老後は年金で悠々自適に…という時代が終わり、現在は老後の生活資金は公的年金では足りず、3,000万円もの老後資金が必要と言われています。

そして今後は人生100年時代に突入し、長生きをすればさらに多くの老後資金が必要になると予想されます。

・老後資金は本当に3,000万円で安心できるのか?
・老後に趣味を楽しむ金銭的余裕が欲しいが、いくらくらい必要か?
・仮に100歳まで生きるとすると、今からどんな対策ができるのか?

など、不安に感じる方も多いでしょう。

そこで今回は、30代から考える老後のライフプランについて解説します。

あなたの理想の老後とは?

老後

老後に必要な資金は、どのような老後を過ごしたいかによって大きく変化します。

70代、80代になってもアクティブにゴルフや旅行、趣味などを楽しみたいならそれなりの資金が必要です。

高齢になると病気になったり、ケガをする頻度も高くなります。高齢者は公的医療保険の負担額が抑えられているとはいえ、十分な治療や療養のためには先進医療の費用や差額ベッド代など予想外に多額の出費となることもあるでしょう。

高齢になり身体の自由が利かなくなると、自宅のリフォーム費用が必要になったり、自身での運転ができないためにタクシー代などの交通費がかさむこともあります。

必要最小限の支出に加え「笑って過ごすために」「病気やケガなどのアクシデントに備えるために」は、いくら必要でしょうか?

老後のライフプランを考えるうえで、まずはどのような老後を過ごしたいか、そのための資金はいくらくらいかを把握することが大切です。


老後の資金は本当に3,000万円必要なのかどうか

老後 ライフプラン2

老後資金3,000万円説の根拠とは

一般的に老後に必要な資金は公的年金とは別に3,000万円程度と言われています。

ですが、この3,000万円というのは、「夫婦2人世帯」「65歳で定年を迎え平均寿命まで生きる」「夫は厚生年金を受給」というモデルプランで、算出されていることが多いのです。

夫婦2人世帯で65歳から平均寿命までに必要な費用を計算し、ここから公的年金の額を引くと、おおよそ3,000万円というわけですね。

そして3,000万円から退職金を差し引いて足りない部分をどうするか?というのが基本の老後ライフプランニングです。

ではモデルプランに当てはまらない場合はどうなるのでしょうか?

「平均寿命よりも長生きしたらどうなるのか?」「平均よりも住居費の高い都市部に住んでいる場合は?」など、特に贅沢をしているつもりがなくとも、モデルプランよりも支出が多くなる可能性は十分あり得ます。

また、現在の月々の支出が平均世帯よりも多いならば、老後も支出は多くなると予想されます。現役時代に平均よりも余裕のある生活をしている場合ですね。

若いうちは忙しすぎてお金を使う暇もないという方や質素な生活で満足してる方でも、老後は贅沢してのんびりしたい、という場合は平均以上の老後資金が必要でしょう。

平均寿命は延び続けている

厚生労働省発表の平成29年度簡易生命表によると、男性の平均寿命は81.09歳、女性は87.26歳です。そして日本人の平均寿命は現在も延び続けています。

さらに海外のある研究(平成29年12月 内閣官房 人生100年時代構想会議中間報告より抜粋)によると、「2007年生まれの日本人は107歳まで生きる可能性が50%もある」のだそうです。

半数以上が107歳以上まで生きる日が来るかもしれないのですね。

このように平均寿命は延び続けていますので、今から老後のライフプランを立てる場合は100歳まで生きる可能性を考えておく必要があるのです。

平均寿命の推移と将来推計※引用:内閣府|平均寿命の推移と将来推計より

主な年齢の平均余命厚生労働省|平成29年度簡易生命表より

老後に必要な支出額とは

老後の生活では平均どれくらいの支出があるのか

厚生労働省が発表している家計収支調べ(平成29年度)では、夫65歳以上妻60歳以上の無職世帯では月々の支出の合計の平均が263,717円です。

高齢者の無収入世帯の収支厚生労働省|平成29年度 家計調査報告より

 

しかし、この家計収支調べの収支額も支出が年々増える傾向にあります。10年前の平成19年度の同じ調べでは平均232,776円と、10年で月額3万円以上も支出が増えています。

デフレが続いている中でもこれだけ増えていますから、もしもインフレになった場合にはさらに支出が増えることは間違いないでしょう。

高齢者の無収入世帯の収支2厚生労働省|平成19年度 家計調査報告より

ゆとりある老後に必要な費用とは

ゆとりある老後を過ごすには、上記に加えてさまざまな出費が予想されます。交際費や、趣味・教養の費用、旅行やレジャーはもちろん、ゆとりのある生活では日常生活費も上がります。

実際には、個々の生活状況によって出費の内容や金額は異なりますが、公益財団法人生命保険センターの調査では、ゆとりある老後生活費は毎月34万9千円とされています。

ゆとりある老後生活費1

ゆとりある老後生活費2

生命保険センター|ゆとりある老後生活費

公的年金はいくらもらえるのか?

公的年金

老後の収入の基本は公的年金です。

公的年金の支給額は、厚生年金か国民年金かで大きく異なります。加入期間によっても変化しますので注意しましょう。

自営業などで国民年金に加入している場合、月額約6.5万円、夫婦で13万円ほどです。

夫が会社員で妻が専業主婦の場合、夫の収入や加入期間にもよりますが厚生年金と国民年金2人分で月額およそ23万円です。

そして留意しておかなければいけないのが、支出は年々増えますが、年金は増えないという点です。

それどころか、今後は徐々に減っていく可能性もあるのです。

内閣府の発表では2060年には高齢者1人を現役世代1.3人で支える時代がくるとされています。公的年金は現役世代が負担する仕組みですから、今後大がかりな対策が講じられる可能性もあります。

高齢世帯人口の比率内閣府|高齢世帯人口の比率より

また、実際の年金額が減らないとしても、実質的な支給額は今後2割程度引き下げられると言われています。

これはマクロ経済スライド(平均寿命の変化や現役世代人口の変化などの社会情勢の変化に応じて年金の給付額を調整する仕組み)導入によるもので、本来は物価等の上昇に伴い増額されるはずの支給額が、物価の上昇よりも緩やかな増額に留まるということです。

実質的な公的年金支給額引き下げといってよいでしょう。

月々いくら不足するのか?

現役時代に準備する必要のある老後資金の額については、さまざまな考え方がありますが、ここでは月々の不足額から単純計算をしてみます。

老後に必要な月々の支出額から公的年金の受給額を引くと、月々にいくら不足するのかがわかります。この月々の不足額を基にして、退職時から亡くなるまでの期間にいくら必要かを計算してみましょう。

平均的な収支の場合

自営業者(国民年金加入)のモデルケース:26万円-13万円=13万円(1カ月の不足額)
会社員(厚生年金加入)のモデルケース:26万円-23万円=3万円(1カ月の不足額)

65歳で退職(廃業)し、85歳で亡くなった場合に公的年金の他に必要な資金は

自営業者:13万円×12カ月×20年=3,120万円
会社員:3万円×12カ月×20年=720万円

となります。

会社員の場合は退職金もありますから、ほぼまかなえるという計算です。しかし平均値はあくまで平均値です。大きな病気をしたりすれば途端に資金は不足します。

また前述のとおり、平均寿命は延び、支出は増加し、公的年金の支給額は実質的に下がっていきますから、実際にはもっと資金が必要になります。

ゆとりある老後を望む場合

また実際には、平均よりもゆとりのある老後を望む方が多いでしょう。

前述の生命保険センターの調査から、ゆとりある老後生活費は毎月34万9千円(約35万円)と考えると、月々の不足額は大幅に増加します。

自営業者(国民年金加入)のモデルケース:35万円-13万円=22万円(1カ月の不足額)
会社員(厚生年金加入)のモデルケース:35万円-23万円=12万円(1カ月の不足額)

65歳で退職(廃業)し、85歳で亡くなった場合に公的年金の他に必要な資金は

自営業者:22万円×12カ月×20年=5,280万円
会社員:12万円×12カ月×20年=2,880万円

となります。

この会社員の2,880万円に公的年金の支給額減などを加味した額がおよそ3,000万円です。

人生100年時代には3,000万円では足りない?

前述の例は85歳で亡くなった場合ですが、仮に95歳、100歳で亡くなった場合はどうでしょうか?

<95歳>

自営業者:22万円×12カ月×30年=7,920万円
会社員:12万円×12カ月×30年=4,320万円

<100歳>

自営業者:22万円×12カ月×35年=9,240万円
会社員:12万円×12カ月×35年=5,040万円

 

会社員の場合でも寿命が10年延びれば1,500万円も多く必要になることがわかります。

85歳で死亡する前提でライフプランを考えていた場合、100歳近くまで生きた時には2,000万円以上も不足してしまうのです。

上記は単純計算した例ですので、実際には高齢になるほど支出が減る可能性もあります。しかし寿命が延びると、それだけ老後資金も多く必要になることは事実でしょう。

他にも、持ち家の有無やローン残高の有無、車を所有しているか否かなどで必要額は大きく変化しますので、老後資金は余裕をもって用意しておきたいものです。

理想の老後生活のためのライフプラン

老後ライフプラン4

ライフプランのシミュレーション

老後資金の必要額は人それぞれですが、概算金額はシミュレーションサイトで知ることができます。世帯構成や収入、配偶者や子どもの有無、老後のライフプランなどの項目を入力することで老後に足りない資金額などがわかります。

例えば、一般財団法人 全国銀行協会の提供する「自分で描く未来予想図・ライフプランシミュレーション」では、「きほんシミュレーション」と「くわしくシミュレーション」が用意されており、「くわしくシミュレーション」では、海外旅行の有無・老後の過ごし方の他に個人の性格まで詳しく項目設定できます。

実際のライフプランはファイナンシャルプランナーなどの専門家へ相談した方が確実ですが、おおよその目安を知ることはできるでしょう。

保険見直しラボでは、老後のライフプランについての無料相談会を実施しています。ご興味のある方は、一度プロのFPに相談をしてみましょう。

豊かな老後を実現するプランとは

老後ライフプラン6

それでは、理想的な老後生活を実現するには、どうしたらよいのでしょうか?

現役時代を長く

まず、検討したいのが現役時代を長くすることです。

人生が70年ほどだった時代とは違い、65歳で現役を引退すれば、その後20年以上の老後生活が待っています。100歳まで生きるとすると、35年もの期間、無職が続くのです。

今は仕事が忙しくて大変だから早くリタイヤしたい、と考える方も多いでしょう。しかし何十年もの間無職でいることは、本当に幸せでしょうか?

70歳近くになって、フルタイムで残業もして出張もあるような働き方は難しいかもしれません。しかし、働き方にはさまざまな形があります。短時間労働やテレワークなど、無理をしない就業スタイルなら働き続けられる場合が多いでしょう。

政府の推進する働き方改革でも、高齢者の就業促進が重要なテーマとして検討されています。

働くことで社会との接点を持つことや、現役時代のスキルをいかすことで新たな生きがいができ、結果的に健康寿命が延びることも期待できます。

老後もアクティブに過ごしたい、と思っていても旅行に行く体力や気力がなければ実現できません。

老後資金の不足分を補いつつ、健康寿命を延ばす方法の1つとして、完全な引退ではなく少しでも働き続けることは有効な手段と言えるでしょう。

計画的な資産形成と定期的なライフプランの見直し

ゆとりのある老後のためには、計画的な資産形成が必要です。

今の生活水準を基本にして、老後はどれだけの水準を維持したいのか、それにかかる費用と必要貯蓄額を計算します。

特に高所得世帯は注意が必要です。

「老後にはあまりお金をかけないつもり」と思っていても、一度上がった生活水準はなかなか下げることはできません。

老後の資金が十分でないなら、現役の頃から少しでも生活水準を見直す必要があります。老後にどうしても贅沢をしたいならば、それだけの貯蓄をしなければいません。

また、必要な資金は家族構成の変化や自宅の購入などで変化します。結婚、出産、住宅の購入、車の購入、大きな旅行、子どもの進学・就職、親の介護、退職など、ライフプランを見直しましょう。

ライフプランは1年~数年ごとに定期的なメンテナンスをすることで、当初の計画を維持しやすくなります。見直しが必要な際にも、できるだけ早く修正することで理想の老後に近づけます。

公的年金の不足分を補う!万一の保障に保険も

毎月の必要額から公的年金の受給額をマイナスした毎月の不足額が多ければ多いほど、寿命が延びた場合の必要資金が増えてしまいます。

年金の不足額を補う手段としては貯蓄、投資、前述の働き続けるなどの方法があります。

また、個人(私的)年金に加入して、公的年金の不足額を補うという考え方もあります。私的年金にはさまざまなタイプがあり、終身保障のないものや元本割れリスクのある商品もありますから、それぞれの特徴を踏まえた上で必要な商品を選ぶ必要があります。

2017年に加入対象が拡大したことで基本的に誰でも加入できるようになった個人型確定拠出年金は、税制優遇により政府が推している私的年金で節税メリットも大きいためおすすめです。

また、突然の病気で貯蓄計画が破綻してしまう可能性もあります。家族や自分自身に万一のことがあった場合のことも考えなければいけないでしょう。

万一の時の保障として、長期入院の備えとして、保険が役立つ場面は多くあります。保険の種類はさまざまですが、貯蓄性や節税対策などの付加価値よりも、実際に必要な保障額を基本として選択しましょう。

まとめ|理想の老後へ向けて今から準備を

老後ライフプランまとめ

「なんとかなるだろう」では済まされないのが、現在働き盛りである30代の老後です。

そして今の生活に余裕があればあるほど、公的年金の受給額と支出の差が開き、長生きのリスクが増していきます。

「どんな老後を過ごしたいか」「そのための資金はいくら必要か」「足りない資金をどうやって用意するか」を一度確認し、こまめに見直すことで理想の老後を実現しましょう。