「リスニングの音声を聞き続けているけど、なかなか聞き取れるようにならない」
「リスニング試験で、少し長めの音声になると、いつも途中から理解が追いつかなくなる」
「スクリプトを見たらほとんど知っている単語なのに、リスニング中は全く聞き取れない」

こういったリスニングに関する悩みに同意する人も多いはず。

リスニングができない原因は1つではありません。そして、それぞれ想定される原因に合った対策をしなければリスニング力は上がってくれません。

そもそもなぜ英語が聞き取れないのか、リスニングができる人は自分と何が違うのか、ちゃんと原因を把握した上で弱点を強化する対策に取り組むことが重要です。

原因を押さえて、それを克服する適切な勉強法に打ち込めば、誰でもリスニング力は飛躍的に向上します。「耳が良い・悪い」とか「年齢」や「才能」は関係ありません。

本記事では、リスニング力を向上させる対策を「聞き取れない原因」から探り、個々の弱点を克服する最適な勉強法を提案します。

リスニング力が少しでも上がると、海外ドラマや洋楽で「聞き取れた!」という場面も出てき始め、もう少し勉強を続けてみよう、今度は英会話にも挑戦してみようか、という成長の軌道に乗ります。

まずはできない原因を1つ解消して、小さな「できた!」を積み重ねていきましょう。

英語のリスニングを上達させるための3つのステップ

本記事では、以下の3ステップに従って、あなたが英語を聞き取れない原因を突き止め、それを克服するためにどんな勉強をすればいいかを明らかにしていきます。

  • 英語が聞き取れない”症状”を分析し、想定される原因を探る
  • 英語が聞き取れない”原因”を突き止め、自分の弱点を把握する
  • 英語が聞き取れない原因を”克服”するための勉強法を学ぶ

まず、リスニングができない原因を探り、「何が原因で英語の音が聞き取れないのか?」「なぜリスニング音声についていけないのか?」ということを明らかにします。

そして、想定される複数パターンの原因の中で、「自分はどの原因が当てはまるのか?」を突き止めるために、ディクテーションによる弱点分析を行います。

リスニングができない原因と自分の弱点がわかったら、そこを重点的に強化していくのみです。その対策となる勉強法をお教えします。

ステップ1. 英語が聞き取れない”症状”を分析する|原因は5つ

まず「リスニングができない」という具体的な症状は、以下の2つに別れます。

  1. 英語の音を認識できない
  2. 英語の意味を理解できない

この症状は、必ずどちらか一方に当てはまるのではなく、英文のレベルやリスニング音声のスピードによって、どちらも見え隠れするものです。

そして、それぞれの症状が引き起こされる主な原因は5つあります。自分が該当する原因に思い当たる節がないか、確認してください。

1. 英語の音を認識できない

英語の”音”を認識できないというのは、”英語が英語に聞こえない”、”何と言っているのかが聞き取れない”という状態です。

その原因として考えられるのは、以下の3つです。

  • 単語の音を知らない
  • 単語の意味を知らない
  • 英語特有の音声変化を聞き取れていない

原因①単語の意味を知らない

これは英語に限らず日本語でも同じことですが、意味を知らない単語はいくら聞いても正しく聞き取れません。

私たちの脳は、ある言葉を聞いた時、瞬時にその言葉の意味を想像できないと「意味のある音」として正しく聞き取ることができず、無意識に意味を知っている言葉の音に置き換えようとします。(参考文献

つまり、”音”と”意味”を互いにリンクさせた状態で覚えていないと、その英語は正しく聞き取れないということになります。

原因②単語の音を知らない

「リスニングの問題を何回聞いても聞き取れなかったけど、解答のスクリプトを見ると、ほぼ知っている単語だった」というのは、それらの単語の”音”を知らないからです。

単語のスペルや意味を知っていても、音としてどう聞こえるか(どう発音されるか)を知らないと聞き取ることができません。

原因③英語特有の音声変化を聞き取れていない

複数の単語で構成される英文は、その単語を1つずつ丁寧に発音するのではなく、単語と単語の連結部で音が変化したり、結合して消失したりするのが通常です。

また、同じ英文でも話し手にとって重要な部分が「強く、ゆっくり、そしてハッキリと」発音され、前置詞や冠詞などは「弱く、速く」発音されます。

単語の音を知らないと聞き取れないのと同様に、この「音声変化の存在」と「実際にどういう音になるか」を知らないと、その部分は何を言っているのか聞き取れません。

2. 英語の意味を理解できない

英語の”意味”を理解できないというのは、”英単語は聞き取れるけど、文章の内容がわからない”、もしくは、”最初の方は理解できるけど、後半はほとんど頭に入ってこない” という状態です。

これらの症状の原因として考えられるのは、以下の2つです。

  • 文法知識が不足している(または定着していない)
  • 音声スピードに理解が追いついていない

これら2つは、英語を聞き取る能力というわけでなく、頭の中で英文の意味を理解する処理能力が低いことを示します。

原因④文法知識が不足している(または定着していない)

リスニング音声で流れてくる英語は、”Hello” や ”Thank you!” などの口語特有のものを除いては、ほとんど英文の形で登場します。この英文を理解するために必要となるのが「文法」です。

単語は英文を構成する要素であり、文法は単語を並べて意味の通った英文を作るルールのようなものです。

音声を聞いた時に、1つ1つの単語の音は認識できているのに、英文を理解できなかったのであれば、文法知識が不足しているということになります。

読んで理解できない英文は、音声で聞いてもやはり理解できません。

もし「スクリプトを読めば理解できた」という場合は、文法知識はあるものの、音声が流れた時に、頭の中で瞬時に(無意識に)その文法事項を引き出せていないということです。

原因⑤音声スピードに理解が追いついていない

聞こえてきた英文を前から理解する「英文処理速度」が音声スピードよりも遅いと、どのリスニング問題を解いても、最初の2~3文までしか意味を聞き取れないということが起こります。

1つ目の英文を理解し終えていなくても、音声が容赦なく次の英文に進んでいくので、徐々に遅れをとって、途中から全く理解が追いつけなくなるというわけです。

この英文処理速度は、リーディングの読解速度と同じで、英文の情報を視覚で捉えるか、耳から音として取り入れるかの違いです。

自分の読解スピードより速い音声は理解が追いつきません。

教材のスクリプトを黙読した際、「音声よりも速いスピードで、かつ飛ばし読み・返り読みをせずに1度で理解しきる」ことが必要になるということです。

ステップ2. 英語が聞き取れない”原因”を突き止める|ディクテーションで弱点把握

ここでは、下記リスニングができない5つの原因のうち、自分が英語を聞き取れない原因はどれか、特に弱点となっているものは何かを明確にしていきます。

  • 原因①単語の音を知らない
  • 原因②単語の意味を知らない
  • 原因③英語特有の音声変化を聞き取れていない
  • 原因④文法知識が不足している(または定着していない)
  • 原因⑤音声スピードに理解が追いついていない

リスニングの弱点把握には「ディクテーション」が有効です。

ディクテーションは、聞こえてきた英語音声を一言一句書きとるトレーニングです。

ひたすら英語音声を聞いて書き取るだけの労力のかかる作業ですが、リスニングの弱点を容易にあぶり出すことができ、またリスニング能力自体も格段に向上します。

ディクテーションの進め方

現在、取り組んでいるリスニング教材(音声+スクリプト)を準備して、下記の手順で進めてみてください。

▼ディクテーションの手順

  1. 何度も聞いて一字一句書き取る。
  2. 書き取れなかった部分は文法、文構造、または文脈から推測する。
  3. 「これ以上はいくら聞いても無理!」というところまで書き取ったらスクリプトを見て答え合わせ。

▼以下、書き取り例です。

単語のスペルがわからないところはカタカナでも構いません。聞き取れないところは空欄にしておきましょう。

リスニングの弱点分析の方法

ディクテーションが終わったら、以下の点に注意しながらスクリプトを見て答え合わせをしてきます。

【ディクテーション】答え合わせ時の注意点

  • 文法:大文字・小文字、冠詞、複数形sの抜け、句読点も細かくチェック
  • 書きとれなかったところ:単語(熟語)ミスか、文法知識の抜けか、音声変化(強弱、連結や消失)を聞き逃したのか

スペルミスや文法ミスは別途チェックするものとし、答え合わせ結果を以下の表と照合し、想定される弱点を見つけてください。複数当てはまる場合もあります。

答え合わせの結果 想定される弱点
知っている単語が聞き取れていない 原因①単語の音を知らない

原因③英語特有の音声変化を聞き取れていない

知らない単語があった 原因②単語の意味を知らない
前置詞や冠詞が聞き取れていなかった 原因③英語特有の音声変化を聞き取れていない

原因④文法知識が不足している

何度も聞いているうちに意味がわかった 原因⑤音声スピードに理解が追いついていない
スクリプトを見ても理解できない部分がある 原因④文法知識が不足している

リスニングができない原因がわかれば、その原因を克服するトレーニングを重点的に積むことで、リスニング力は改善されていきます。もし複数もしくは全てに該当する場合は、原因①と原因④から優先的に対策していきましょう。

ディクテーションで使用する教材によっては、結果にバラつきが出るので、何問か挑戦してみて傾向を分析してみましょう。

ステップ3. 英語が聞き取れない原因を”克服”する|リスニング上達の勉強法

自分が英語を聞き取れない原因が下記5つのどれかを把握できたら、これからご紹介する勉強法でそれぞれ克服していきましょう。

  • 原因①単語の音を知らない
  • 原因②単語の意味を知らない
  • 原因③英語特有の音声変化を聞き取れていない
  • 原因④文法知識が不足している(または定着していない)
  • 原因⑤音声スピードに理解が追いついていない

①「単語の音を知らない」を克服する勉強法

単語の”音”が聞き取れるようになる条件は、自分がその音を正しく発音できことです。自分が発音できない音は正しく聞き取れず、脳内でカタカナ発音に変換されてしまいます。

勉強法としては、音声をマネた自分の発音を録音して聞き比べ、トライ&エラーを繰り返して改善していくしかありません。

以下のような発音教本を手元に置いて、1つ1つの発音を地道に練習していきましょう。

▼おすすめの発音教本

英語耳:発音ができるとリスニングができる

フォニックス<発音>トレーニングブック

1点問題となるのが、自分がちゃんと正しく発音できているかの自己判断ができないこと。自分の声を録音して聞いたり、発音チェックのアプリを使ったりする、といったことが限界です。

英語を発音する際の口の形や舌の位置は、筋トレのように反復練習することで体に染みつき、徐々に力を抜いていても発音できるようになるのですが、逆に一度誤った発音を覚えてしまうと、また矯正するのに同じだけ時間を要します。

ベストな方法は、発音ができているかをネイティブにチェックしてもらうことです。教本を手元に置きつつ、オンライン英会話のネイティブ講師の指導や発音矯正コースを受けると、間違いが起こりにくく、何より会話をしながらレッスンを進めるのでリスニング力も付きます。

②「単語の意味を知らない」を克服する勉強法

これは、シンプルに自分の知っている単語を増やしていくことで解消されます。知らない単語があること自体は全く悪いことではありませんので、新しい単語が出てくるたびに覚えていきましょう。

ただし、新しい単語に出会ったときには、必ず ”音” を確認し、単語の意味と結び付けて覚えるようにしましょう。

③「英語特有の音声変化を聞き取れていない」を克服する勉強法

言語音声学で英語の音声変化を分析すると、100パターン近くあるようですが、なかなか覚えられるものではなく、ネイティブも意識しているものではありません

基本となる下記5つのパターンが存在することを頭に入れて、あとは耳で聞いたものを再現しながら、体で覚えていくことが重要です。

英語の音声変化の基本ルール
語尾の子音と語頭の母音が繋がる keep it:キーピッ
同じ子音が連続するときは2つ目だけ発音する next to me ;ネクストゥミー(neks-tu mi:)
語尾の破裂音[p][b][t][d][k][g]は消失する wake up:ウェイカッ
[t]が日本語のラ行に近い音になる Get up:ゲラッ
冠詞や代名詞、前置詞、助動詞などの機能語のあいまい母音(弱形)は消失気味になる of:ゥブ、can:クン、and:ン、was:ゥズ…など

まずは、自分が聞き取れるようになりたいリスニング教材()のリピーティング(コンマや話し手の息継ぎごとに音声を止めて、直前部分を声に出して繰り返す練習)から始めてみてください。

※ゆっくりの音声では音の連結や消失が発生しないことがあり、自然な音声変化が表れにくいため、教材はナチュラルスピードが収録されているものを選びましょう。

発音やリズム、イントネーションをできる限り正確に再現するように声に出して練習します。自分の声を録音してみるとできているかどうか確認できます。

④「文法知識が足りない」を克服する勉強法

ここでの英文法は、英文を読むために必要な”文法事項”を身に付けることであり、細かい文法用語などは覚える必要はありません。

まず、中学~高校1年レベルの基本の文法事項をしっかりと押さえておけば、残りの難解な文法事項は例文を覚えることで感覚的に身についていきます。

TOEICなどの網羅的な文法知識が必要となる場合には、「参考書+問題集」がセットになった文法テキストで反復学習を行うといいでしょう。

総合英文法書として定番のForestロイヤル英文法などは、情報量が多すぎるため、英語初学者や今すぐのリスニング対策には向いていませんが、文法書としての完成度は非常に高いので、辞書代わりに手元に置いておくといいです。

⑤「音声スピードに理解が追いついていない」を克服する勉強法

自分の読解スピードよりも速い音声は理解できません。したがって、精読や多読によって読解スピードを強化することでこの問題はクリアできます。

ただ、「速く読むこと」と「英文を前から読んで1度で理解すること」の両方を意識しなければ、なかなか読解スピードは上がりにくいです。

聞き取れるようになりたいリスニング教材のスクリプトを準備して、下記の手順で精読してみましょう。

▼読解スピードを上げる練習法

  1. 時間を計ってとにかく速く読む。
  2. 内容を前から語順通りに理解していくように読む。
  3. 飛ばし読み、返り読みは一切禁止。
  4. 途中で追いつけなくなっても最後まで読み通す。
  5. 内容が理解できなかった場合はもう1回最初から読み直す。

スクリプトの語数と読み終わるのにかかった時間がわかれば、wpm(word per minute = 1分あたりで読める語数)が測定できます。wpm = [語数] ÷ [時間(秒)] × 60 です。

TOEIC対策の場合、リスニング問題の音声スピードは大体160~180wpmですので、読解スピードは180〜200wpmを目指すといいでしょう。

以上でご紹介した5つの勉強法を、挑戦するリスニング問題のレベルに合わせて対応させていけば、「リスニングで英語が聞き取れない」ことはほぼ無くなります。

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出典:ネイティブキャンプ

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まとめ|聞き取れない理由がわかればリスニングは誰でも伸ばせる

今回は、リスニング力をアップさせる方法を、英語が聞き取れない原因を押さえるところから、順を追って解説しました。

英語学習では「習うより慣れよ」「質よりも量」と言われることもありますが、英語力が向上する理論がわかったうえで量をこなすことが、上達への近道となります。

リスニングは、「なぜか聞き取れない」状態が続くと辛いですが、聞き取れない原因を知って対策に打ち込めば誰でも能力を伸ばすことが可能です。

また、このレベルの英語を聞き取れるようになったかどうかで、成果も目に見えやすいので、小さな成功体験を1つずつ重ねて、成長の軌道に乗っていきましょう。