不動産投資をはじめたいと思っている方の中には、「不動産投資をはじめるには資格が必要なのではないか?」とお考えの方もいらっしゃることでしょう。

結論、不動産投資をはじめるのに資格は必要ありません。

その理由は、不動産投資では、一度物件を購入すると、その後の運用は管理会社に委託するのが一般的で 、自分で物件を訪れて特別に何かをすることがないからです。

しかし、筆者の見解として、資格自体を取得する必要はないものの、資格を学ぶことで身につく2つの知識は必要だと感じています。

その知識とは、①不動産投資の基礎的な知識、②相談相手を見極めるための知識、です。

本記事では、不動産投資をはじめた人にはぜひ抑えておいてほしい、不動産投資の資格一覧とその資格を学ぶことで得られる知識とは何か、について解説していきます。

この記事の監修者:高野 友樹(タカノ ユウキ)

不動産コンサルティング事務所 Resorz Consulting 代表。一般社団法人グローバルイノベーションネットワーク協会 マネージャー。

不動産会社にて600件以上の仲介、6,000戸の収益物件管理を経験した後、国内不動産ファンドでAM事業部のマネージャーとして従事。現在は、Resorz Consultingを立ち上げ不動産コンサルティングを行う傍ら、社団法人GINAとして海外事業にも参画。

【保有資格】
・公認 不動産コンサルティングマスター
・宅地建物取引士
・賃貸不動産経営管理士 など

資格を学ぶことで身につく「不動産投資の基本的な知識」と「相談相手を見極める知識」

まずはじめに、資格を学ぶことでどのような知識を身につけることができるのかについて、詳しく解説していきます。

①不動産投資の基礎的な知識

資格を学ぶことで、不動産投資の基礎的な知識を体型的に学習できます。

基礎的な知識を習得する目的は、もちろん「不動産投資を成功させるため」なのですが、そもそも投資を成功させるためには、以下、3つの条件を抑えなければなりません。

不動産投資を成功させるために抑えておきたい3つの条件
・収益性の悪い物件を掴まない
・収支計画を誤らない
・良い管理会社を選別する

これらの条件を正確に理解するためは、そもそも不動産投資とはどういうものなのか、など、不動産投資に関する基礎的な知識は必要不可欠と言えます。

②相談相手を見極めるための知識

基礎的な知識に加えて、もう一つ不動産投資を始めたばかりの人にとって、必要な知識があります。

それは、自分にとって適切な相談相手を選定するための知識です。

世の中には、書籍やWebサイトなど、不動産投資に関する情報が溢れかえっています。

それゆえ、何の情報を信じ、何に投資すればいいのか、分からないことが多すぎるという方も多いのではないでしょうか。

筆者自身もこの記事を書くために、不動産投資に関する様々な書物に目を通しましたが、確かにこれは情報が多すぎて、分からなくるのも無理はないなと思いました…

そんな時に、頼りになるのが「信頼できる相談相手」です。

最初から信頼できる相談相手と巡り会えれば良いのですが、はじめたばかりのほとんどの人は、自分で相談相手を探さなければいけません。

しかし、相談相手といっても、宅建士・FP・賃貸不動産経営管理士など、世の中には不動産投資に精通した多くの資格保有者がいます。

また、それぞれ知っている範囲や得意な領域が異なるため、どの有資格者が自分の知りたい情報を持っている相手なのか保有資格の内容が分からないことには、相談相手を誤り、結果として、投資判断を間違ってしまう可能性があります。

つまり、適切な相談相手を選べる知識を持っていれば、相談相手を誤ることなく、はじめたばかりの初心者でも成功へと近づくことができるということです。

そのため、資格の取得は必要はないものの、相談相手がどのようなスキル(知識)を持っているのか、どのような領域の話が得意なのか、また、相談相手にふさわしいかどうかを見極めるためにも、各資格の知識は持っておいた方が良いと言えるでしょう。

また、実際に自分の目で会社を知りたい、担当者から話を聞きたいと思う方もいらっしゃることでしょう。別記事「【初心者向き】不動産投資の基礎知識を効率的に学べる無料セミナー8選」にて、無料で参加できる不動産投資のセミナーについてご紹介しております。合わせて、確認をしてみましょう。

効率的に学ぼう!不動産投資の資格一覧表

不動産関係の資格は非常に多く、民間資格も含めるとさっと数えても20以上あります。

中には取得に5年以上かかるものや、取得しても箔のつかないものなど様々な資格があります。

この章では、複数ある資格の中から、特に初心者の方が知っておくとためになるであろう資格とその概要・難易度についてまとめました。

どのような資格があるのか、今の自分に必要な知識が何か、誰に何を相談すべきなのかを考えながら、一つずつご覧ください。

資格不動産投資一覧

不動産投資の基礎的な知識を学べる資格3つ

法人保険学ぶべるもの

この章では、知識として身につけておくと役立つ3つの資格をご紹介します。数ある不動産投資の資格の中でも、特にこれは抑えておいてほしいというものをピックアップしています。

資格の内容を知ることで、「この資格保有者にはどのような知識があるのか」が判断できるようになります。資格を取得しなくても、どのようなも知識が身につくものなのかを理解しておくことも重要です。

①不動産実務検定1級(旧:大家検定)

不動産投資関係の資格としては、最も投資に直結した知識を習得できる資格です。

契約、管理、税務や民法などの各種法律はもちろん、人口動態・需要予測などの捉え方、事業計画の作成方法も学べます。

賃貸経営に特化しており、宅建とFPの良いとこ取り+αといった内容です。賃貸経営について体系的に勉強したいという方にとってはおすすめできる資格です。

ただし、民間資格であり、1級の受験制限もなく、業界的にも決して格式高い資格とは言えませんので、資格を保有するメリットは小さいです。あくまでも初心者が不動産経営について学ぶための教材として取り扱うのが良いでしょう。

不動産実務検定(旧:大家検定)の試験内容

大家試験資格参考:日本不動産コミュニティ

2級と1級の知識があれば不動産投資について広い知識が培われますので、これらのテキストを読むだけでもいいでしょう。

また、マスター資格を取得すると、J-REC(運営元)認定の不動産コンサルタトとして認定証がもらえ、コンサルタント業・検定講師業ができますが、そこは重要ではありません。

不動産投資で成功するためには、人に教えるための知識よりも自分が儲かるための知識を増やすべきです。時間は有限です。何を目的に学ぶのか見失わないようにしましょう。

※ちなみにコンサル関係の資格は、国土交通省が直々に認めているものがあり、公認不動産コンサルティングマスターなどがあります(詳しくは4章で解説します)。

②宅建(宅地建物取引士)

宅建とは不動産取引に関する国家資格です。

契約に関する法律の知識が身につき、顧客に対して不動産の重要な部分を説明する「重要事項説明」といった独占業務があります。

年20万人が受験する最大の国家資格で、不動産投資顧問業など不動産系資格のステップアップのために取得する人や、不動産業の人以外にも、行政書士への登竜門として受験される人や、主婦や学生にも人気なのです。

宅建の知識があると不動産業者とのやり取りがスムーズになったり、説明を受けているときも「聞き漏らしはないか」などの不安もなくなるでしょう。


なぜ主婦や学生に人気なのか?

人気の理由の一つとして、マイホームの建築、不動産の譲渡や相続に詳しくなって損をしたくない、という背景があります。

また、宅建は日常生活で役立つ知識が多く、普段から聞きはするが詳しくは知らない興味深い内容のため取り組みやすい、ことも人気の資格である背景です。

宅建の試験内容

試験内容を見て不動産投資に関係のある法令をざっくり把握しましょう。テキストを購入して何か気になったときの辞書代わりにするのもよいでしょう。
宅建資格

不動産業界の人が宅建士を取得する理由は「独占業務」

なぜ不動産業界の人が宅建士を受験するかというと、不動産業には宅建士でないと行えない独占業務が存在し、無資格者は仕事を自分で完結する事ができないからです。

また、不動産業者には宅建士の設置義務があります。具体的には、従業員の5人に1人の割合で宅建士を所有していなければならず、この人的要件を満たさないと営業そのものができなくなってしまいます。


宅建士の独占業務
①重要事項の説明②重要事項説明書への記名・押印
③37条書面(=契約書)への記名・押印

重要事項とは取引内容や土地・建物についての重要な情報のことです。

契約前の顧客側は明らかに情報や知識 が不足しているので、不利な取引とならないよう 、契約前に必ず宅建士が説明しなければいけません。たとえば、下記のような説明です。


約前に必ず行う重要事項説明の例
・支払金の詳細や、損害賠償額や違約金の説明
・物件の見た目からは判断できない物件情報(隠れた瑕疵など)
・そもそも建築基準を満たしているか、電気、ガスなどの整備状況

不動産投資を行う人が「独占業務」をできるようになっても特に意味はありません。

不動産投資を行う人は、きちんと重要事項が説明されているか、聞き漏らしはないかを判断できれば十分です。

③FP(ファイナンシャルプランナー)2級

FPはあらゆる観点からその人に合った資産計画を作れるようになる知識が詰まった資格です。

FPは、相談者の夢や目標を達成するために、ライフスタイルや価値観、経済環境を踏まえながら、家族状況、収入と支出の内容、資産、負債、保険など、あらゆるデータを集めて、現状を分析します。

引用元:日本FP協会より

不動産投資では購入前の収支計画が非常に重要です。

・突発的な修繕が必要になったときに備えていくら用意しておけばいいのか
・減価償却費などの経費計上でいくら手元に残せるのか
・繰上返済はどれくらいのペースでしていくべきなのか

など、無理のない収支計画を作る必要があります。そんなときにFPの知識が役に立つのです。

FP2級の試験内容

FP3級は初歩すぎる内容、2級でやっと実務に使え、1級は格段に難易度が上がりFPを本業にする人がとるレベルという感じです。

まずは試験内容からプランニングに必要な視点だけは把握しておきたいですね。

FPの資格

ただし、不動産投資をすぐに始めたいのであれば、収支計画は不動産の販売元や賃貸管理会社、先輩投資家に作ってもらい、不安であれば不動産投資の知識のあるFPに確認してもらうという流れでいいでしょう。

正しい計画さえできればいいので、自分で全て計画する必要はありません。

しかし、不動産投資に加え、保険の加入や投資信託の開始、マイホームを建てるか賃貸で過ごすか、子育てにかかる費用はいくらか、など人生を総合的に考えたときに、具体的にプランニングできるのは信用できるFPかプランニングの知識を持った自分だけです。

必須ではないですが、余力があれば取得したい資格といえます。

相談相手として選ぶなら、実務経験必須の「公認 不動産コンサルティングマスター」と「不動産投資顧問業の登録業者」を検討してみよう

不動産投資の相談相手

この章では、不動産投資の相談をしたいけど誰に相談していいのかわからない人にとって、ひとつの基準となる「公認 不動産コンサルティングマスター」と、有資格者ではありませんが「※不動産投資顧問業の登録業者」についてご紹介していきます。

ただし、資格や実務経験があるからといって必ず投資を成功に導けるわけではありません

あくまでも、不動産投資について学び、実務も経験した一定の知識量がある人と認識しましょう。

※有資格者ではありませんが、不動産投資の相談相手として、十分な知識や経験を持っていると判断ができるため、相談相手の一人として、おすすめしています。その理由は、不動産投資顧問業に登録するために「公認 不動産コンサルティングマスター」の資格と指定の実務経験が必要になるためです。

①公認 不動産コンサルティングマスター

この資格は、不動産の情報交換システム「レインズ」を開発する不動産流通推進センターが、国土交通省の認定を受けて実施している試験です。

受験資格は、宅地建物取引士、不動産鑑定士、一級建築士のいずれかを保有しているのが条件で、試験合格後「公認 不動産コンサルティングマスター」として登録されるためには、指定の不動産資格の業務に5年以上の従事している必要があります。

引用:不動産コンサルティング技能試験のご案内

この時点である程度のレベルがある人という判断ができるでしょう。

不動産コンサルティング技能士

※引用:不動産流通推進センター

試験の合格率も50%を切り、長文問題も出題されるため、たとえ不動産業界の人といえど、簡単には合格できない難関資格です。

不動産コンサルティングマスターを取得している時点で相談相手としては申し分ないといえる資格です。

保有資格者を探す場合、「不動産マスター検索」にて、探すことが可能です。ご参考にしてください。

公認 不動産コンサルティングマスター※引用:公認 不動産コンサルティングマスター

②不動産投資顧問業の登録業者

不動産投資顧問業の登録業者とは、投資家に対して不動産投資の助言や、運用代理を行う投資顧問業者のことです

国交省が定める条件を満たした人や法人のみ名乗ることができる任意の登録制度で、不動産投資に関する助言や・運用の委託業を行えます。

こちらの資格がなくても不動産投資の助言はできますが、不動産投資顧問業に登録するには下記のように厳しい条件があるため、不動産投資顧問業の登録者は信頼できるだけの知識量があり、相談相手として申し分ないでしょう。

不動産投資顧問業の審査基準

不動産投資顧問業に登録するためには主に知識と経験について審査基準があります。

知識の審査基準となっている資格は、そもそも業務経験年数が5年ないと取得できない資格ですのでこの時点で他の民間資格よりも厳しい基準といえます。

知識の審査基準
・不動産コンサルティング技能士
・ビル経営管理士
・不動産証券化協会認定マスター
・弁護士または公認会計士で不動産業に携わったことがある人
経験の審査基準
経験の審査基準
1億円以上の不動産投資に関する投資判断、助言、売買、賃借、管理との業務経験があり、これらに2年以上、従事している

上記に加えて法人の場合は直近で債務超過になっていないことも条件となっています。

詳細は、国交省HPで確認できます。

不動産投資顧問業の種類

不動産投資顧問業には2種類の種別がありますが、マンション経営などの不動産投資に関してはどちらに相談しても大丈夫です。

・一般不動産投資顧問業:顧客に対して投資助言を行える
・総合不動産投資顧問業:投資助言に加え、投資一任契約(運用代行)を行える

総合不動産投資顧問業の運用代行とは、投資一任契約に基づいて投資者から投資に対しての判断や投資に必要な権限を委任され投資を行う行為です。

不動産投資顧問業の登録業者を探す場合、「国交省|不動産投資顧問業データベース」にて、探すことが可能です。ご参考にしてください。

不動産投資顧問業データベース※引用:国交省|不動産投資顧問業データベース

よく聞く不動産系資格との付き合い方

よく聞く不動産投資の資格

この章では、不動産投資に限らず、賃貸契約の際など、よく耳にする不動産系資格について、実際のところは不動産投資に役立つのかどうか、について解説します。

①マンション管理士

マンションの維持管理に関するアドバイスを行うための資格です。

具体的にはマンションの大規模修繕の計画やマンション管理会社のサービスのチェック、規約の見直し、マンション管理組合との運営相談などを行います。

自分で管理会社のサービスをチェックしたい場合や、管理組合の総会に出席し相談にのりたい場合は取得してもいいと思いますが、マンション管理自体は無資格でもできる業務です。

また、入居者からなる管理組合と意見の対立がおきたときはストレスにもなるので、個人的には興味本位で首を突っ込まない方がいい業務だと思います。

管理会社とのやりとりだけで済ませるなら取得する必要もありませんし、不動産実務検定(旧:大家検定)の内容で十分です。

②ホームインスペクター

第三者的な立場から物件を診断(ホームインスペクション)するための資格です。

物件の購入前に、その物件の劣化具合や欠陥住宅でないかを見極め、修繕コストや実際に何年住めるかなどを判断します。

購入前に劣化や欠陥住宅かを見極める力は大切です。

しかし、信頼できる業者を見極め、契約をしっかりすれば、そもそも要望に合わない危ない物件を紹介されることもないでしょう。

また、実際はその地域に賃貸需要があるかどうかの見極めの方が大切で、物件が良くても収益に繋がるとは限りません。どのような診断項目があるかくらいは把握していいと思いますが、物件診断は専門のホームインスペクション会社に依頼しましょう。

まとめ|資格の勉強は「不動産投資を成功させるために必要な知識の習得」であることを忘れない

不動産投資は、信頼できる先輩大家や不動産業者さえいれば、知識がなくても開始できるのは事実です。

しかし、これから何棟も保有して不動産投資を加速させていきたい、安心して投資をしたいと考えているのなら、どの場面でどの知識が必要か判断できるだけの知識量は必要です。

すぐに投資を開始する予定なら信頼できる人を探すの方をおすすめしますが、ゆっくりでも納得して投資を進めたい人は一度資格の内容を把握することをおすすめします。

・資格は知識がパッケージ化されたもので不動産投資の知識を効率的に学べる
・資格内容を知っていることで自分にあった相談相手を見極める判断材料になる

資格を取得する必要はありません。

「不動産投資を成功させる」という本来の目的を見失って知識オタクにならないよう資格と上手く付き合っていきましょう。