資産運用に興味はあるものの、知識がないから何から始めたらいいか分からないという方もいるでしょう。

そこで選択肢のひとつとして挙げられるのが資産運用の代行です。

「専門的な知識がなく自分で資産運用をするのが不安」、「資産運用の専門知識を学びたいが時間がない」、といった人には、専門の知識を有する業者などに資産運用の代行を依頼することは有効な方法ともいえるでしょう。

しかし場合によっては資産運用の代行が法律違反になってしまうことがあります

本稿では、どういったケースで資産運用の代行を頼むべきか、どういったケースが法律違反になってしまうのか、どうすれば安全に任せることができるのかについて詳しく紹介します。

1.免許登録のない会社・個人が資産運用の代行をすることは違法

資産運用の代行をするためには、金融商品取引法の規定により、内閣総理大臣への投資運用業(旧・投資顧問業)の免許登録が必要です。免許登録をしていない会社や個人が第三者の資産運用を代行すると、法律違反になります。

では具体的にどのような場合に違法となるのか、次の章で見ていきましょう。

2.判例から学ぶ!誤解されがちな資産運用が違法となるケース

無登録で営業を行っている資産運用代行会社などは当然違法ですが、それ以外にも違法となるケースはあります。

ここでは誤解されやすい違法となるケースや、実際の処罰の内容について紹介します。

親族でも免許がなければNG

自分の資産を預けるのであれば、信頼できる人物に依頼したいのは当然の心理です。そのため自分にとって身近な親族に資産運用を頼もうと考えることは多いでしょう。

しかし、投資運用業の免許取得がなければ、たとえそれが親族であっても違法となります。

たとえば証券会社などの金融機関の口座では、本人以外の第三者が取引を行っていることが発覚した場合、「仮名・借名取引」と判断され口座が凍結されるケースもあるため、十分注意しなければいけません。

■違法になりやすい例

・投資経験が豊富な親族に、おすすめの株式を購入してもらった
・妻が開設したNISA口座で、代わりに投資信託を購入した

知人でも免許がなければNG

親族と同様、資産運用を頼んでしまいがちなのが、資産運用に詳しい知人です。

「投資で利益を出しているから」「金融機関に勤めていて専門知識があるから」という理由で個人的に資産運用を依頼してしまうと、これも違法になってしまいます。

免許登録していない個人が資産運用を代行することは、依頼者との関係性に関わらず違法であることを知っておきましょう。

■違法になりやすい例

・ファイナンシャルプランナーの資格を持っている友人に、資産運用を代行してもらった

・知人に資金を預けて、FXで運用してもらった

実際の処罰について

投資運用業の登録なしに第三者の資産運用を代行した場合、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、又はこれを併科、となっています(金融商品取引法第197条の2より)。

違法行為である以上、バレなければよいという問題ではありません。

違法性を認識した上で、投資顧問業の免許登録をしていない業者や個人に資産運用の代行を頼むのは、非常にリスクの高い行為なのです。

依頼した相手の社会的な立場に影響を及ぼす可能性もあるため、違法な資産運用の代行は絶対にやめましょう。

3.資産運用を頼むときに気をつけたいこと

 

違法な資産運用代行を依頼しないためには、正しい知識を身に付ける必要があります。

ここでは、安全に資産運用の代行を依頼するための3つの方法について紹介します。

資産運用代行会社に頼む

投資運用業の免許を取得している資産運用代行会社に資産運用を任せる場合は、違法の心配はありません。投資運用業の免許を取得している資産運用代行会社とは、資産運用代行業者として内閣総理大臣の登録を受けている業者を指します。

免許登録をしている以上、さまざまな投資方法やそれに関するリスクなどの専門知識を有していることが前提なので、適切な運用をしてもらえる可能性も高いです。

資産運用代行会社の運用方法にはいくつかの種類があり、それぞれ特徴が異なります。

また、資産運用の代行には手数料がかかるのが一般的です。

以下の表で主な運用方法について確認しましょう。

資産運用で得た利益よりも手数料が高ければ、資産は目減りするので注意が必要でしょう。

資産運用に詳しい業者や人に代行してもらうといっても、投資である以上元本割れのリスクは存在します。

必ずしも利益が出ることを約束されているわけではない、というデメリットも把握した上で依頼先を比較検討すべきです。

■投資信託

投資信託とは、投資家から預かった資金を「ファンドマネージャー」と呼ばれる資産運用のプロが運用する金融商品です。

投資先は日本国内のほか、アメリカやヨーロッパなどの先進国やブラジルやインドといった新興国など銘柄によってさまざまです。

証券会社や銀行などの専用口座があれば、好きな銘柄を誰でも購入することができます。

最低投資金額は1,000円程度からが一般的で、ネット証券などでは1,000円未満でも購入できるところが増えてきました。

少額から投資したい人や、NISAやiDeCoを利用して税制優遇を受けたい人におすすめの方法です。

■ラップ口座

ラップ口座は、銀行や証券会社などの金融機関に資産を預け、その運用・管理を一任できるサービスです。

三井住友銀行の「SMBCファンドラップ」、みずほ証券の「みずほファンドラップ」、野村證券の「野村ファンドラップ」など、大手銀行や証券会社でラップ口座を契約することができます。

ラップの由来は英語の「wrap(包む)」からきており、資産運用に関する包括的なサービスを意味します。

「SMA(SeparatelyManagedAccount)」と呼ばれることもります。

ラップ口座を開設する際は、金融機関が依頼主の投資方針やリスク許容度をヒアリングし、その人に最適な運用コースを提案します。

自分で銘柄を選んだり売り時を見極めたりする必要がないため、「どの商品を選べばよいかわからない」、「資産運用に手間をかけたくない」、「資産運用をまるごと任せたい」といった人に向いている方法といえます。

以前は、最低投資金額が1000万円程度で富裕層向けのサービスでした。

しかし近年は、ラップ口座を小口化した「ファンドラップ」というサービスが登場し、300万円程度から投資が可能になりました。

投資のハードルが下がったことにより、契約数が急増している人気のサービスです。

一般的には、以下のような流れでラップ口座の運用が行われます。

 

①ヒアリング:金融機関の担当者が、契約者の投資の意向をヒアリング

②運用コースの提案:ヒアリング結果に基づいて、契約者にとって最適な運用コースを提案

③契約:運用コースが決まったら、契約者と金融機関の間で「投資一任契約*」を結ぶ

④運用開始:投資一任契約*に基づいて、金融機関は運用を行う

⑤報告:四半期ごとに金融機関から運用状況が報告される

 

⑥アフターフォロー:必要に応じて再度ヒアリングを行い、運用方針の見直しや運用コースの変更を行う

 

* 投資運用業者が、契約者から投資判断の全部または一部を一任され、その投資判断に基づいて契約者の資産運用を行うための権限を委任される契約のこと

■ヘッジファンド

ヘッジファンドとは、富裕層や機関投資家から資金を預かり、高いリターンをねらう運用のプロ集団のことです。

ヘッジファンドでは、投資信託と異なり運用手法にほとんど制限がありません。

そのためデリバティブや先物といった高度な投資手法を取り入れ、積極的に利益を狙うことができるのです。

海外では富裕層の資産運用として一般的な方法であり、日本でも近年徐々に注目を集めています。

誰でも購入できる投資信託とは対照的に、ヘッジファンドは富裕層や機関投資家にのみ募集が行われる「私募形態」となります。私募とは、50人未満の投資家、または金融機関や一定要件を満たす法人などの「適格機関投資家」に対して行われる募集のことをいいます。

さらに手数料形態も特徴的です。

投資信託やラップ口座の場合、運用成績に関わらずその資産運用業務に対して信託報酬を支払う必要があるが、ファンドラップでは運用収益が出た場合にのみ成功報酬が徴収されます。

しかしその成功報酬は運用収益の20~50%程度、投資信託の信託報酬の10倍以上に設定されています。

その成功報酬の高さが資産運用を代行するファンドマネージャーのインセンティブとなり、高いリターンを狙おうとする原動力となるのです。

ヘッジファンドは金融商品取引法の規制のため、国内の証券会社では取り扱われていません。そのため、ヘッジファンドを購入するためには、直接ヘッジファンドにコンタクトを取るか、国内の運用会社がヘッジファンドと同じ仕組みで運用する「ヘッジファンド型投資信託」を購入する必要があります。国内のヘッジファンドでは、「BMキャピタル」や「アズカルアセットマネジメント」などが代表的です。

ヘッジファンドは最低投資金額1,000万円程度と高額です。

まとまった資金を運用したい場合や、高い成功報酬を支払ってでも大きな利益を出したい場合は、検討してみてもよいでしょう。

親族や知人に頼みたい場合は、会社を通して依頼する

親族や知人に資産運用の代行を頼みたい場合でも、資産運用を代行するための投資運用業に登録するためには株式会社である必要があり、個人では登録できません。

しかし、親族や知人が営んでいる会社や、彼らが勤務している会社が投資運用業であるというケースもあるでしょう。

その場合、彼らを窓口として会社に運用の代行を頼むのであれば違法行為にはなりません。

たとえ親族や知人が資産運用代行会社の経営者や社員であっても、個人的に資産運用の代行を頼むことはできないので、会社を通して依頼しましょう。

自分で資産運用の知識を身に付ける

ファイナンシャルプランナーの勉強や投資に関する勉強をすることも、資産運用をするための一つの手段です。

専門知識を習得すれば、第三者の知識に頼る必要がなく自ら資産運用を行う自信にもつながるでしょう。

また資産運用の代行を依頼する場合でも、代行先の業者がどのような運用を行うのか理解するための知識は必要です。

プロに任せっきりにするのではなく、最低限の知識は身につけておきましょう。

4.良い資産運用の代行先の見つけ方

資産運用の代行を頼むのであれば、優良な代行先を見つけたいものです。

ここでは、安全で信頼できる資産運用代行先を見つけるポイントについて紹介します。

運用方法について詳細な説明がある

代行先に資産運用を任せる場合でも、預けた資産がどのような方法で運用されているのか把握しておく必要があります。

信頼できる投資先であれば、運用方法について詳しく説明してくれるはずです。

逆に、詳細な運用方法を説明しないような不誠実な代行先は、リスクが高いので避けるのが賢明です。

また代行先の中には、仕組みが複雑で理解しづらいような投資手法を提案してくる業者もいるでしょう。

そのような場合は、無理にその代行先にこだわるのではなく、別の代行先を探すことも必要となります。

また説明を聞くだけでなく、許容できるリスクや運用方針などを明確に伝えることも大切です。

自分が提示したリスク許容度や運用方針がしっかり運用計画に反映されていることを確認し、納得したうえで依頼しましょう。

手数料が適正な価格である

手数料は資産運用におけるコストです。

せっかく資産運用で利益が出ても、代行先に支払う手数料によってその利益が消えてしまっては本末転倒です。

そのため、手数料が適正価格であるかどうかも、代行先を選ぶうえで重要なポイントとなります。

資産運用の代行先の中には、不当な手数料を請求してくるところもあります。

手数料の適正価格は、代行を依頼する資産額や投資方法によって異なるため一概にはいえませんが、同じようなサービスを提供する複数の代行先から話を聞いて、手数料を比較検討することをおすすめします。

1社だけでは請求されている手数料が適正かどうか、判断がつかないからです。

複数社から手数料の目安を提示してもらい、極端に手数料が高い業者があればそこは避けたほうがよいでしょう。

無登録業者は金融庁のHPでチェックする

資産運用の代行業者の中には無登録業者も存在します。

銀行や証券会社など名の通った業者ならその心配はないですが、独立系や海外系の資産運用代行業者の場合は注意が必要です。

すでに金融庁から警告が出されている無登録業者は、金融庁のホームページで確認することができます。

少しでも怪しいと感じたら、無登録業者のリストにその業者の名前が載っていないか、確認してみましょう。

5.まとめ|個人による資産運用代行は法律違反!信頼できる代行先を探そう

資産運用の代行には投資運用業の免許取得が必要であり、無登録で資産運用代行をすることは法律で禁じられています。

たとえ親族や知人であっても個人で資産運用の代行をすると違法行為に該当するため、その点を踏まえたうえで適正な代行先に依頼することが大切です。

違法となるケースを十分に把握したうえで、安全で信頼できる資産運用の代行先を見つけましょう。

自分に合った資産運用を代行してもらうことで、将来的に自分で資産運用を行うための知識を得るきっかけにもなるでしょう。