社会人になって仕事も慣れてくると、将来のキャリアについて考えたり、「そろそろ、目標でも……」と思うこともあるでしょう。しかし、いざ目標を考えても、どう立てたらよいか分からず、ついつい後回しにしていませんか? それは、そもそも、目標の立て方に問題があるからです。

この記事では、目標を立てることが大切な理由や、あなたにあった目標の立て方などを例文つきで分かりやすくご紹介します。目標がうまく立てられると、やる気が出たり、将来のキャリアプランも描けるようになります。

本記事をご覧いただき、自分にあった目標の立て方をマスターしてキャリアアップに生かしてみてください。

仕事をする上で目標を立てることがなぜ大切なのか?

まず、なぜ仕事の目標を立てることが大切なのかについて考えてみましょう。

仕事をする上で明確な目標があった方がよい理由として、以下の8つが挙げられます。

1.仕事に対するモチベーションが上がる

目標を立てると仕事に対するモチベーションが上がります。仕事において、自分が今何をやるべきかが明確になるからです。人から言われて嫌々やるのではなく、自分の仕事として意欲を持って取り組めるようになります。

2.集中力・生産性が向上し、時間の使い方も効率的になる

いつまでに、何を達成するという期限が明確になると、その達成期限までに間に合わせようと仕事への集中力が高まります。集中力が高まると、時間あたりの作業効率も高まり、生産性も向上します。また、目標達成のために何をどのような優先順位で取り組むかを考えるようになり、時間の使い方も効率的になります。

3.行動力・実行力・積極性が身につく

人は他人から言われてやる目標ではなく、自ら立てた目標に対して主体的に取り組めるようになっています。目標達成のための計画に自ら動き、実行することができるようになります。また、仕事を円滑に進めていくためにも、社内外の関係者との人間関係を積極的に構築しようと努めます。

4.仕事の充実度・達成感が高まり、やりがいが持てるようになる

日々の目標に向かう中で、仕事の充実度も変わります。一日一日、何のために仕事をするのかが明確になるからです。目標をクリアできるようになると、仕事の達成感も高まります。自分の仕事に誇りややりがいが持てるようになるでしょう。目標を達成したときの喜びは、目標がなければ味わえないものです。

5.自己の成長を実感でき、自信が持てるようになる

目標を達成する経験を通して、自分の成長を実感できるようになります。人は良い成功体験を積み重ねることで自信や自己肯定感が生まれます。良い目標は自分の意欲や能力を引き出してくれるコーチのような存在です。

6.将来のキャリアビジョンを描けるようになる

毎日の目標の積み重ねが仕事の成果やキャリアアップにもつながります。日々の小さな目標を達成し、自分の成長やスキルアップを実感できるようになると、将来についても前向きに考えられ、良いキャリアビジョンを描けるようになります。また、目標があることで、キャリアビジョンに対してどこまで近づいたのかという、現在の位置を知ることもできます。

7.自らアイデアや発想がわき、問題解決能力も向上する

目標があるからこそ、それを達成するためのアイデアや創意工夫などの発想が生まれてくるようになります。また、たとえうまくできなかったとしても、それを改善しようという意欲が生まれ、問題解決能力の向上にもつながります。

8.上司や同僚からの信頼も得られ、チャンスにも恵まれる

仕事への意欲や取り組む姿勢が高まると、上司や同僚からの信頼や評価も得やすくなります。物事を肯定的に見つめ、積極的にチャレンジしようとする人はチャンスにも恵まれ、良い人間関係にもめぐり会えます。また、目標を達成することで、会社への貢献度も高くなります。

このように目標を立てることによって、仕事への取り組み方もまったく変わってくることがご理解いただけるでしょう。

では逆に、仕事の目標がなかったら、どうなるでしょうか。以下のような状況に陥ってしまうことが考えらえます。

  • 仕事のモチベーションが上がらず、言われた目標に従うだけになる
  • 仕事への意欲がわかないため、生産性も低下し、仕事がはかどらなくなる
  • 成長の実感や達成感が得られず、仕事に対するやりがいも持てなくなる
  • 仕事を行うことが苦痛になり、人間関係も煩わしくなる
  • 何のために仕事をやっているのか分からなくなる

目標がない人生ははっきり言って何も良いことがありません。同じ仕事をするなら、目標を持って生き生きと毎日を過ごしたいものですよね。

仕事の目標の効果的な立て方と具体的な5つのステップ

さて、ここからは、仕事の目標の効果的な立て方と具体的な5つのステップについてご紹介します。以下のような流れでお話します。

  1. まずは目標と目的の違いを正しく理解しよう
  2. 仕事の目標の立て方とは?良い目標例と悪い目標例の具体例から学ぼう
  3. 実践しよう、SMARTを使った目標の定め方(目標を立てる5つのステップ)
  4. 目標は定期的に振り返ることが大切

それでは、さっそく始めていきましょう。

1.まずは目標と目的の違いを正しく理解しよう

より良い目標設定のためには、目的を明確に持つことが大切になります。でも、この目的と目標を混同したり、間違って使ってしまっている人も多いのではないのでしょうか。

うまく目標設定を行うためにも、目的と目標の定義についてしっかり理解しておきましょう。

広辞苑にはそれぞれ以下のように説明されています。

目的:成し遂げようと目指す事柄。行為の目指すところ。意図している事柄。
目標:目じるし。目的を達成するために設けた、めあて。的(まと)。

上記のように、目的とは最終的に成し遂げたいことや、その行為を「何のためにやっているのか」を意味づけるものです。

それに対して、目標とは、目的を達成するために設けた通過地点のようなものです。一つひとつのゴールをクリアしていくことで目的達成が実現できるのです。

例えば、目的と目標は以下のような関係になります。

例1)
目的:業界でナンバーワンの会社をつくる(最終的に成し遂げたいこと)
目標:5年後までに1万人の新規顧客を獲得して業界一の顧客数を達成する(目的を達成するための通過点)

例2)
目的:海外のビジネスパートナーを獲得する(何のためにやっているのか)
目標:3か月間でビジネス英語をマスターする(目的を達成するための通過点)

目的があいまいだと、何のための目標か分からなくなったり、目標に対する意識も低くなります。また、目の前の目標をただ達成することだけが目的になってしまったりもします。

ですから、目標を立てるときには、この目的もセットで考えることが大切なのです。

2.仕事の目標の立て方とは?良い目標例と悪い目標例の具体例から学ぼう

では、どのような目標が良い目標だといえるのでしょうか。ここでは、目標の良い・悪いを評価する軸として以下の5つを設定しました。

  • 何に取り組むかという具体的な行動が入っている
  • 目指す数値目標が入っている
  • いつまでに達成するかという期限が明確である
  • 期限までに達成可能な目標である
  • 仕事の成果に結びつく目標である

これらを満たしているものを良い目標、満たしていないものを悪い目標として、それぞれ3つの具体例をご紹介します。それぞれ、なぜ良いのか・悪いのかというポイントも説明していますので参考にしてください。

良い仕事の目標例

1.今月は新規顧客を15件獲得して営業目標を120%達成する
⇒ 具体的な行動・期限・数値目標などがはっきりしている

2.〇月△日の会議前日までに企画提案書を作成して上司とすり合わせる
⇒ いつまでに何をどの段階までやるかが明確に決まっている

3.取引先との待ち合わせの30分前には到着し、打ち合わせ内容を入念に確認しておく
⇒ 行動や時間が具体的である。また、単に「遅れない」という消極的な目標ではなく、肯定的で前向きに取り組める内容になっている

悪い仕事の目標例

1.〇〇の資格を取るために毎日勉強する
⇒ 具体的に何をどれぐらい勉強するのか決まっておらず、達成基準もあいまいなため、長続きしにくい

2.1週間で今月の売上目標を達成する
⇒ 目標が高すぎて期限までに到達が難しく、挫折しやすい

3.(趣味の)サッカーのスキルアップを目指す
⇒ 仕事との関連性が薄く、仕事の成果に結びつかないため、目標としてはふさわしくない

いかがでしょうか? これらの具体例を通して、良い目標の立て方には一つの法則があることをご理解いただけるでしょう。具体的な行動や数値目標・達成期限などが明確であり、達成可能であることなどがポイントなのです。

それでは、いよいよ具体的な目標の立て方について見てみましょう。

3.実践しよう、SMARTを使った目標の定め方

ここでは、目標設定の方法としてよく知られる「SMARTの法則」を使った目標の立て方をご紹介します。SMARTの法則は、先ほど「仕事の目標の立て方とは?良い目標例と悪い目標例の具体例から学ぼう」でお話した5つの評価軸に沿った目標設定法であり、①目標を立てる、②実践する、③振り返るという3つのサイクルを具体的に取り組みやすい方法です。

SMARTの法則の「SMART」とは、効果的な目標設定のための5つの要素を示しています。

S:Specific(具体的である)
M:Measurable(測定可能である)
A:Achievable(到達可能である)
R:Relevant(関連性がある)
T:Time-bound(期限がある)

それでは、SMARTの法則をもとに、目標を立てる5つのステップについてわかりやすく解説していきます。

ステップ1.できるだけ具体的な目標を書き出す

あなたが仕事やキャリアアップのために達成したい目標をできるだけ具体的に書き出しましょう。漠然とした目標ではなく、具体的な行動まで落とし込まれていることがポイントです。

例)簿記検定2級に合格する

ステップ2.測定可能な数値目標を明確にする

測定可能な数値目標を明確にしましょう。測定可能な目標であってこそ、評価や改善もしやすくなります。上の例では、「簿記検定2級」という数値目標がありますが、それを達成するための継続的な実践目標もあった方がより明確になるでしょう

例)簿記検定2級に合格するために1日2時間勉強する

ステップ3.達成可能な目標であるかどうかをチェックする

目標が難しすぎず、簡単すぎず、到達可能な程よい目標であることがポイントです。チャレンジすれば手が届くぐらいの目標が良い目標になります。立てた目標が自分にあったものかどうかをチェックしましょう。

例)簿記検定3級の資格を持っていて商業簿記の基本を習得している、1日2時間の勉強時間が確保できる ⇒ 達成可能な目標である

ステップ4.仕事の目的に関連性があるかどうかをチェックする

目標が仕事の目的に関連性があるかどうかをチェックします。立てた目標を達成することで、どのように仕事の目的や成果に結びつくのかが明確にイメージできることが大切です。また、将来の自分のキャリアビジョンと照らし合わせて考えてもよいでしょう。

例)簿記検定2級を取得することで対応できる業務が増えて社内でのキャリアアップが見込める、簿記検定2級を取得しておくことが将来の転職活動にも生かせる

ステップ5.達成期限を決める

最後に、目標達成までの期限を決めましょう。達成期限を設定することで、そのプロセスも明確になり、計画を立てて取り組むことができるようになります。まずは、1年後ぐらいの目標を立て、そこに向けてのプロセスを考えてみるとよいでしょう。

例)今年中に簿記検定2級に合格するために1日2時間勉強する

4.目標は定期的に振り返ることが大切

SMARTの法則を使った5つのステップで目標を立てられたら、さっそく毎日実践していきましょう。そして、実践したら振り返ることが大切です。

目標は「やりっぱなし」では意味がありません。振り返りの中にこそ、学びや気づきが得られます。どんなに良い目標を立てても、振り返らなければその目標に対して評価ができませんし、成長の実感もできません。

例えば、1か月後の目標を立てたとします。その目標に対して毎日取り組めたかどうかを「〇」「×」でチェックし、1週間ごとに「できたこと」「できなかったこと」をノートや手帳などに振り返っていきます。

1週間ごとの振り返りを記録しておくと、1か月後の振り返りも効率よくできます。そして、1か月後に総括して、目標が達成できたらその成功体験を生かしてさらに次の目標を立てます。もし、達成できなかったら、「なぜできなかったのか」「どうやったら次はできるのか」という改善点・改善策を明確にして次の目標に反映させます。

このように、立てた目標に対して達成できたかどうかを明確にして常に改善していくことが、より良い目標にしていくポイントです。

目標を上手に立てられる5つのコツ

1.目標はできるだけ具体的に立てて、達成への道筋も見えるようにする

目標はできるだけ具体的に立てることがポイントですが、目標達成への道筋も見えるようにしておくことが大切です。例えば、1年以上先の長期的な目標を立てたら、そこに向けて中期目標・短期目標まで設定しておくと明確になります。さらに、毎日の目標にまで落とし込んで実行できたら、その目標は実現可能性の高い目標になるでしょう。

2.仕事だけでなく個人の目標も立てる

仕事の目標だけでなく、個人の目標も立てると、生活にメリハリが出ます。プライベート面の充実や自己のスキルアップなどの目標も立ててみましょう。プライベートが充実すると、仕事への意欲も高まり、相乗効果が生まれます。

3.目標は時間をたっぷりかけて立ててもいい

目標設定はとても大切なので、時間をたっぷりかけて立てるぐらいがちょうど良いです。最初から目標を立てるのが上手な人はいません。最初は時間がかかっても良いので、SMARTの法則を参考にして、一つひとつのステップに取り組んでいきましょう。

4.目標を達成したときの姿をイメージする

目標を達成したときの姿をイメージすることがモチベーションを保つ秘訣です。常に目標を意識できるように、部屋に貼りだしたり、常備する手帳に書き出したりして、「見える化」するとより効果的になります。

5.目標は変えても良い

目標は途中で変えても構いません。一度立てたら達成するまで変えてはいけない、という決まりはありません。実践と振り返りを繰り返しながら、より自分にあった目標が見つかったら変更しても良いのです。いかに、自分にあった効果的な目標を立てるかが大切です。

まとめ|SMARTの法則で仕事の目標を立ててキャリアアップを

仕事の目標はSMARTの法則にそって、5つのステップで立てることがポイントです。

目標を立てる5つのステップ

1.できるだけ具体的な目標を書き出す
2.測定可能な数値目標を明確にする
3.達成可能な目標であるかどうかをチェックする
4.仕事の目的に関連性があるかどうかをチェックする
5.達成期限を決める

良い目標はあなたのモチベーションや能力を引き出し、仕事の達成感や自己の成長、豊かな発想力やキャリアビジョンなどをもたらしてくれます。目標の立て方を習得し、ぜひあなたのキャリアアップに役立ててください。