会社を経営するようになると、取引先など仕事の関係者からゴルフに誘われる機会が増えるのではないでしょうか?

「大切な取引先の社長から誘われたゴルフ」「今後つながりたい会社の役員が参加するゴルフ」など、断ることができないケースや、営業や人脈つくりの一環として参加をするケースもあることでしょう。

またそのような時に、ゴルフ経験があれば良いですが、中にはゴルフ経験が全くない経営者の方もいるはずです。

参加することが決まれば、ゴルフクラブやゴルフウエア、ゴルフシューズが必要です。また、迷惑をかけない程度の練習もしておかなければならない…など、何かとお金がかかってきます。

しかし、経営者であれば、お金がかかってもこれら全てを経費として計上すれば問題ないと考える方は多くいるはずです。

そこで今回の記事では、ゴルフのプレー代、飲食代、交通費、ゴルフクラブやウエアの購入費など、ゴルフに参加する上で何を経費として何が経費として計上できないのかについて、見ていきたいと思います。

大見先生この記事の監修者:大見 光男(オオミ ミツオ)

大見税理士事務所 代表。大田区の会計事務所で主に中小の法人と医業、不動産所得がある方を担当し節税対策や申告書の作成に従事。会計事務所にて働きながら税理士資格を取得し、平成29年10月に大見光男税理士事務所を開業。

「だいたい3分でわかる仮想通貨の税金の話」を出版。Amazonの経理・アカウンティング部門でベストセラーに。

社長のゴルフのプレー代は経費に計上できるのか?

ゴルフ経費にできるかどうか

ゴルフに関する費用が経費として計上できるかどうかは、ゴルフへ行く目的やメンバーにもよって変わります

ゴルフのプレー代を交際費にできるケース

ゴルフのプレー代を経費にできる場合、帳簿上の科目は交際費等になります。

法人税法上の交際費等とは、一言で言えば「仕事に関係する相手に対して接待をするための費用」のことです。

取引先との飲食代金や、接待ゴルフ費用が代表的ですね。交際費にできるゴルフのプレー代は次のようなものです。

取引先の会社の社長とのゴルフ

取引先の会社の社長を誘ってのゴルフや、誘われて同行するゴルフのプレー代は交際費にできます。

取引先の会社の社長とのゴルフは営業活動に関係があるためです。まだ取引のない会社でも、今後顧客になる可能性がある場合などは交際費にできます。

取引先の会社の社員とのゴルフ

取引先の会社の社員とのゴルフも、営業活動としての実態がある場合には基本的に交際費で大丈夫でしょう。

メンバーの中に仕事関係の相手が1人でもいれば、営業活動に関係があると考えられるからです。

取引のある会社の社員同士でのゴルフ

自社の社員と、取引先の社員がゴルフに行った場合も同様です。

営業活動に関係するのであれば、交際費に計上できます。

ゴルフのプレー代が賞与・給与扱いになってしまうケース

社長が一人でゴルフに行った場合

社長が事業(仕事)と関係なく一人でゴルフに行った場合に会社が費用を出した場合は、賞与として扱います。

社長と社員がゴルフに行った場合

社長が社員を連れてゴルフに行った場合も上記と同様です。

営業活動に関係するものではありませんから、会社が費用を出した場合は賞与・給与扱いになります。

賞与・給与扱いになってしまうと…?

本来個人が負担すべき費用を会社が負担すると、個人が法人から経済的利益を受けたことになります。すると会社から「役員報酬」「給与手当」を受け取ったとみなされてしまいます。

この場合、個人の所得税・住民税負担が増加します。また、突発的な「役員報酬」は税法上会社の損金にならないため、法人税負担も増えてしまいます。

もしこれらについて税務調査で指摘されると追徴課税が課されるため、個人も会社も損をしてしまいます。
会社の費用と個人の費用とは、最初から分けて考えておくのが得策でしょう。

社内ゴルフはなぜ福利厚生費にはならない?

社員旅行や運動会は一般的には福利厚生費にできますから、「社員同士でゴルフへ行くのも福利厚生費になるのでは?」という考え方もあるでしょう。

ですが、福利厚生費に計上できるものは社員が一律に利用できるものに限られます。

ゴルフは一般的に嗜好性の高いスポーツとして認識されており、ゴルフ場を社員全員が同じように利用とは考えにくいのです。

そのため福利厚生費とするのは妥当ではないと判断されます。

社内ゴルフコンペを主催したら?

それでは社内ゴルフコンペはどうか?というと、通常は福利厚生費に計上しません。

例え、社員全員が参加したとしても、交際費として処理した方が無難でしょう。ゴルフコンペに取引先を招いた場合は、営業活動に関連しますので原則的に交際費にできます。

ゴルフ場での飲食代や交通費は経費になる?

ゴルフ場での飲食代

ゴルフへ行くとクラブハウスなどで飲食をする機会がありますが、この飲食代も交際費になります。ただし、ゴルフプレー代が交際費に計上できるケースに限ります。

また、会議費等にはできませんので注意しましょう。

ゴルフ場への交通費

営業活動に関係するゴルフの場合、ゴルフ場への交通費も交際費になります。交通費には計上できません。

出張先でのゴルフで出張手当はつく?

本当に出張があったなら出張手当を出すことに問題ありません。

ただし、1泊2日で1泊目に会議等の業務を、2日目にゴルフをした場合、ゴルフがなければ1日で帰ってこれることになります。その場合、出張手当は会議を行った1日分が妥当でしょう。

ゴルフによる営業活動は、一般に労働とはみなされませんから出張とは考えにくいです。

また、出張旅費は所得税が非課税になることから税務署のチェックも厳しいものです。ゴルフと出張を混在させると本当に会議があったとしても、カラ出張を疑われかねないため注意してください。

ゴルフレッスン代は経費にできるのか?

ゴルフのレッスン代は経費になるかどうか

プレー代が交際費にできるのですから、ゴルフに参加するためのレッスン代や練習費用も交際費にしたいところですが、これは認められません。

レッスン代や研修費用としては、例えば業務で英語が必要な場合の英会話レッスン費用などは経費として認められる場合があります。

しかし、ゴルフの場合はゴルフの上達が業務に直接関係ないので、会社が費用を負担した場合は賞与または給与扱いになります。

ゴルフクラブは経費で購入できるのか?

ゴルフクラブは経費になるかどうか

ゴルフを始めるには、道具も必要です。ゴルフクラブやウエア、ゴルフシューズなど、ゴルフの道具を購入する際にはどうなるでしょうか。

基本的には経費にならない

ウエアやシューズは個人が使用するものですので、交際費とするのは難しいでしょう。

ではゴルフクラブはどうでしょうか?とても高級なものもありますし、できれば経費で購入したいところです。

しかし、基本的にはゴルフクラブも個人が使用するものですので微妙な判断となります。

ゴルフクラブを賞与や給与扱いにせずに購入できるとすれば、備品(工具器具備品)扱いにするという方法が考えられます。

ただし、会社で保管し、他の従業員も使用でき、私用に使わないなどの管理をする必要があります。

ゴルフ保険は経費になるのか?

ゴルフ場の利用料に含まれている保険は、交際費に含めて問題ありません。

ただし、ゴルフは労働とは考えられませんので、あらかじめ加入するタイプのゴルフ保険を経費扱いするのは難しいでしょう。

それは、ゴルフ保険は必ずしも加入する必要はなく、任意加入だからです。そのためゴルフ保険への加入は基本自腹です。もしも会社が費用を負担する場合は賞与か給与扱いにします。

会社の損金扱いにできるといって加入を促す保険営業マンには注意してください。

ゴルフ会員権は資産計上できる

ゴルフ券は資産計上できる

ゴルフ会員権は一般に高額で数百万円することもざらですよね。法人名義でゴルフ会員権を購入し、社員全員が利用できる場合は「ゴルフ会員権」として資産に計上します。※特定の限られた人のみが使う場合には「給与」とされるリスクはあります。

個人名義で購入したものは賞与・給与扱いですが、会員種別に法人がないため、やむ終えず個人会員になった場合、資産として計上できます。

ゴルフ会員権は時間の経過とともに価値の減っていく資産ではないため、減価償却費では計上できません。しかし、一定の要件を満たした場合には評価損(時価の切り下げ)として損金計上できますし、購入価格よりも安く売却した場合は、その差額を損金計上できます。
また、年間の費用(年会費やロッカー代など)は交際費にできます。

交際費は全額損金(経費)に算入できない?

ゴルフは全額損金として計上できるかどうか

交際費にできるゴルフの費用についてみてきましたが、実は交際費には「全額損金不算入」という原則があります。

損金不算入とは、会計上は費用でも法人税の申告の際には「損金」に含めないものをいいます。会計帳簿上の利益よりも法人税を計算する際の利益が増えるため、法人税負担が増えてしまうのです。

会計上の利益 収益-費用=利益
法人税法の所得 益金-損金=所得
法人税額 所得×法人税率

※収益=益金、費用≠損金
ゴルフ関係の支出(交際費)は会計上「費用」になっても、法人税の計算上「損金」に入れられないこともある。

交際費はその性格上、営業活動に必要不可欠なものかの判断が難しく、無制限に損金算入を認めると租税回避につながる可能性もあるため、このような政策がとられています。

しかし、会社を経営するうえで得意先への接待は重要なものですので、交際費の一部について損金算入が認められています。

中小企業なら年間800万円まで

交際費等の損金算入については近年、数回に渡って法改正が繰り返されています。

現在(平成26年4月1日以後の事業年度)、中小企業(資本金または出資金の額が1億円以下の法人)では、年間800万円までの交際費を損金算入できます。

中小企業ならば、交際費の上限はあまり気にしなくてよいケースが多いでしょう。

800万円を超えた場合

会社の規模や営業内容によっても異なりますが、交際費は適度な額にとどめておくのがよいでしょう。

接待飲食費が1,600万円以上なら、その半分を損金にできる

損金算入できる交際費は、800万円か、接待飲食費の50%のどちらかを選べます。

中小企業ではあまりないことかもしれませんが、もしも接待飲食費が1,600万円を超えたなら、その半分を損金に計上したほうが納税額は少なくなります。

まとめ|ゴルフの費用は詳細に記録しておこう

ゴルフの経費はメモをしておく

 

・「新規の顧客になってくれる見込みの相手」とのゴルフは交際費になるとはいえ、まだ取引がない以上、どこまでが見込顧客と言えるのか不明
・会社の利益につながる接待ゴルフかは証明しにくい
・取引先とのゴルフの頻度は、何回までが適当かわからない

など、ゴルフの費用に関しては経費として計上して良いのかどうかの判断が難しいものです。

そのため税務署が注目しやすく、つっこまれやすいポイントでもあります。

税務調査官に聞かれたとしても説明ができるように、参加者の名前や所属会社、日程を記録しておきましょう。

取引先から招待されたゴルフコンペなどは、招待状を保管しておくと確実です。

また、税務上経費として認められるのは社会通念上妥当なものに限られますから、ゴルフの頻度や費用の額は会社の規模や営業内容に対して適当な範囲内に収めることがポイントです。