現在、みなさんは法人保険に加入されていますか?

法人保険の役割には、会社や経営者を守る「保障」の確保と同時に保険商品によっては「節税」の効果があります。

この記事をご覧の経営者や役員の方の中には、法人保険について検討したことがある方もいらっしゃるかと思います。

しかし一方で法人保険という言葉自体は聞いたことがあるものの、実際にどのような仕組みや効果があるのか分からないという方も多いのではないでしょうか。

企業が加入する法人保険は、個人で加入する生命保険や医療保険などと同様に、複数種類の商品があります。また、掛け金の取り扱いや商品同士の組み合わせが複雑なものも多いため、どの法人保険を選ぶべきか迷ってしまうのも当然です。

そして節税対策に関しても、商品や契約の方法などによってもその効果は大きく変わってきます。

そこで今回の記事では、法人保険の全体像をまず解説し、メリットや注意点、正しい節税対策方法などについて解説します。

寺野先生この記事の監修者:寺野裕子(テラノ ユウコ)

てらのファイナンシャルプランニングオフィス代表。2008年FP相談業務開始。

2014年事務所運営スタイルを金融機関等からの紹介手数料を一切得ず、報酬は顧客からの相談料のみとするフィーオンリーへ移行。

個人のお客様に特化した資産管理をメイン業務として「ファイナンシャルプランニングは100人100様」をモットーにライフプランの実行支援を行っている。

【保有資格】
・CFP
・1級FP技能士、投資助言業

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目次

法人保険の全体像

法人保険の全体像

まずは、法人保険の全体像について、解説していきます。

法人保険は、大まかに「生命保険」と「損害保険」の2つにわけられます。

保険の全体像

法人保険には、ケガや死亡、万が一のリスクに備える保障の他に、貯蓄性を持つものがあります。またそれらの中には、退職金の準備や、従業員の福利厚生に有効な商品もあります。

次の章からは、法人保険における具体的なメリットについて解説していきます。

法人保険のメリット

法人保険には以下の6つのメリットがあります。

①経営者に万一のことがあった時の保障
②法人税対策
③退職金の準備
④従業員の福利厚生
⑤緊急予備資金の確保
⑥事業承継のリスク対策

メリット①経営者に万一のことがあった時の保障になる

会社を死亡保険金の受取人として経営者に生命保険をかけている場合、当然、経営者が亡くなることで、会社は死亡保険金を受け取ることができます。

また、経営者を被保険者とした医療保険に加入すると、一般の医療保険と同様に医療給付金を受け取れます。

給付金の受取先を会社にしておくことで、医療保険部分に該当する保険料は全額損金算入することができます。

メリット②法人税対策になる

個人で生命保険に新たに加入する場合、生命保険料の所得控除額(支払う保険料に対して、税金がかからない部分)は、年間4万円までと決まっていますが、法人の場合は税法上の制限はありません。

つまり個人の場合だと、いくらたくさんの保険料を払ったとしても、あらかじめ控除される金額が決まっているため、節税効果は限られています。

しかし、法人の場合には個人のような控除額の制限がないため、保険料をかければかけるほど、節税効果が期待できるというわけです。(注:ただし、節税効果は保険商品や契約形態により異なります。)

また、追ってご説明しますが、法人保険には使い方次第では節税対策として、逓増(ていぞう)定期保険のような利用価値が高い商品もあります。

しかし、法人保険の節税効果が期待される一方で、法人保険は最終的には節税にならないといった声を耳にしたことはないでしょうか。それはなぜなのでしょうか。

事実として、法人保険は単体で見れば、保険料を損金に計上することで利益の繰り延べ(先送り)をしているだけで一時的な節税効果しかありません。しかし、保険金の受取時までを想定し、しっかりとプランニングをすれば、節税効果を効率的に活用することができます。

次章から、法人保険で節税対策をする際に抑えておきたい、法人保険の「カラクリ」ともいえる仕組みについて説明していきます。

法人保険で節税できる「カラクリ」とは

法人税と所得の関係

相関図

法人税とは、法人が国に納める税金のことです。この法人税は、会社の所得に応じて課税されます。

ちなみにここでいう所得とは、大まかに言うと「会社で稼いだお金から経費等を差し引いた金額」のことを指します。

この所得に対し、会社は一定の法人税率に則った金額を納税します。

当然、基準となる「所得」を減らせれば「法人税」を減らすことができます。ですから法人保険に加入するなどして、その保険料を損金として計上すれば、経費が増えるため当期の利益が減り、所得を減らすことができます。

保険料は「費用」と「資産」に分けられる

法人における生命保険で支払った保険料は、税務上では一般的に「損金」と「資産」に分けて考えられます。

費用 → 掛け捨てタイプの保険商品の医療保障部分
資産 → 解約時に返戻金として受取可能なタイプの保険商品の貯蓄部分

保険料の内「損金」として処理される部分は、当期の利益を圧縮してくれるため、法人保険に加入する事で「法人税」は少なくなります。

所得と税金の関係

損金と資産の割合は、各保険商品やその契約形態、契約年齢等で決まるため、同じ保険料でも損金算入できる額は契約内容により異なります。

毎月100円の保険料を払った例

当期の節税は出来ても、返戻金の受取時には課税される

「資産」として積み上がった保険料は、解約返戻金(へんれいきん)として、後で受け取ることができます。

ただし、これらは税務上、「事業以外の収入」つまり「雑収入」として課税の対象となります。

つまり、保険をかけたときに「費用」として節税効果があっても、戻ってきたときには課税の対象となってしまうのです。このように課税時期を先送りにすることを「課税の繰り延べ」と言います。

課税の繰り延べとは

注意!法人税対策をするのであれば、退職金とセットで考えること

解約返戻金を受け取る年に、役員退職金を支給することを計画しておくことで、予定外の益金への課税を抑えることができます。

退職金は会計上「事業以外の支出」として取り扱われ、もしその期に「事業以外の益金」が発生していれば、益金から支出分を差し引くことができます。

つまり「退職金の費用」で、「解約返戻金からの収入」を「相殺」することができるのです。

ちなみに社員ついても、法人契約による法人保険の節税効果を生かしながら退職金の準備をすることができます。

ただ、社員向けの福利厚生として法人保険を活用する場合、例えば養老保険に退職金原資の準備を目的に加入して社員が早期に退職した場合には解約返戻金が少額しか戻ってこない可能性もあります。

また満期時期と退職時期がずれている場合、益金だけが発生してしまう可能性も考えられます。

法人保険を社員向けに活用する場合には、個人ごとに計画的な福利厚生設計が必要です。

社会保険労務士等の専門家とも相談しながら福利厚生規定の作成をするといいでしょう。

メリット③社内積立より効率的に退職金の準備ができる

法人保険を活用することで、法人税の節税もしながら効率的に、役員の退職金の準備ができます。

しっかりとプランを組めば法人税対策をしながら退職金を準備できるため、単純に社内で内部留保(毎年課税対象)として退職金を積み立てるよりもメリットは大きいです。

メリット④事業承継のリスク対策になる

ここで取り上げるリスクとは社長に万が一のことがあった場合に金融機関等から「貸付金の早期返済を迫られるリスク」のことです。

事業承継時、金融機関が次期社長の経営に不安を抱いた場合「融資したお金を早く返してもらいたい」となる可能性もあります。

仮に経営者が亡くなることで急遽、事業承継をした場合、金融機関などは融資した貸付金がきちんと回収できるのかを心配するのも無理はありません。

そのため、借り入れは社長が亡くなったときに返せるよう、生命保険で準備しておくと安心ということです。

不測の事態が起こった際に返済を迫られる可能性がある借入金は、優先的にリスクヘッジすべき「経営リスク」と言えます。

万が一のことが起きてからでは遅いため、日頃からこのような経営リスク対策を法人保険などでしておくと良いでしょう。

メリット⑤緊急予備資金として確保できる

会社の経営者は、常に万一に備えて、お金をプールしておく必要があります。

資産に計上された保険料は、解約返戻金として受け取ることが出来るため、緊急時の予備資金として活用することが可能です。

また解約返戻金の一定額範囲内で「契約者貸付制度」を活用すれば、保険を解約せずに資金調達をすることも可能です。

貸付ですので手数料の金利はかかりますが、現状マイナス金利の影響で貸付の金利は低水準です。

また、返済は満期までの間、期限は設けられていませんので余裕がある時に返済すればよく、満期までに返済出来なければ、最終的には満期保険金と相殺して返済する仕組みとなっています。

メリット⑥会社の福利厚生を充実できる

法人保険は従業員に対する福利厚生にも活用できます。優秀な人材の確保は、企業が抱える重要な経営課題の一つです。

法人保険を活用することで福利厚生を充実させ、従業員が安心して働ける環境作りを目指すことも出来ます。

従業員の病気やケガを保障する

たとえば従業員を対象に、医療保険・がん保険に加入すれば、従業員の万一に備えた保障の確保することが出来ます。

今や日本人の二人に一人は、がんになると言われる現代において、福利厚生としてがん保険を取り入れることは、いつも一生懸命頑張ってくれる従業員への配慮となり喜ばれることでしょう。

こういった保障を手厚くすることは、優秀な人材を確保する上で有効な手段と言えます。

従業員の退職金に備える

法人保険で経営者向けの退職金を積み立てる方法と同様の仕組みで、従業員への退職金を積み立てることも可能です。

養老保険で備える

養老保険イメージ

従業員の退職金に備える方法として「養老保険」も有効です。

養老保険は死亡保険金を受け取ることが出来、契約満期を迎えれば満期保険金を受け取ることも可能です。

また満期保険金の受け取りを会社に指定し、従業員が健康に満期を迎えることが出来れば、退職金としても支給することが出来ます。

ただし、「課税の繰り延べ」の章でもお話ししたように、節税対策となると、事前に満期時期と退職時期を合わせておく必要があります。

中退共(中小企業退職金共済)制度で備える

養老保険以外にも、中退共(中小企業退職金共済)も、従業員の退職金準備をする際には非常に効果的な制度です。

中退共に加入することで、会社は従業員の退職金を準備するための原資を積み立てることが出来ます。その掛け金は全額損金となり、少額(5,000円)から掛金を設定することが可能です。

一般的に法人保険で退職金を積み立てる場合、受取人を法人とし会社側に退職金の裁量がありますが、中退共制度による退職金の積み立ては、一旦支払いが始まれば会社からは切り離され個人に裁量が与えられます。

そのため、従業員の入れ替えが多い会社の場合には、中退共より養老保険が有効なケースもあります。

従業員の家族の生活を守る

従業員の生活を守る

従業員に万一のことがあった際、死亡保障に入っていれば 、残された遺族は、死亡保険金を受け取ることが出来ます。

従業員はもちろん、その家族も大切にする企業は多くの人から選ばれ続けるでしょう。

ただし、原則従業員全員加入が必要な条件であるため、加入には多少のハードルがあります。

生命保険の種類

質問事項

ここからは主な生命保険の種類について解説していきます。

終身保険

終身保険は一生涯保障される、貯蓄機能があるタイプの生命保険です。

加入期間中の死亡した場合、死亡保険金が受け取れます。ただ、払込み額が全額資産計上されるため、保険料払込期間の法人税の節税メリットはありません。

定期保険

定期保険は死亡時のみ保険料が支払われる掛け捨てタイプの生命保険で、基本的に全額損金算入出来ます。

保険適応期間があり、一生涯保障されるものではありません。

保険料は全額損金で処理されます。満期までの解約返戻金は少なく、掛け捨てなので満期時の解約返戻金はありません。

しかし、安い保険料で保障を手厚くしたい場合には選択肢に入ってくるでしょう。

長期平準定期保険

長期平準定期保険

長期平準定期保険は法人保険の中でも、節税効果を享受出来、返戻率の良さ、解約時期判断の融通が効くことで人気の商品です。

後述する、逓増定期保険も人気がありますが、長期平準定期保険の方が解約返戻率の高い期間が長く続く特徴があります。

基本的に保険加入から当初6割の期間は1/2を資産計上し、1/2は損金です。残りの4割の期間の保険料は全額損金、そして前半6割の期間に資産計上された金額は残り4割の期間で均等に取り崩し損金算入します。

ただし保険期間満了時年齢が70歳未満でありかつ契約年齢+(保険期間×2)が105未満の場合には通常の定期保険と同様全額損金となります。

保険期間100歳など、実質的な終身保険にちかい内容で、保障を確保すること出来ます。

また、契約年齢等にもよりますが解約返戻率のピークは10年~30年間などと長く設定されているのも特徴です。ただし満期時には解約返戻金はゼロですのでご注意ください。

メリット:返戻率が高い期間が長く、退職時期を調整しやすい

ピークを過ぎたとしても返戻率が急激に下がるわけではないので、返戻金の受け取り時期(退職金として受け取ることが多い)を調整しやすいというメリットがあります。

中小企業の事業承継は、スムーズにいかないケースも少なくありません。

返戻率の高い期間に幅があると、退職時期を延長できるメリットもあり、経営が安定するまでじっくり事業承継に取り組むことが出来ます。

経営者にとっては使いやすい商品と言えるでしょう。

逓増(ていぞう)定期保険

逓増定期保険

逓増定期保険は経営者の退職時期が5年後や10年後と明確に計画が立てられている場合には、法人税対策もしながら、確実に退職金原資の準備ができる保険商品です。

保険期間満了時の被保険者の年齢等により全額、1/2または1/3が損金算入可能です。

残りの保険料は加入当初6割期間資産計上、残り4割の期間で資産計上された金額を均等に損金算入します。

逓増定期保険のメリット: 短期間で返戻率がピークに達する

5~10年などわりと早いスパンで返戻率のピークが来るため、事業承継が近くなってからも退職金の資金作りに使えます。

ただし、返戻率のピークが早くそのタイミングで解約せず保険料を払い続けていると、解約返戻率は急激に下がるので注意が必要です。

逓増定期保険のデメリット:後々、保険料が負担になりキャッシュフローを圧迫する可能性も

ただし一時的な節税対策として加入してしまうと、掛け金が長期平準定期保険よりも高い傾向があるため、経営状況によってはキャッシュフローを圧迫してしまう可能性も出てきます。

中長期的な保険料支払い能力なども併せて慎重に検討しましょう。

法人保険を選ぶ際に見るべきポイント

役員報酬1

法人保険を選ぶ際に注目したいポイントは大きく分けて3つあります。

①損金計上できる割合の確認
②返戻率(単純返戻率と実質返戻率)
③解約時期の選びやすさ

それではポイント別にそれぞれ見ていきましょう。

ポイント1:損金割合の確認

保険のタイプによって、どれだけ損金に入れられるかは変わります。

積み立てたい保険料や、当期利益の圧縮したい金額を目安に保険商品ごとの「損金割合」を確認しておきましょう。

また、損金割合が高くなると解約返戻率は低くなる傾向があるので注意が必要です。

ポイント2:返戻率(単純返戻率と実質返戻率)

返戻率には、大きく分けて2つの種類があります。法人税対策において、どちらが有効な返戻率なのかを知っておくと役立ちます。

単純返戻率

「支払った保険料の総額に対して、解約時に戻ってくる解約返戻金の割合」です。シンプルな返戻率を意味します。

実質返戻率

「法人税の軽減額」を含めて考えた場合の解約返戻率のことを指します。

つまり、節税効果を考慮した額ということです。こちらを、基準に選ぶと法人税対策に有効かどうかの検討材料となるでしょう。

ポイント3:解約時期の選びやすさ

解約時期の選びやすさの判断基準は2点あります。

掛け金がキャッシュフローを圧迫しない額であること

保険加入が当期の利益の節税に囚われ後々の経営を圧迫してしまったり、事業承継に弊害があっては本末転倒です。。

保険期間に余裕があること

特に退職金目的で加入した際は、保険期間に余裕があることが重要です。

予定していた時期よりも退職が遅くなったり早まったりすることはよくあることです。

長期平準定期保険が支持されるように、返戻率が高い保険は扱いやすいのです。

法人税対策、退職金の準備の両方考慮しながら計画的に管理ができる保険商品を選びましょう。

もっとも事業承継などが絡む場合や、多額の資金確保のための法人保険を検討する場合には、将来的なリスクを考慮しながら専門家に相談することも選択肢として入れておきましょう。

とは言っても、たくさんの保険商品がありすぎて、どうしたら良いのか分からない…という方は、保険コネクトの保険無料相談を利用してみましょう。

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・保険相談した人の約90%が満足と回答

全国にいる保険のプロ・FPに保険・お金の相談をすることが可能になります。この機会にぜひ一度相談をしてみましょう。

おわりに

不動産投資 営業マン

今回は、法人税対策のための法人保険の基礎知識と選ぶポイントなどについてご紹介させていただきました。

法人保険に加入する際は、法人税や退職金の準備に合わせて計画的な積立が出来る商品を選ぶことが大切です。

法人保険のメリットを効率的にご活用いただ、事業承継や福利厚生の充実をはかっていただければと思います。

また経営者本人では気付けない「リスク」や「将来の事象」などを見つけるために、法人保険の専門家に相談してみることも有効ですのでぜひご検討ください。