スキルの習得や給与などの待遇など、仕事を続けていく中で伸ばしていきたい事柄がなんとなく伸び悩む時期があるかと思います。それは、自身の求めている仕事を追求するための「キャリアアップ」を行うタイミングなのかもしれません。
今回はキャリアアップに焦点を当て、そもそもキャリアアップとは何を指すのか、またどういったキャリアアップが望ましいのかなどについてご紹介していきます。
また、キャリアアップを目的とした転職では、“転職エージェント”と呼ばれるサービスの利用を推奨しています。その理由と、おすすめのエージェント会社も本稿に掲載しています。
目的や方針を予め決め、キャリアプランにもとづいたキャリアアップを行えるようにしましょう。
目次
1.キャリアアップとは
一般的にキャリアアップは、今よりも高次のスキルや技術・専門性を身に付け、より高い経歴を手に入れることを指します。とはいえキャリアアップが指し示す範囲は広く、この限りではありません。
人によっては、年収のアップや、ネームバリューのある大企業への転職もキャリアアップに該当します。そもそも契約社員である方は、正社員になることでキャリアアップを図る場合もあります。場合によっては同企業内で部署や役職が変わることもまた、キャリアアップと呼べるでしょう。
このように、人によってキャリアアップの示す意味は異なります。理想の働き方を考えていく上で、その理想に繋がるステップアップを広くキャリアアップと呼ぶのです。
人によってキャリアアップの意味が異なるのですから、キャリアアップを狙って転職などのアクションを起こす場合は、自分にとってのキャリアアップがなにを指しているのかについての明確な回答を持っていなければなりません。
自分の中でのキャリアアップ(キャリアプラン)が明確でないと、年収アップなどの分かりやすい条件につられて転職をしてしまうことがあります。これは、大変危険なことです。
給与が増えたのは良いものの、やりたい仕事とかけ離れていたり、あまりにも残業が多かったり……。これでは、決してキャリアアップとは呼べません。
こういった失敗がないように、キャリアアップをするためには、自分の求める働き方を知っておく必要があるのです。
【メモ】キャリアアップとキャリアチェンジとの違い
キャリアアップと混同されやすい言葉に、「キャリアチェンジ」があります。こちらは、主に異業種や別の業界への転職を指します。
キャリアアップは自身のキャリアの延長線上で、より良い状況に身をおくために行うものです。言葉は似ていますが意味は大きく異なりますので、注意しましょう。
2.キャリアアップ2つの方法
キャリアアップのためにはどういった方法があるのでしょうか。
すぐに思いつくのは転職をすることだと思います。もちろん転職は明確なキャリアアップ方法です。しかし、在職中の職場でキャリアアップを行うことも可能です。
既に大きな企業に勤めている場合、転職をすることは少なからずリスクを孕んでいます。転職するパターン、しないパターンのキャリアアップ方法を知っておき、自身にとってのベストな方法を考えていきましょう。
2-1.現職でのキャリアアップ
上でも触れましたが、既に大手の有名企業に勤めている場合は、やみくもに転職活動をすることが得策でない場合もあります。なぜなら、転職回数が多ければ多いほど、転職が難しくなっていくためです。
「スキルを拡張したい場合」「マネジメントを行いたい場合」など、転職をせずとも現職でキャリアアップが達成できることもあります。
現職の業務を行いながら、より専門的なスキルを習得していくことも、将来の働き方に繋がる立派なキャリアアップです。
マネジメントを行いたい、部署を変えたいなどの悩みは、まずは同僚や上司に相談をするなどし、現職でできる方法を模索することから始めるべきでしょう。
2-2.転職でのキャリアアップ
中小企業で部署の移動が難しい場合や、新たな業務にチャレンジしたいといった場合は転職でのキャリアアップが正攻法です。転職をすることで異業種での業務実績を積める可能性も広がっていきます。
しかしながら、キャリアアップのための転職には少なからず失敗の可能性があることに注意しなければなりません。一度キャリア構築を失敗してしまうと、軌道修正に年単位での時間がかかってしまうこともあるのです。
そうならないためにもキャリアアップの転職は慎重に行わなければなりません。自分にとって本当に必要な事柄(収入・スキル・役職・業務内容など)は何なのか。そして、5年先、10年先を考えた時に本当に必要な選択なのかを逆算して考える必要があります。
次の章では、キャリアアップの転職活動でやるべきことをまとめていきます。
3.キャリアアップ転職で失敗しないためにやるべき4つStep
キャリアアップ転職で失敗しないためには、どのような工程で転職活動を行っていくべきなのでしょうか。やるべきことを順を追ってご説明します。
Step1.キャリアプランの明確化
まずは自身のキャリアプランを明確にすることが必要です。
中長期的に目標を設定し、その目標に到達するまでの道筋を立てていきます。なりたい職業や働き方はどういったものか、また、その位置に到達するためには、どういったスキルや実績が必要なのかを逆算するのです。
最終目標としての長期的なゴールを設定し、そのゴールにもとづいた中期的な目標を設定するのが良いでしょう。長期的なゴールはビジョンとも言い換えることができ、自身の価値観や人生観を反映させたものになります。
例えば、「年収1000万を越えたい」や「5人家族を何不自由なく養いたい」、また「○人以上の企業で役員になりたい」など。ある程度漠然とした目標で良いでしょう。
中期的な目標は、5年、10年、20年スパンで、長期的な目標を達成するために何をすべきかを考えていくことになります。こちらは漠然としたものではなく、具体性が重要です。
年収1000万を目指すのであれば、「35歳までに年収600万円以上」「40歳までに750万円以上」「50歳までに900万円」など。また、役員を目指すのであれば、「35歳までにマネジメント経験を積む」「40歳までに部長に昇格する」などでしょうか。
中期的な目標を設定することで「では、今やるべきことは?」という短期的な目標に落とし込むことができるようになります。これにより、転職活動を行う指針を設けることができるのです。
Step2.第三者(専門家)への相談
自分のキャリアプランが明確に決まらない方も少なくありません。中長期的な目標が描けない方、また、設定したキャリアプランが実現可能なのかが明確でない方もおられるでしょう。
そこで、自分の考えたキャリアプランを第三者に相談し、客観的なアドバイスを貰うようにしましょう。自身では気付くことができなかったキャリアプランの誤りや、新たな可能性を指摘してもらえることがあります。
相談相手は自身と同業者であればなお良いですし、転職に関する専門家である方がさらに望ましいです。
ただし、気軽に相談できる転職の専門家が身近にいるというのは、なかなか珍しいケースでしょう。のちほど、この問題を解決すべく転職エージェントについて紹介していきます。
Step3.キャリアプランにもとづいた企業選定
キャリアプランが定まったら、プランにもとづいた企業の選定を行っていきます。
キャリアプランによっては、必ずしも大手の一部上場企業が目標であるとは言い切れません。人によってはマネジメントを担当させてもらえる中小企業や、海外経験を積める外資系企業、スキルを伸ばせるベンチャー企業も選択肢に入るでしょう。
また企業単位だけでなく、求人にでているポジション単位でも精査していく必要があります。同じ企業でも、マネジメントに携わっていくポジションなのか、はたまた専門性を突き詰めていくプレイヤーポジションなのかによって、キャリアプランは大きく異なるのです。
給与などの待遇面はもちろん重視すべきポイントですが、それよりも「その企業で何ができるか」「自分の将来にとってどのようにプラスなのか」を考え、長期的なキャリアアップのための企業選定であることを念頭に置くようにしましょう。
Step4.実際の転職活動
ここまで準備が整ったら、実際に転職活動を行っていきます。
面接では必ずと行っていいほど転職理由を聞かれます。面接官にキャリアアップでの転職を希望していることを伝えると、現職では達成できないのか、また、あなたにとってのキャリアアップとは何かなどを聞かれる可能性が非常に高いでしょう。
どうして現職で達成できないのか、また、現職で挑戦はしたが難しかったため転職に振り切ったなど、考えた上での転職であることをしっかり伝えられなければなりません。
またキャリアアップとはいえ、自身の持っているスキルで転職活動を行わなければなりません。転職先の企業としては“今現在持っているスキル”を重視するため、企業が求めているスキルや実績をアピールした上で、自身の目的を開示するのが得策です。
このように、キャリアップのための転職には相応のポイントがあります。「Step2.第三者(専門家)への相談」でも簡単に触れましたが、こういった技術を専門家に教わることで、転職の成功率は飛躍的に向上するのです。
続いては、転職エージェントというサービスと、このサービスを利用すべき理由までを解説していきます。
4.キャリアアップの転職で、転職エージェントを利用するべき3つの理由
転職エージェントとは、担当制の転職支援サービスです。エージェントと呼ばれる転職の専門家が、求職者と企業の間に入って転職活動全般をサポートしてくれます。
詳しいサポート内容やメリットについては以下の記事に譲り、ここではキャリアップの転職で転職エージェントを利用するメリットについて解説していきます。
理由1.プロ目線でのキャリアカウンセリングを受けられる
転職エージェントを利用すると、まず初めにキャリアカウンセリングという面談が行われます。この面談では現在の経歴や今後の人生設計をお伝えし、キャリアプランについてのアドバイスをもらうことができます。
このキャリアカウンセリングは、キャリアアップの転職でこそ真価を発揮します。
転職エージェントは転職の専門家です。専門家目線でのアドバイスをもらえるため、自分の設定したキャリアプランが正しいのかどうか、より良くするためにはどうすべきかなどを指摘してもらうことができます。
自分では価値のないと思っていたスキルも、転職市場では需要があるといったことも十分ありえます。自分の市場価値を客観的に把握する意味でも、このキャリアカウンセリングは有益なのです。
理由2.自分一人ではなかなか見つけられない求人案件に出会える
転職エージェントは、キャリアカウンセリングにもとづいた求人案件を紹介してくれます。そのため、あらかじめ自分の要望を踏まえた企業のみに接触することができるのです。
自分に合った企業を見つけるコストや無駄な企業の求人を読み込むコストなど、多くの時間を短縮し、最短ルートで自分が求めている求人を知ることができるのです。
加えて、多くの方はごく一部の企業しか知りません。大々的に広告を出している企業や、BtoCなどの直接顧客と接点のある企業に限定され、知っている企業から転職先を選定してしまうケースがほとんどです。
しかし、優良企業はBtoBであったり、やあまり広告を出していない企業にも潜んでいます。むしろ、知られていないからこそ倍率も低く、入社確度の高い企業もあるでしょう。
転職エージェントは豊富な企業知識をもとに、自分一人では知り得なかった企業情報を提供してくれます。
より多くの優良な求人案件に触れるためには、転職エージェントの利用はマストであると言えるのです。
理由3.転職活動全般のサポートを受けることができる
さきほどご紹介した関連記事「転職エージェントとは?失敗しない活用方法・メリット・選び方など」でも詳しく紹介していますが、転職エージェントを利用すると非常に多くの転職活動に関するサポートを受けることができます。
例えば、以下などが挙げられます。
- キャリアカウンセリング
- 自分に合った求人紹介
- 応募書類の添削
- 面接日などの日程調整
- 面接の対策・模擬面接
- 内定後の給与交渉、などなど
キャリアアップでの転職活動は、場合によっては今よりも条件が良い企業に挑戦することになります。採用の確度を少しでも底上げするために、受けられるサポートは余すことなく利用するのが得策でしょう。
5.キャリアアップにおすすめの転職エージェント会社
転職エージェントと一口にいっても、運営している企業は大規模なものでも100社を超えます。ポイントは、大手の転職エージェントに複数登録し、スキルが高い(熱意のある・相性がいい)エージェントを見つけることです。
ここでは、特におすすめの転職エージェント会社をご紹介します。上から順に登録し、相性の良いと思った転職エージェント2,3社を利用するのが良いでしょう。
※転職エージェントの詳しい使い方は、こちらの関連記事をご参照ください。
リクルートエージェント

出典:リクルートエージェント
業界最大手のリクルートエージェントは、転職実績No.1の転職エージェント会社です。求人数も最大規模であり、利用することでより良い求人に出会える可能性が高まるでしょう。
転職業界での知名度も高いため、多くの企業が求人を出しています。大企業からベンチャー企業まで、自分の希望に応じた豊富な提案をしてもらうことができるでしょう。
応募書類や面接対策も、過去実績に即した効果的なアドバイスを貰うことができます。企業ごとに異なる面接内容も、過去のデータをもとに想定問答を教えてくれるケースもあります。
一般の求人サイトで出回ることのない非公開求人も数多く取り扱っています。まず初めに登録すべき転職エージェントです。
DODA(エージェントサービス)

出典:DODA
人材紹介会社大手のパーソルキャリアが運営するのが、転職エージェント業界でリクルートを追うDODAです。
利用者からの評判も高く、「キャリアアドバイザーとの相性の良さ」や「経験を活かせる求人数」など、5つの分野で顧客満足度の高さを表彰された経歴を持ちます。
キャリアアップ転職のように、カウンセリングが大きな肝となる転職活動では積極的に利用したい転職エージェントの一つです。
また、DODAは転職エージェントサービスだけでなく、求人紹介サイトとしての機能も持っています。自分のペースで転職活動を進めたい方にとっても利用価値の高いサービスです。
type転職エージェント

出典:type転職エージェント
関東圏の転職であれば、type転職エージェントも利用しましょう。リクルートエージェント、DODAを追いかける規模の転職エージェント会社です。
ここまで紹介した2社に比べると、知名度でやや劣ることは否めません。しかしその分、一人のエージェントが担当する転職希望者数が少なく、手厚く丁寧なサポートが期待できるでしょう。
二人三脚で転職活動を乗り切りたい方にとって、最善の転職エージェントとなるかもしれません。
JACリクルートメント

出典:JACリクルートメント
外資系企業やハイキャリアの求人紹介に強いのがJACリクルートメントです。年収500万円を超えるミドル〜ハイキャリア層の方は、こちらのエージェントの利用をおすすめします。
求人サイトに掲載されない非公開求人の中でも、JACリクルートメントだけが保有している「独占案件」も少なくありません。
特に外資系の転職活動では真価を発揮します。エージェントの中にはネイティブの担当者も在籍しており、英文の応募書類や面接対策などをネイティブの視点で指摘してもらうことができるのです。
ただし、年収が一定以下だとサービスを断られる場合もあります。既にある程度のキャリア構築ができている方向けの転職エージェントであるといえるでしょう。
ビズリーチ

出典:ビズリーチ
スカウト制をとっているのがビズリーチです。管理職やグローバルな人材を対象としており、JAC同様にミドル〜ハイキャリア層向けの転職支援サービスです。
一般的な転職エージェントでは、エージェントが求人を紹介する仲介役を担っていますが、ビズリーチではデータベースに自身の経歴を掲載することで、企業やヘッドハンターから直接スカウトを受けることができるシステムになっています。
転職エージェントの中でも珍しい有料サービスですが、スカウトが来る企業やヘッドハンターは審査を通過した優良な案件ばかりです。
思ってもいない高待遇のキャリアアップが望めるとするなら、ビズリーチなのかもしれません。期間を区切った本気の転職活動を行う場合であれば十分利用が検討できるサービスでしょう。
6.キャリアアップの転職で、年収のアップは可能?
年収(待遇)だけにこだわるのは危険であると説明してきましたが、そうはいっても収入はキャリアアップの判断材料において、大きなウェイトを占めていることは否定できません。
結論から言えば、転職での年収アップは十分に可能であるといえます。
こちらのグラフを参照すると、30〜34歳では、平均にして13%以上、金額にして50万円以上もの年収アップに成功していることがわかります。
年収が全てではありませんが、転職によって年収のアップが可能であることは知っておき、キャリアアップ転職の優先順位の一つとして把握しておくと良いでしょう。
7.まとめ
転職ができたからといって、それが必ずしもポジティブなキャリア構築に繋がるかは定かではないのが、キャリアアップ転職の難しいポイントです。
自分自身で設計するキャリアプランにはどうしても限界があります。一般論だけではなく、最新の市場動向も踏まえた上で設計していくことが大切であり、専門家のアドバイスは絶対に取り入れたいところです。
漠然とした悩みや目標を転職エージェントに吐露することで、キャリアプランという形に再構築してくれる場合もあります。キャリアプランを考えること自体が、キャリアアップの第一歩となるのです。
キャリアアップについて考え、一人で考えるのに限界を感じた方は、次のステップとして転職エージェントを利用するのが最善の方法となるのではないでしょうか。