スマートフォンのディスプレイには、見知らぬ電話番号。オフィスフロアを出て通話ボタンを押すと、落ち着き払った男性の低い声があなたにこう語りかけます。「お忙しいところ、突然のお電話で失礼いたします。わたくし、ヘッドハンターの〇〇と申しますーー

「ヘッドハンティング」は、言葉自体はよく知られていますが、実情があまり知られていない採用手段の一つです。

経営者や経営幹部など、いわゆるエグゼクティブ層を中心に利用されているヘッドハンティング。ですが昨今では30代の中堅社員の方にも声がかかり、他の企業に引き抜かれるケースが少なくないそうです。

ここでは、ヘッドハンティングの特徴や、他転職サービスとの違い。また、なぜいまヘッドハンティングが盛んに行われているか。そして、実際にヘッドハンティングを受けた際にはどのような点に気をつければよいのかなど、ヘッドハンティングを利用しての転職活動について、必要な知識をまとめてご紹介します。

1.なぜいまヘッドハンティングが注目されているのか

ヘッドハンティングがエグゼクティブ層だけでなく、中堅のミドル層にまで波及しているのには転職の市場動向が関係しています。

厚生労働省が発表している「一般職業紹介状況(平成30年2月分)」を参照すると、リーマンショックが起こった平成20年・21年を皮切りに、ほぼ右肩上がりで有効求人倍率が伸びていることがわかります。

有効求人倍率とは、「仕事の数」を「仕事をしたい人の数」で割ったものです。つまり、この倍率が高いことは、求人過多であり、求職者にとっては売り手市場であることを示しているのです。

このため、企業は求人を出しても優秀な人材を獲得しづらい状況が続いています。そこで活用されるのがヘッドハンティングサービスなのです。

2.ヘッドハンティングとは?

ヘッドハンターより

それでは改めて、ヘッドハンティングサービスの概要を解説していきます。

ヘッドハンティングの概要

ヘッドハンティングとは人材紹介サービスの一つで、ヘッドハンターという仲介者を経由しての転職活動を指します。

他のサービスと明確に違うのは、転職者が受動的な転職活動であるという点です。

転職者は、ヘッドハンターからスカウトされて転職を行うということになります。すなわち、転職者の中には転職を希望していない方も含まれるのです。

先ほども触れた通り、従来のヘッドハンティングは、経営層や、経営幹部など、いわゆるエグゼクティブ層を中心に行われていたリクルーティングでした。

しかし、企業が優秀な人材を取り合っている昨今の転職市場においては、幹部候補や中堅社員などのいわゆるミドル層にまで対象者が広がりつつあるのです。

企業がヘッドハンティングを利用する理由

ヘッドハンティングは他の転職サービスと違い、高コストな採用活動です。一般的にヘッドハンターへ依頼する時点で契約金が発生し、また、人材の獲得に応じて成果報酬も発生します。

企業がそこまでのコストを掛けてなおヘッドハンティングを利用するメリットはどこにあるのでしょうか。

一つは、転職市場に出回っていない潜在的な人材にアプローチを掛けることができる点が挙げられます。

現職で満足のいくパフォーマンスを発揮されている優秀な人材は、必ずしも転職を希望しているわけではありません。

そのような人材にアプローチを掛けるのは従来の採用活動(転職サイトへの出稿・エージェントサービスなど)では難しく、ヘッドハンティングに頼るほかないのです。

また、経営層を採用する際には、大々的に採用活動を行えないことがほとんどです。大企業ともなると、経営層の不在や交代は株価や従業員の転職などにも影響を及ぼしてしまう可能性があるためです。

内々で採用活動を行いたい場合も、ヘッドハンティングは有効な手段の一つなのです。

3.ヘッドハンティングと転職エージェントの違い

第三者が仲介に入る転職サービスには、ヘッドハンティングの他にも「転職エージェント」があります。

転職エージェントとは、転職者それぞれに仲介担当者であるエージェントが着き、転職活動をサポートしてくれるサービスです。

エージェントは求職者と企業の間に入り、より求職者に適した求人を紹介します。またそれだけでなく、書類の応募や面接の日程調節など転職活動で行わなければならない諸々のタスクを代行してくれるため、在職中の転職活動には特に価値を感じられるサービスとなるでしょう。

転職エージェントはヘッドハンティング同様に転職者と企業の仲介に入るサービスですが、最大の違いは転職者が能動的であるかどうかです。

先ほどもご紹介した通り、ヘッドハンティングは能動的に転職活動をしていない潜在層にアプローチを掛けることができるサービスです。

他方で転職エージェントは、転職者が自ら手を挙げて登録をし、その登録者に対してサポートを行うサービスです。

仲介者が企業に対して適切だと判断した求人を転職者に紹介する点は同じですが、「転職したい」と明確な意思を持った方にしかアプローチできないのが転職エージェントの弱みでもあります。

4.ヘッドハンティングを利用するためには

ヘッドハンティグ ポイント

ヘッドハンティングを利用するためには、ヘッドハンターから声がかかるのを待つことが正攻法です。

一つの企業で実績を出しつつ、良好な社内関係を築き上げる築き上げている方に声がかかるため、現職での業務に邁進するのがまずひとつでしょう。

また、知り合いづてにヘッドハンターを紹介してもらうのも一つの手です。ヘッドハンターを利用して転職をされた経験のある方が身近にいれば、そのときのヘッドハンターを紹介してもらう方法も考えられます。

とはいえ、これらの方法では必ずしもすべての方が見つけてもらえるわけではありません。とくに受動的に待ち続ける方法では、待てど暮らせど声がかからないことも十分あり得るでしょう。

そこで利用したいのが、ヘッドハンティング型の転職サービスです。

ヘッドハンティング型の転職サービスは、ヘッドハンティングと転職エージェントの中間的なサービスといえます。

登録自体は能動的に行いますが、登録時に提出する履歴書や職務経歴書を閲覧したヘッドハンターから声がかかるシステムのサービスです。

ヘッドハンターが確認する名簿に名を連ねることになるので、声をかけられる可能性は格段にアップします。

案件も通常の転職サイトに掲載されていない非公開求人が充実しており、ミドル層の転職でも十分活用できるでしょう。

ただし、ヘッドハンティング方の転職サービスは年収等登録の条件が厳しく、また、登録が有料のもサービスもあります。

やみくもに登録をするのではなく、自分のポジションと転職意向を踏まえた上で登録するのが適切です。

5.登録型ヘッドハンティングサービスをご紹介

ヘッドハンター

ここでは、代表的なヘッドハンティング型の転職サービスをご紹介します。

能動的なヘッドハンティングによる転職を希望される際は、これから紹介するサービスのいずれも登録することで、価値の高い求人に出会う可能性がより高まるでしょう。

BIZREACH(ビズリーチ)

テレビCMでもお馴染みのビズリーチは、国内でも有数のエグゼクティブ向けの会員制転職サービスです。管理職やグローバルな人材をターゲットとしており、良質な求人に応募することができます。

ビズリーチの特徴は、ヘッドハンターだけではなく、企業からの直接的なスカウトも望める点が挙げられます。

通常、ヘッドハンティング型の転職サービスでは、上記図の下段のように、ヘッドハンターを挟んでの転職活動になります。

しかしビズリーチでは、求職者の情報をデータベースに掲載することで、企業側が求職者に直接アプローチを掛けることが可能です。※もちろん、データベースは許可した採用企業側にのみ開放

登録の際に審査が必要で、かつ、積極的な転職活動のためには月額料金が発生します。それでもビズリーチ内のヘッドハンターや採用企業は独自の審査を経て在籍(掲載)されているので、それだけ求人の質は担保されているといえるでしょう。

>BIZREACH(ビズリーチ)の公式サイトはこちら

CAREER CARVER(キャリアカーバー)

CAREER CARVER

出典:CAREER CARVER

転職業界最大手のリクルートキャリアが運営するヘッドハンティング型転職サービズがCAREER CARVER(キャリアカーバー)です。

匿名でレジュメ(履歴書・職務経歴書等)を登録することで、ヘッドハンターからのスカウトを受けることができます。また、このレジュメは採用企業には見られることがないので、採用担当者を気にかけることなく、率直な内容を公開することができます。

100社800名以上のヘッドハンターがキャリアカーバーと契約を結び、企業と求職者の橋渡しをしています。自分一人の転職活動では決して見つけることができない優良な求人からのアプローチを待つことができるのです。

また、キャリアカーバーではヘッドハンターのプロフィールや、インタビューを一部掲載しています。ヘッドハンターに自信があるからこその掲載とも言えます。

ヘッドハンターとハイクラス求人のきっかけを作るために、キャリアに自信のある方はぜひ登録しておきたいサービスです。

>CAREERCARVER(キャリアカーバー)の公式サイトはこちら

6.ヘッドハンティングをされた際に注意すべきこと

注意点

ご紹介した登録型ヘッドハンティングサービスでは、母体となる企業が審査をしたヘッドハンターからのスカウトになるため、安心して転職をサポートしてもらうことができます。

しかし、個人からのスカウトがあった場合は必ずしも好条件であるとは限りません。評価されたことに気持ちを弾ませるのではなく、冷静にヘッドハンターと求人の内容を精査する必要があるのです。

ここでは、ヘッドハンターからのオファーを受けた際に注意して確認するべき項目をご紹介します。

注意点1:ヘッドハンターの信頼性

まず注意すべきは、アプローチを掛けてきたヘッドハンターが本当に信頼できる人物かどうかです。

残念なことですが、中には転職者を陥れる目的で詐欺まがいのアプローチを掛けてくる人物も、まれに存在します。

まずは、どのような経路で自分のもとへ辿り着いたのか。その流入元を明らかにすることが賢明でしょう。

具体的に誰かからの紹介かは教えてくれないケースもありますが、どういった企業を経由してあなたのことを知ったかについては教えてくれるはずです。

この際に、いずれかに提出した履歴書や職務経歴書から作れるような程度の説明では、あまりよい提案でない可能性が高いとみて警戒する必要があります。

注意点2:求人案件の条件・詳細

案件の内容についても細心の注意を払って確認する必要があります。注意して確認すべき項目としては、例えば以下が挙げられます。

1.雇用形態

多くの場合、正社員であることは前提です。その上で、「役員」などのポジションをオファーされた場合は、任期なども確認する必要があります。

中には任期満了で退任させられる場合もあります。役員の中でも、従業員に該当する「執行役員」などもあり、雇用形態については正確に確認するべきでしょう。

2.役職・ポジション

具体的な役職と、権限が及ぶ範囲。そして部下の人数まで。働いたあとのイメージが思い描けるように、役職やポジションについては具体的に確認するようにしましょう。

また、そのポジションで使える経費の予算なども予め確認しておくと、認識の齟齬をなくしつつ、採用の話を進めることができます。

3.給与・年収

給与額についても必ず確認しておく必要があります。ここでの給与額は月給だけでなく、ボーナスを含めた年収ベースの金額です。

また、ストックオプションなどによる給与以外の報酬や、福利厚生の内容など。お金にまつわることは移籍に関して最も大切なことの一つです。くれぐれも行き違いが無いように入念な確認を心がけましょう。

4.業務内容

具体的に、企業側が自分に何を求めているのかを知っておく必要があります。業務内容はもちろんのこと、求められている達成責任を、明確な数値と併せて確認しましょう。

同時に、転職するのであればいつから勤務になるのかもできるだけ早い段階で詰めておくようにしましょう。あまりにも急ぎの退職と移籍を求められる場合は、警戒する必要があります。

7.まとめ

ヘッドハンティグ ヘッドハンター

これまではエグゼクティブ層を中心に利用されてきたヘッドハンティングですが、良質な人材を獲得することが困難な昨今では、幅広いキャリアや年齢の人材がスカウトされるようになりつつあります。

ヘッドハンティングを利用しての転職は、たしかに高待遇の案件と出会える確率が高く、キャリアに一定の自信がある方は検討すべき転職方法です。

ただし、やや積極的に転職を希望している方は、ヘッドハンティング型の転職サービスに登録するなど、能動的な転職活動も求められるでしょう。

状況に応じて転職サービスも利用し、実際にスカウトされた場合には、舞い上がることなく冷静に対応できるように準備をしておくことが大切です。