資産運用を始める際、独学で学ぶだけではなく専門家のアドバイスをもらえれば知識の幅が広がるもの。資産運用の専門家といえば、ファイナンシャルプランナーを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。

しかし、実際に相談したことのない人のなかには、ファイナンシャルプランナーがどんな知識を持っていて何を行うか分かっていない人もいるかと思います。

そこで、本稿ではファイナンシャルプランナーに相談したほうがいいことと、依頼に際してのリスクを軽減するために得ておきたい事前知識について紹介します。

1. 資産運用をファイナンシャルプランナーに相談したほうが良い理由とは

 

実は資産運用の相談ならファイナンシャルプランナーに限らず、証券会社や銀行でもアドバイスを受けられます。

実際にそれらの職員のなかにもファイナンシャルプランナーの資格を取って、経営者にアドバイスをしている人がいるのも事実です。

しかしファイナンシャルプランナーの強みは、「将来的なキャッシュフローを含め、客観的に資産運用についてのアドバイスができること」だといえます。
ファイナンシャルプランナーの資格を持っていない職員でも、おすすめする商品の詳細についてはよく知っているでしょう。

その一方で、相談者の資産状況を把握しているわけでないので、「総資産や収入状況から考えて、その商品を購入したほうがいいかどうか」の客観的な判断はできません。

それに対して、ファイナンシャルプランナーは相談者の現在の資産や収入状況を踏まえて、将来的なキャッシュフローまで把握した状態でアドバイスをくれます。より客観的な視点でアドバイスをくれるという点で、ファイナンシャルプランナー資格を持っている人に相談するのは資産活用において有効なのです。

また、その他の資産運用に関連する業種においても同様のことがいえます。
たとえば、税理士や保険代理店などでは、節税の効果的な方法や有利な条件で加入できる保険商品の情報を仕入れられるでしょう。

しかし、相談者本人の資産状況や収入状況に基づいて、どのような資産運用が正しいかといったノウハウはありません。ファイナンシャルプランナーが資産運用の専門家と呼ばれるのは、「個別の商品の知識だけでなく、相談者の現時点の資産と将来の家計状況を総合的に判断してアドバイスをくれるから」なのです。

2.経営者が資産運用の相談をファイナンシャルプランナーにするメリット

ファイナンシャルプランナーに相談すると、どのようなメリットが得られるのでしょうか。この章ではファイナンシャルプランナーを利用するメリットについて記載していきます。

適切なアドバイスを受けられる

日本では将来的な年金の受給額の減少や受給開始時期の繰り延べなどが噂されており、老後に漠然とした不安を抱いている経営者も多いのではないでしょうか。

しかし、ファイナンシャルプランナーに相談すれば、現状の資産や収入状況から将来的なキャッシュフローのシミュレーションを行い、適切なアドバイスをもらえます。

この長期的なキャッシュフローを正確に計算するためには、家族構成や住宅ローンの有無趣味の支出金額など、非常に細かなところまで気を配って考えなければなりません。仕事で忙しい経営者にとっては、自分で計算するのはなかなか難しいのが現実です。

しかし、ファイナンシャルプランナーに相談すれば、将来的な問題点を早期に発見し、対策を練ることができます。

安心感がある

ある程度の高収入の経営者であれば、それなりの人脈があり、高所得者同士で保険や金融商品の情報交換をしている人もいるでしょう。たしかに、それらのうちの何割かは節税対策や将来への不安に対して有効かもしれません。

しかし、あくまでもそれは素人同士の情報交換でしかありません。

素人は1つの保険商品や金融商品の良し悪しだけで判断してしまいがちですが、プロのファイナンシャルプランナーはそうではありません。現在の金融資産から将来的な家計の収支状況までを総合的に判断してアドバイスをくれます。

また、多くの顧客から相談を受けているので、過去に同じような事例で上手くいったノウハウを持っているケースも多いでしょう。

人生はいつ何が起こるか分からないですが、状況の変化に応じてアドバイスをしてくれるのもメリットだといえます。特に日本ではお金の話はタブー視されがちで、1人で抱え込んでいる人も多いのではないでしょうか。

しかし、1人で抱え込んでいるだけでは、将来的な不安は決して消えません。
過去の実績を豊富に持っている専門家に相談することで将来に対する安心感が生まれることでしょう。

豆知識:そもそもファイナンシャルプランナーってどんな人?
ファイナンシャルプランナーは厳密にいうと国家資格の「FP技能士(1~3級)」と、日本FP協会が資格認定する「AFP」または「CFP」の3つがあります。
FP技能士と日本FP協会が認定する資格は、どちらも一般的にファイナンシャルプランナーとして名乗ることができ、CFPはAFPの上位資格という位置づけです。

資格の難易度はAFPがFP技能士2級、CFPがFP技能士1級と同等程度です。
FP技能士3級は合格率がおよそ75%と高いことからも分かるとおり、日常生活における基本的な金融知識を試す試験となっています。
反対にいうと、それほど深い知識は問われないので、経営者の資産運用における悩みに答えられるレベルではないケースが多いです。
経営者が相談するなら2級(またはAFP)以上の資格を持っているファイナンシャルプランナーに相談するとよいでしょう。

3.ファイナンシャルプランナーに相談する際の心得6つ

ファイナンシャルプランナーに相談することでお金に関するさまざまなアドバイスを受けられますが、注意しておくべき点もあります。

この段落ではファイナンシャルプランナーに相談する前に心得ておきたい項目を7つ紹介します。

ファイナンシャルプランナーは商売としてアドバイスしている

ファイナンシャルプランナーに相談するにあたって事前に理解しておいたほうがよいのは、「彼らはボランティアでアドバイスをしてくれるわけではない」ということです。

経営者であれば税理士が保険会社と連携して、保険商品を提案していることがあります。ファイナンシャルプランナーも同じように、保険代理店のようなビジネスを展開して、マージンを受け取っているパターンがあるのです。

実際にファイナンシャルプランナーはお金に関する相談を受けるので、話の流れで保険商品の話題になることもよくあります。

ファイナンシャルプランナーとは将来の資産運用をライフイベントごとに見直しながら一緒に考えていくケースが多いです。そのため、長い付き合いになるはずと、つい気兼ねして勧められた商品に加入してしまいがちですが、お金に関する相談をしているのに無駄な保険に入るのは本末転倒な話です。

また、もし性格的な相性が合わないと感じたら、長期間に及ぶ関係が苦痛になってしまう前に契約を見直しましょう。

金融商品のなかには途解約すると損失が発生するものもあります。ファイナンシャルプランナーとの不仲が原因で中途解約をしてしまい、損失が発生するのは非常にもったいないです。

ファイナンシャルプランナーも商売でアドバイスをしていることを意識して、遠慮せずビジネスとして向き合うことをおすすめします。

運用経験は人によって違う

証券会社の窓口を利用した経験を持つ人はよく理解できることですが、いくら専門家といえども担当の腕前は人によってまったく異なります。専門家といえども経験の浅い人はどうしても教科書通りの対応になりがちです。

しかし、相場は常に変動しており、毎回同じように動くとは限りません。そこでものをいうのが経験です。

ファイナンシャルプランナー資格は2級までなら、実務経験なしでも取得できてしまうため、実際には実務経験がないファイナンシャルプランナーが相談を受けていることもあります。

基本的に安定した運用を行うためには、分散投資が一番良いとされます。この分散投資をするためにはバランスが大切ですが、ある程度の経験がないと最適なバランスを保つのは難しいです。

つまり、信頼できるファイナンシャルプランナーとは、数多くの顧客にアドバイスをしてノウハウを積み上げてきた人だといえるでしょう。

FP1級は一定以上の実務経験がないと受験できない資格です。そのため、実務経験豊富なファイナンシャルプランナーに相談したい場合は、1級の資格保持者を選ぶのが無難だといえます。

2級の試験を試せる程度の勉強をする

ファイナンシャルプランナーはお金の専門家ですが、人間である以上、常に正しいアドバイスをしてくれるとは限りません。最終的にどのような運用を行うかを判断するのは、依頼者本人です。

運用が成功するかどうかの責任も依頼者本人にあるため、少しでも運用の成功率を上げたい場合には、依頼者本人も勉強しておくことが重要となります。ファイナンシャルプランナーの意見を鵜呑みにせず、疑問点があればすぐに質問できるようにすることで、コミュニケーション不足による失敗は軽減できるでしょう。

また、知識を蓄えた上でファイナンシャルプランナーに相談することで、より深く相手の話を理解できる点もメリットと言えます。スムーズな相談をするためにも、可能な限り自分で知識を蓄えるよう心がけましょう。

さらに、ファイナンシャルプランナーの学習内容は金融商品や相続などの個人資産に関することだけではありません。税金の仕組みや節税の方法についても学べるのでビジネスにおいても無駄になることはないといえます。

ただし、3級の試験は比較的簡単で、日常生活においてもあまり有意義な知識とはいえないため、できるだけ2級程度の勉強をするのが望ましいです。
中小法人の資金計画や法人税に関する項目など、3級では出題されない項目には経営者にとって役立つ情報もたくさんあります。2級の勉強をすることは経営面においてもメリットになるでしょう。

期間と目標を決めておく

運用において期間と目標を決めておくことは大切です。
なぜなら、具体的な目標を定めておくことで、成功か失敗かの判断が容易にできるためです。

失敗した場合は、なぜ失敗したかを反省して次にどう活かすかを考えることが大切だといえます。この経験に基づいて、同じ投資を続けてもよいし、違う方法を試す場合にも1つの指標になるといえるでしょう。

また、具体的な目標を決めておくことで、運用が成功しやすくなるメリットもあります。投資では利益が出ているときはついつい気が大きくなって、いつまでも相場が上昇するような錯覚に陥ることがあります。

しかし、現実には上昇し続ける相場はないので、そのままではいつの日か利益が減少してしまうでしょう。
このような場合でも、目標値を決めておくことで利益が出ているタイミングで売りそびれることを防げます。大切なのは最初に決めた運用期間が近づいたときに、次の手を考えておくことです。

相場は常に変動しているので、運用期間が終了してから考えるのでは機を逸する可能性があります。資産配分のリバランスはその人の資産状況によって最適な構成は異なりますが、常に心がけておくことが大切です。

いくらまで運用資金に回せるかを事前に確認する

一般的に運用にあたっては目標利益を設定します。運用資金が多ければ多いほど目標利益を高く設定でき、分散投資ができるので比較的安全に運用が可能です。そのため、運用資金として使えるお金がどれぐらいあるかを事前に確認しておくとスムーズに相談できるでしょう。

たとえば、月給80万円の人がかならずしも月給50万円の人よりも運用資金が多いとは限りません。
それは、住宅や車のローンがある場合もあり、毎月の生活費にいくらかけているかはその人の金銭感覚でまったく異なるためです。

ただし、見栄を張るのだけはやめておくべきでしょう。
運用資金を多く申告して、日常生活が苦しくなっては相談する意味がありません。あくまでも日常生活で使わない余った資金を運用へ回すことが大切です。

どれぐらい運用資金へ回すか自分で判断できない人は、年収や毎月の生活費、ローンの状況などを整理してファイナンシャルプランナーに相談すれば概算値を示してくれるでしょう。

リスクの高さとリターンの期待値を把握しておく

運用方法にはさまざまなものがあります。
一般的に株や投資信託は投資のなかでも比較的リスクが高く、債権や保険商品で運用するほうがリスクは低いです。最もリスクが低いといえるのは銀行預金でしょう。

ただし、銀行預金といえどもリスクがゼロというわけではありません。銀行が倒産すると1000万円以上の普通預金は保護されないということは頭にいれておく必要があります。

また、一般的にリスクが高いとされる株や投資信託でも、銘柄によってリスクはピンキリまであることを覚えておいたほうがいいでしょう。たとえば、日経平均に連動するインデックス投資や債権を中心に組み込んだ投資信託などは、比較的低リスクで債権よりも高い利回りを期待できる商品もあります。

運用方法によって期待できる利回りは大きく異なるため、あらかじめ知識を得ておけば、目標値を上回るかどうかについてファイナンシャルプランナーに相談しやすくなります。個別の商品の詳細まで覚える必要はないが、リスクの高さとリターンの期待値についてはある程度把握してから相談することをおすすめします。

4.知っておくと便利!ファイナンシャルプランナーに相談できること

ファイナンシャルプランナーに相談できることは、将来設計だけではありません。

事前に相談できることを知っておくと、ついでに話を聞けるので助かることもあるでしょう。そこで、この段落ではファイナンシャルプランナーに相談できることについて解説していきます。

老後・将来の設計

ファイナンシャルプランナーに相談することとして、多くの人が真っ先に思いつくのが「老後や将来の人生設計について」でしょう。実際に最も多くの人が相談する項目だといえます。

具体的には子どもの大学進学などでお金がたくさんいる時期や、老後に資金不足に陥らないかといった問題点を洗い出し、事前に対策方法を教えてくれます。

相続

資産がそれなりにある経営者にとって相続対策はとても重要な問題です。

相続対策には贈与や会社を活用した方法などがありますが、基本的には相続人へ財産を徐々に移していくしかありません。金額によっては贈与税の対象となってしまうので、急に財産を相続人へ譲渡することはできず、十分な効果を得るには時間がかかる点はデメリットだといえます。

ファイナンシャルプランナーに相談するのは基本的に将来の資産運用に不安を抱いている人が多く、老後を迎えるまでには年数に余裕がある人が多いです。相続対策をファイナンシャルプランナーと一緒に考えていくというのは、長期的な視点に立って考えるという点においては資産運用と同じなので合理的だといえます。

ファイナンシャルプランナーは相続対策の専門家というわけではありませんが、弁護士や税理士と連携している場合も多いので、必要に応じて適切なアドバイスを期待できる点もメリットです。

保険

一般的に資産が少ない人ほど、万が一のことを考えて保険に加入しておいたほうがよいとされています。一部の超富裕層であれば保険金がなくてもお金に困ることはありませんが、それらの人を除いて保険に加入することなしに安定した人生計画は立てられないものです。

ただし、保険商品の数は膨大で、保険の種類も終身や定期などさまざまであるため、どれを選んだらよいか分からない人も多いでしょう。保険選びに迷っている人は、ファイナンシャルプランナーに相談すると相談者に適した保険を教えてくれるので聞いてみるとよいです。

教育資金

教育資金は人生の3大支出に数えられるほど、合計すると大きな出費を伴います。基本的には子どもが大きくなるほど教育資金もたくさん必要になるため、子どもが小さいうちにどれだけ貯蓄できるかがポイントだといわれています。

ただし、どれだけ貯蓄したらいいかというのは個人ごとに進学先が異なるうえ、教育資金の貯め方も「学資保険を活用する」「貯蓄だけで対応する」というようにさまざまです。

家庭の状況によって適切な準備の仕方は異なるため、相談者に合わせて柔軟にアドバイスをくれるファイナンシャルプランナーはとても頼りになる存在だといえるでしょう。

住宅資金

住宅資金もまた人生の3大支出に含まれる、大きな出費の1つです。
すでに住宅ローンを組んでいる人は、「今後も家計が赤字にならずにローンを支払い続けられるかどうか」や「一括返済のタイミング」についてのアドバイスをもらえます。

また、将来的にマイホームを購入予定の人は、「人生においてどのタイミングで購入するとベストなのか」について相談すれば具体的なアドバイスをもらえるでしょう。

節税

資産運用をして資産を増やすだけでなく、支出を抑える方法としてiDecoやNisaといった節税しながら投資できる制度にあらためて関心を持っている人も多いと思います。

ファイナンシャルプランナーは将来に発生する税金を予測し、対策を考えるタックスプランニングについての知識も持ち合わせています。その知識を活用した節税方法をアドバイスしてくれることもあるというのは覚えておくとよいでしょう。

節税方法には同族会社の役員給与の取り扱いや、保険料の損金算入方法など、ビジネスに応用できるものも含まれています。個人的な相談だけでなくビジネス面においても良きパートナーとなる可能性のある存在だといえるでしょう。

5. まとめ|信頼できるファイナンシャルプランナーを探して資産運用を見直そう

ファイナンシャルプランナーに相談することで、資産運用や人生設計において効果的なアドバイスを受けられます。

将来について不安のある人は1人で考えているよりも、ファイナンシャルプランナーに相談してしっかりとしたキャッシュフローを作成してもらうとよいでしょう。

キャッシュフローに仮に問題があったとしても、事前に知ることで対策を考えられるはずです。ファイナンシャルプランナーには人生設計以外にも相続や保険、節税などいろいろなことを相談できます。

特に節税対策には会社を利用した方法も含まれるので、経営者であればビジネス面でもメリットが期待できるでしょう。長い間しっかり付き合えそうな、信頼できるファイナンシャルプランナーを探してみてはいかがでしょうか。