業」「独立」というものは一体何を指すかご存知の方はどのくらいいるでしょうか?
「独立する」「開業する」と言っても、その方法、また言葉の意味合いも違いがあります。たとえば会社を設立せずに個人事業主(フリーランス)として事業を開始する際は、開業届が必要になるので開業という言葉を用いることもあれば、独立するという表現を用いることもあります。個人が、法人として、会社を設立するという方法もあります。

一番わかりにくい「開業」と「独立」の違いとは?

独立や開業を考える際に、まず個人事業主としてビジネスを開始するか、それとも法人を設立するか、迷うところではありますが、まずこの言葉の違いをまず理解しましょう。
独立と開業、言葉の意味合いはとても似ていますが、言葉のニュアンス、また捉え方は似て非なるものです。

辞書を見ると、
独立…他にたよらないこと。他の束縛・支配を受けないこと。そういう状態になること。
開業…ある事業を新たに始めること。
とあります。言葉の意味でいうとそうですが、ビジネスで使われる開業独立においては、言葉のニュアンスで意味を取られることが多くあります。

独立、とはどういうことを指すのか?

「独立」を言葉の意味で考えると、
1 他のものから離れて別になっていること。「母屋から独立した離れ」
2他からの束縛や支配を受けないで、自分の意志で行動すること。「独立の精神」「独立した一個の人間」
3自分の力で生計を営むこと。また、自分で事業を営むこと。「親から独立して一家を構える」「独立して自分の店をもつ」
4(法律の拘束を受けるが)他からの干渉・拘束を受けずに、単独にその権限を行使できること。「司法の独立」「政府から独立した機関」
5一国または一団体が完全にその主権を行使できる状態になること。「独立を宣言する」「独立したての若い国」「独立国家」
(※出典元goo国語辞書からの抜粋 goo国語辞書は、約29万3800項目(2018年4月現在)を収録した小学館提供の『デジタル大辞泉』を搭載しています。)

と紹介されています。要は組織から離れて個人として活動すること、また個人で活動する際に、起業、開業をすることを指すこともあります。
つまり自分が所属していた組織から離れることを独立と考え、その後に起業・開業するといういくつかの方法をとる、という意味で考えてよいでしょう。独立する上で、個人で働くのが、起業するのか、開業するのか、など細かく方法が分かれるという意味で理解できます。

独立する上での「開業」とは?

開業という言葉の意味は、新たに事業を始めることを指します。起業することにおいても新たに事業をすることになるため、言葉の意味としては近いのですが、「開業」とは、「商売」の事業内容にフォーカスされることが多く、起業における会社という組織を立ち上げるというニュアンスよりも、個人が飲食店や販売店、有資格の職種である医療系のビジネスなどを開く際に使われることが多いようです。

つまり、「独立」が組織から離れ、個人または法人として大枠な意味で活動するというニュアンスで使われます。開業については、「個人での開業届出書」の提出が必要なため、個人が、お店を開く、商売をするなどの意味合いで捉えられることが一般的です。

また個人事業主が事業をスタートする際も、「開業届」の申請がいることから、個人事業主は起業という言葉よりも、開業という言葉を使用する方が多く見られます。

2017年度、日本政策金融公庫 総 合 研 究 所の「2017年度新規開業実態調査」 アンケート結果の概要の調査によると、開業動機は、「仕事の経験・知識や資格を生かしたかった」と考える人が52.8パーセントで、開業業種は、「サービス業」(23.3%)、「医療、福祉」(19.6%)、「飲食店、宿泊業」(14.2%)の順に多いことがわかりました。

まとめると、独立を考えるにあたって、個人事業主とスタートする場合に、開業届の申請をすることや、医療や特別な資格を有する人達の事業開始時に、開業という言葉を使うことが多く、組織を立ち上げて新たな事業をスタートする場合は、会社を設立し法人化することから、起業という言葉を使うと考えるとよいでしょう。

独立、開業に必要な知識を知る

独立を視野に入れ、開業について理解したところで、次に、ライフプランニングにおける開業がどれくらい具体的にイメージできるのか、自身の働き方で理想に近いのか判断するために、独立開業について知識をインプットする必要があります。独立開業は、もちろんですが、サラリーマンとして活動、会社を設立するなどと、必要な書類、手続きに大きな違いがあります。早速、「開業」の流れ、必要な知識をご紹介いたします。

事前準備

どのような内容で開業するかで準備内容が違う

まず、個人が独立開業を考える上で何の業種で開業するかによっても必要なものが変わってきます。大きく分けて2パターンあります。

・お店を開くパターン

飲食店やお店などを開く場合、サラリーマン時代に培ったものとは全く別の方向性で事業を始めたい方も多いかと思います。脱サラして珈琲店やカフェなどを始められる方も同じです。
開業する際に、始めたい事業にどんな資格がいるのか、飲食店やお酒を取り扱う場合、保健所や税務署に届け出の有無があるかなど、事前に情報を収集する必要があります。
また書類の用意や、手続きの場所などはそれぞれ違うので、事前にインターネットなどを駆使し、リサーチすることをお勧めします。

・今までしていた仕事、培ったスキル、資格を活かして開業する場合

独立し、今までと同じ仕事もしくは、資格を活用して開業する場合は、すでに従事していた会社や、周囲の人から多く情報が入るかと思うので事前に調べることは少ないかと思います。
ただし会社から独立するということは、一から取引先や、自身で顧客を獲得していく必要があるため、積極的に在職中に営業回りをする、退職の旨を報告するなどある程度人脈を作る必要があるでしょう。

開業の流れ

1,開業資金の確保

開業資金ですが、開業して3~6ヶ月の運用資金を賄えるくらいの金額が理想的といわれています。
また2017年度、日本政策金融公庫 総 合 研 究 所の「2017年度新規開業実態調査」の調査によると、『開業費用の分布をみると、「500万円未満」の割合が37.4%と最も高く、次いで「500万~1,000万円未満」が29.3%を占める 。「500万円未満」の割合は、3年連続で増加している。』
とあります。また開業資金の外部からの調達額については、
『開業時の資金調達額は平均で1、323万円であった(図-16)。調査開始以来、最も 少なくなった。 ○ 資金の調 達先は、「金融機関等からの借入」が平均891万円(平均調達額に占める割合は67.3%)、「自己資金」が平均287万円  (同21.7%)であり、 両者で全体の89.0%を占める。』
と紹介しています。

外部から資金調達をする場合は、日本政策金融公庫の新創業融資制度などがあります。
この制度は新たに事業を始める人や事業を開始して間もない人に無担保かつ保証人なしで運転資金や設備資金を融資してくれる制度になります。また、都道府県や市町村区などの自治体が窓口となっている制度融資もあります。日本政策金融公庫の新創業融資制度も自治体の制度融資も、申込から融資までは時間がかかるというデメリットがあるため、やはりある程度自己資金を確保してからの利用が良いでしょう。また、政府の制度に関しても、計画的に利用することをお勧めします。

2,退職の手続き

開業資金にめど、もしくは確保できたら会社に退職届を出します。
有給を消化したりするのももちろんですが、一番重要な手続きは健康保険と国民年金の手続きでしょう。
サラリーマン時代と違って、加入の手続きが必要になるので、事前に手続きの仕方を調べておく必要があります。

3,開業届を出しに行こう

開業届の正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」といい、この書類を税務署に提出することで、事業を開業し、納税をすることになります。
開業届は、原則として開業から1か月以内に提出することが推奨されています。
また、開業届の書き方や提出の仕方などは、国税庁のホームページから手続きの仕方を事前に調べるのが良いでしょう。また合わせて、開業届と青色申告承認申請書を提出するのが後々手間がかからずおすすめです。開業した2ヶ月以内に提出する青色申告承認申請書は、青色申告特別控除で税金が控除されたり、赤字の繰り越しなどの特典を受けることができるのでこの書類を提出すると様々な箇所で節税になります。開業届と合わせて一緒に提出する方がほとんどですので、参考にしましょう。

開業届の書類は最寄りの税務署、もしくは国税庁のホームページからダウンロードすることが可能です。

国税庁

こちらの提出が完了すると税務署から、完了の旨が記載された書類が送付されます。

独立開業のメリットデメリットを考える

独立開業のメリット

独立開業のメリットしては、自由な裁量労働、またスキルや実績があれば高収入も可能になるイメージがあるかと思います。働く場所は、端的に言えば海外でも構いませんし、自宅でも。
また、休暇届も必要ないため、自由なライフワークを実現することができます。改めて、独立開業のメリットについてご紹介いたします。

・自己実現を叶える、キャリアの形成になる

独立開業のメリットとして、自己実現、キャリア形成の一つになることです。有資格の職業の方はそれこそ、資格取得までの努力が生かされるでしょう。また、自分の思い描いていた働き方の実現や、ワークバランスが取れる働き方を目指したい方は大いに独立開業はメリットがあるといえます。

・会社から所属を外れることで自由な働き方になれる

会社に所属せず、自分で開業もしくは独立すると自由な裁量の中働くことになります。フレックス制度が取り入れられた会社が多くなってきましたが、まだまだカルチャーとしては浸透していないことが現状です。休暇においても始業時間、就業時間が自由になれるので、自分らしい働き方を選択することができます。

・定年退職の概念がなくなる

独立開業をすると、定年退職という概念がなくなります。働きたいと思えば、いくつになっても働くことができますし、働きたくない!と思えば、早めに退職することも可能です。

・会社に所属するからこそのストレスから離れられる

例えば、会社での人間関係に悩んでいる人、会社のカルチャーに馴染めずに悩んでいた方も多くいるかと思います。会社からの所属を外れ、独立開業するということはそのようなすとれすからも解放されることになります。独立開業は、一人で業務をすることも可能ですし、誰かと一緒にすることも可能になります。共に働く人を選択できるという利点があります。

・実績や業務によっては収入が上がる

独立開業で、うまくで成功し商売が軌道に乗れば、サラリーマン時代よりも多くの収入を得ることができ、成果をあげることで収入の増加が見込めます。また、クライアントをいくつか抱えることで、収入におけるリスク分散もできます。

独立開業のデメリット

独立開業は会社に働き方、キャリアが左右されないメリットはあるものの、もちろんデメリットも存在します。それは、自分で事業始めるからこそ、自己責任やリスクなどが伴うことも。メリットとあわせてデメリットも確認しておきましょう。

・事業責任が発生する

独立開業をすると、もちろん、事業責任者は独立開業した自分自身にあります。そのため、事業がうまく軌道に乗らない、利益が出ない、顧客からのクレームに関しても全責任が自分に降りかかります。

・様々な面で「資金」が必要になる

独立開業は、前述でも少し触れましたが、開業資金、運転資金、設備資金など、初期投資も含めてお金の準備が必要になります。オフィスのレンタル代、人を雇うなら人件費など。前述でもあるように開業において一番の課題は資金面ですので、資金において計画性が必要になります。

・収入は常に安定するわけではない

会社に所属していると会社の利益にかかわらず倒産するということを除いては安定的な収入が見込まれます。しかし独立開業になると、自分自身が顧客を開拓し、利益をある程度維持しないと生活が苦しくなる、ということもあり得ます。
また、利益が生まれないと最悪、負債を抱えるなどの大きなリスクが発生することもあり得るでしょう。

・定時がないからこそ律した時間のコントロールが必要

会社に所属しているとある程度、稼働時間の目安が取れますが、独立起業すると稼働と収支のバランスを見極めることに苦労する方もいます。稼働と収益のバランスこそ、時間のコントロールが必要になるため、サラリーマン時代の方が稼働時間が少なく、収支とのバランスがよかったということも。

独立開業した人は独立開業についてどう考えているのか?

独立開業を考えている人にとって、実際に独立開業した人のリアルな意見は参考になるはず。そこで、次に独立開業をした人の現状、課題点などをご紹介します。

独立開業に満足している人はなんと7割!

独立開業をした人たちの満足度はなんと7割!独立開業した人の多くが、開業したことに関して満足しているのは、やはりメリット面が大きくもたらされたためと考えて良いでしょう。
日本政策金融公庫 総 合 研 究 所「2017年度新規開業実態調査」によると、開業した理由について、
『現在の事業に決めた理由は、「これまでの仕事の経験や技能を生かせるから」(43.6%)、「身につけた資格や知識を生かせるから」(21.5%)、「地域や社会が必要とする事業だから」(14.1%)の順に多い。 ○ 開業者の性別ごとにみると、「これまでの仕事の経験や技能を生かせるから」は、 男性、女性ともに最も多い。』
とあるように、資格や自分のスキルを活かしたいと言った理由で開業されている方が多くいます。
その上で、こちらの結果を見てみましょう。

『開業の総合的な満足度をみると、「かなり満足」が25.0%、「やや満足」が44.3%となっており、約7割が開業に満足している。項目別に「かなり満足」と「やや満足」を合計した「満足」の割合をみると、「仕事のやりがい(自分の能力の発揮)」 は79.1%、「働く時間の長さ」は49.6%、「ワークライフバランス」は47.1%、「事業からの収入」は23.3%となっている。 ○ 今後の方針については、売上高を「拡大したい」が91.8%、商圏を「拡大したい」が61.8%となっている。』

とあるように、開業した人の多くが開業に満足していることがわかりました。つまり、自身の資格やスキルを活かしたいと思い開業した人の多くが、それが実現できている、自分の理想の働き方ができていると感じているため、このような結果になったと考えられます。

また、開業時に関しての課題は初期費用となる資金面と資金調達でしたが、興味深いことに、
開業した後の利益は概ね良好なことがわかりました。
『~約半数の企業が予想月商を達成~ ○ 現在の月商が「100万円未満」である割合は40.9%で、2016年度と比べて増加している。予想月商達成率は、「100~  125%未満」が22.8%、「125%以上」が27.7%で、約半数(50.5%)の企業が予想を上回る月商を上げている。 ○ 現在の売上状況が「増加傾向」である割合は59.4%となった(同③)。現在の採算状況が「黒字基調」である割合は61.8%となった 。』
初期の資金面、また顧客の獲得などに課題点は残るものの半数が黒字であることを考えると、独立開業に関して、前向きに考えている方が多くいると考えて良いでしょう。

独立、開業をして儲かるのか?

ライフワークバランス、収入面での理想は実現可能?

独立開業した上で、一番気になるところが、「稼げるかどうか?」であると思います。多くの人が、少ない稼働時間の中で自分のスキルや資格を十分に活かし、サラリーマン時代と比べて収入面、働き方でメリットが出ることを目指し思い独立開業を視野に入れます。実際、これらの面で自分の思い描いた理想の働き方、ライフワークバランスを実現できるのでしょうか?そこで実際に、独立開業された方の、参考例をご紹介いたします。

労働時間は半分、稼ぎは二倍以上

2017年にPRESIDENT Onlineで掲載された記事「独立・起業で大稼ぎする5つの方法」では、ある一人の男性の独立についてフォーカスされています。こちらで紹介された男性は次のように独立し、ライフワークバランスの確立に成功しています。
マッキンゼーでコンサルタント、先端技術担当エグゼクティブを経て独立したビクター・チェン氏。彼は、妻が妊娠時に、180日間も出張で家を空けた経験から、もっと良い夫、父になるべく独立を決意したそうです。
彼はコンサルタントとして独立しましたが、仮にマッキンゼーに残って役員に昇級したとしても、独立した彼の報酬はそれをはるかに上回るそう。しかし、マッキンゼーで勤務していたら週80時間にも達していただろう労働時間は、独立して30~40時間と半減。出張もなく、午後は毎日2人の娘の相手をして過ごし、ビジネスコーチや、マーケティング専門家として、また講演者・著作者としても活躍しているため、収入及びライフワークの確立に成功しています。本人曰くとても快適な生活を送れているんだとか。
もちろん、チェン氏はそのバッググラウンドと人脈、独立した際に受けた業務などで成功を収めているからこそ、ワイフワークバランスを確立することができたのでしょう。

独立開業は果たして儲かるのか?

チェン氏のように、独立開業したからと言って必ずしもライフワークバランスが取れ、収入も上がるは限りません。こればかりは、本人がそれまで培ってきたスキル、キャリアにも比例するためです。
また人脈や実績などがあっても必ずしも成功するとは限りません。
なぜなら、チェン氏は「成功のために最も大切なことは、マーケットの需要を認知できることで
フリーになるとき『自分はXを売りたい』という思いで仕事を始める人が多い。『顧客はYを求めている』という認識に欠ける人ばかりなんです」と紹介しているからです。つまり、市場における需要と、独立開業する人の事業、もしくはスキルが供給にマッチングしているかということが何よりも独立に際して成功の角度が高くなる要素だということです。

また、日本政策金融公庫 総 合 研 究 所「2017年度新規開業実態調査」によると、
『独立開業に際して開業時に苦労したこととして、「顧客・販路の開 拓」(50.5%)、「資金 繰り、資金調 達」(47.0%)を挙げる企業の割合が高い。』とあります。
スキルや実績が伴っていても、顧客がいなければ利益につながらないのです。

 

2つの課題にクリアできているなら独立開業して成功する角度は高い!

いろいろな懸念、リスクなど、検討すべき事項があるとはいえ、独立開業すると、向いている人にとっては大きくワークライフにエンジンをかける要素ともなりえます。もし、現状課題として考えられる二つの要素、「開業資金の調達、資金繰り」と「顧客、新規顧客、販路の開拓」に計画性と自信があるなら独立開業は大きく人生の工場させる選択となり得るでしょう。