転職の目的の一つに、年収のアップがあります。

目的は人それぞれです。雇用形態や役職の向上、またはスキルを高めるためなど。必ずしも年収に限ったことではありません。

しかしながら、収入は生活水準に直結する問題です。他の目的があったとしても、あまりにも年収の水準が下がってしまうのであれば再検討も十分あり得るでしょう。

年収を上げる目的はもちろんのこと、他の目的があったとしても年収は下げずに、あわよくばアップさせつつ転職を成功させたい方が大多数だと思います。

今回の記事では転職で年収をアップさせるポイントをまとめました。年収のアップがどの程度現実的なのかを把握しつつ、転職に有利な「転職エージェント」というサービスを紹介していきます。

1.転職による年収アップの割合と傾向

年収アップ 転職

まず初めに、年収アップの実現可能性を探っていきたいと思います。

年収がアップする人の割合

転職によってどれだけの方が年収アップを達成しているのでしょうか。厚生労働省が発表している平成27年転職者実態調査の概況によると、以下のような結果となっています。

 性別 増加 減少 変わらない 不明
男性 38.0% 37.3% 23.0% 1.7%
女性 43.6% 34.5% 20.7%  1.2%

男性は増加と減少がちょうど半々であることがわかります。23.0%の変動なしの方も含めると、なんと60%以上の方が前職と同等か、それ以下の年収で転職をしていることになるのです。

このことから、転職によって必ずしも年収がアップするわけではなく、むしろアップするほうがレアケースであることが明らかになりました。特に、第二新卒では上がらないことが圧倒的に多いようです。

また、女性のほうが年収の増加率が高いのは、そもそもの平均年収が男性よりも低いことがあり、転職の際の条件に年収が下がらないことを提示している可能性が高いと推測できます。

年代別にデータを見ると、以下のようになります。

年代 増加 減少 変わらない 不明
20~24歳 43.6% 24.0% 26.7% 5.7%
25~29歳 47.1% 31.5% 20.5% 0.9%
30~34歳 44.4% 32.9% 22.2% 0.5%
35~39歳 43.3% 33.1% 22.2% 1.4%
40~44歳 43.7% 33.0% 21.8% 1.5%
45~49歳 36.2% 39.3% 23.7% 0.8%
50~54歳 33.9% 46.6% 18.4% 1.1%
55~59歳 28.4% 45.9% 25.2% 0.5%
60~64歳 18.4% 59.9% 20.2% 1.5%
65歳以上 29.2% 52.9% 14.9% 3.0%

女性も含んでいるデータではありますが、20〜44歳までの転職では増加傾向にあります。しっかりとキャリアを積み上げていけば、40代中盤までは転職による年収アップが可能であることがわかります。

ただし、年齢層が上がるにつれて減少する割合も増えているので、キャリア構築に成功した一部の方が増加傾向にあるというイメージをもってもらえればと思います。

それでは、実際に年収がアップした方の傾向を探っていきます。

転職で年収がップした方の傾向

人材紹介会社大手のDODAが発表した「年収アップ成功者に見る傾向と対策」を参照しつつ傾向を探っていきます。

業種別の平均金額アップ率

順位 業種 平均金額アップ率 平均アップ額
1位 専門商社 15.0% 62.9万円
1位 人材サービス/コールセンター
/アウトソーシング
15.0% 57.2万円
3位 金融 14.9% 58.3万円
4位 建設/プラント/不動産 14.6% 59.8万円
5位 総合商社 14.3% 55.4万円

業種別に見ると「専門商社」と「人材サービス/アウトソーシング/コールセンター」での給与アップ率(額)が高いことがわかります。

特に「専門商社」や3位の「金融」などは、そもそもの平均年収も高く設定されているので、大きなアップが実現しているものと推測されます。

職種別の平均年収アップ率

順位 職種 平均金額アップ率 平均アップ額
1位 金融関連専門職種 20.6% 92.6万円
2位 医療系専門職種
(医療/介護/福祉)
15.0% 67.6万円
3位 技術系職種
(建築/土木/プラント/設備)
14.9% 65.2万円
4位 営業職 14.7% 59.5万円
5位 技術系職種
(素材/化学/食品/その他)
14.2% 58.9万円

職種別に見ると金融や医療、技術系などの「専門性の高い」職種での年収アップが分かります。例外として、多くの企業で需要がある営業職も4位にランクインしています。

特に「金融関連専門職種」では平均で100万円近い年収アップがあり、2位を大きく離した結果となりました。金融系専門職の需要の高さが伺えます。

就業地別の平均年収アップ率

順位 都道府県 平均金額アップ率 平均アップ額
1位 静岡県 17.1% 71.5万円
2位 福岡県 15.8% 59.3万円
3位 北海道 15.6% 58.7万円
4位 千葉県 15.1% 61.5万円
5位 愛知県 14.4% 57.3万円

就業地別のデータを見てみると、年収がアップする転職先としては、関東以外の都心部や郊外に多いことがわかります。

都心から地方へ移住し仕事をするUターン・Iターン転職は、思いのほか年収がアップする傾向にあるのです。

2.転職で年収をアップさせる4つのポイント

年収アップ 転職

転職によって年収がアップする可能性、そしてアップした際の傾向を見てきました。このことを踏まえ、どのような転職活動を行えば年収をアップさせることができるのかを考えていきたいと思います。

ポイント1.年収水準が高い企業へ転職する

企業ごとに、年収の相場は異なります。極端な例ですが、新卒の年収が500万円の会社だとすると、たとえ中途未経験で入社したとしても500万円以下になるとは考えづらいのです。

この相場は「給与規定」と呼ばれ、各社に設定されています。この水準が高い企業へ転職することで、年収をアップさせる可能性がぐっと高まるのです。

賞与のある(高い)企業へ転職する

年収の水準は、賞与(ボーナス)の有無に大きく左右されます。

製品口コミ比較サイト「価格.com」の冬季ボーナスに関する調査によると、支給対象外であると回答した方が38.2%にものぼりました。

企業のうち、4割近くが賞与(ボーナス)を支給していないことを考えると、ボーナスを支給している企業に転職することで少なからず年収アップの可能性が高くなると考えられます。

インセンティブ制度のある企業へ転職する

ベンチャー企業や営業職にみられる制度として成果報酬型のいわゆるインセンティブ制度があります。大企業などで一律の給与体系のある企業からインセンティブ制度がある企業に転職することで、年収アップの可能性が生まれるのです。

また、大企業でも年功序列ではなく、実力を重視するベンチャーマインドが高い企業もあります。ただし、いずれも実力があってこそです。堅実に年数を重ねて昇給していきたい方もいると思うので、自身の働くスタイルと照らし合わせて考えることが大切でしょう。

ポイント2.企業の規模を変えることで年収アップ

一般的に同じ業種であれば、業界内のシェアが高い順に給与が高くなっていく傾向にあります。そのため、同業の中でもより大きな企業へ転職することで、年収のアップが望めるでしょう。

他方で、必ずしも大手への転職が年収アップへの正攻法ではないという考え方もあります。「ポイント1.年収水準が高い企業へ転職する」でもご紹介した通り、企業には年収の相場があります。

転職した際には同じ部署の社員の給与と照らし合わせて年収が決定する場合もあるため、昇給をベースとした大企業などでは給与規定にならう形で年収がダウンしてしまうこともあるのです。

給与体系がどのようになっているのかを予め確認した上で転職することが大切です。

ポイント3.福利厚生や諸手当で年収アップ

大手企業では福利厚生や諸手当が手厚く、その点を考慮した年収アップも考えられます。

例えば、家賃補助で考えてみます。月に2万円の家賃補助がある企業であれば、年間で実質24万円の年収アップとなります。また、残業代がみなしではなく分刻みで支払われる企業では、同じ労働時間でも給与が増加する可能性があるのです。

これらの手当はベンチャーや中小企業よりも、大手企業に整備されている事が多いのも事実です。年収をアップさせるためには、この点もしっかりと考慮する必要があります。

ポイント4.年収アップの根拠を伝える

年収アップを希望して転職をする場合は、その理由を企業側に伝えることが大切です。

企業側が、転職希望者のどこにメリットを感じて採用しようとしているのか。その価値を最大限にアピールすることができれば、年収アップの確度は高くなるといえるでしょう。

しかしながら、転職の“動機”が年収のアップであることを伝えるのは多くの場合ネガティブなイメージを持たれてしまいます。あくまでも転職後、成果を出したことに対する報酬であることを念頭に置き、年収の交渉をすることが大切です。

そうはいっても、年収アップの交渉は難度の高いことです。

採用の権限を持つ企業の人事担当者にお金について協議するのです。入社後の仕事のしやすさを考えると、どうしても切り出しづらい内容でしょう。さらに、年収の相場を踏まえた提案をする必要があるため、下調べも必要です。

そこで、転職のプロフェッショナルを代理人に立てましょう。「転職エージェント」という転職支援サービスを利用することで、代わりに年収アップの交渉を行ってもらうことができるのです。

3.転職エージェントを利用して転職での給与アップを狙う

年収アップ 転職

転職エージェントとは、担当制の転職支援サービスです。エージェントと呼ばれる転職の専門家が、マンツーマンで転職希望社をサポートしてくれます。また、利用は無料です。

サポートの内容は、具体的には以下などです。

  • 現在の市場価値やキャリアプランへのアドバイス
  • キャリアプランや希望に応じた求人の紹介
  • 履歴書や職務経歴書など、応募書類の添削
  • 面接内容のアドバイスや模擬面接の実施
  • 企業との面接日程の調整
  • 面接後に企業担当者へのフォローやプッシュ
  • 内定後の給与交渉、など

「内定後の給与交渉」を代理で行ってくれるため、自身に悪い印象を与えることなく給与アップを要求することができます。

エージェントは転職のプロフェッショナルであるため、同業種・同職種の適正な年収をもとに給与交渉を行ってくれます。自身で行うよりも、成功率が大きく向上するでしょう。

また、登録後は「現在の市場価値やキャリアプランへのアドバイス」からサポートが始まります。転職希望社のキャリアプランに応じて、給与アップを目的とした転職活動ではどのような企業を狙えばよいのかを提示してくれるのです。

より多くの企業を知るためにも、転職エージェントは利用するべきであるといえます。

それでは、具体的にどの転職エージェント会社を利用すべきでしょうか。実は、転職エージェント選びで大切なのは「会社」ではなく「個人」なのです。

転職エージェントは担当制なので、エージェント個人のスキルに左右されてしまうというデメリットがあります。

転職社数比較

そのため、複数の転職エージェントを利用するのが基本となります。転職求人サイト大手の「リクナビNEXT」の調査によると、エージェントを利用して転職を成功させた方の平均利用社数は4.2社にものぼるそうです。

とはいえ4社、5社すべてのエージェントと連絡をとりあうのはコストが掛かりすぎてしまいます。4社以上のエージェントに登録し、面接やメールでのやりとり踏まえ、一緒に転職活動を行っていくエージェントを選別するのです。

スキルや熱量が高いと感じた2〜3社に絞り、並行して利用していきます。以下に紹介するエージェントはいずれも登録し、相性の良いエージェントを選ぶようなイメージで利用しましょう。

3-1.マイナビエージェント

就職活動(新卒)の求人件数ナンバーワンのマイナビエージェントは、エージェント事業でも多くの実績を残しています。特に年収のアップに力を入れており、専用のページも用意されています。

保有する求人は、実に80%が非公開求人です。非公開求人とは一般的な転職サイトには掲載されていない、エージェントのみが紹介できる求人案件のことを指します。

接触できる求人数が多いことで、年収アップの確度が高い企業を選び抜いて選考を進めていくことができるでしょう。年収アップの転職ではまず利用したいエージェント会社です。

>マイナビエージェントの公式サイトはこちら

3-2.リクルートエージェント

求人数の多さといえば、業界最大手のリクルートエージェントも登録必須です。求人数、転職エージェント在籍数、そして転職実績など。圧倒的な実績を持つ大手のエージェント会社です。

これまで触れてきた通り、年収アップの方法の一つとして大手企業への転職があります。企業自体のブランド価値や信頼度も高いため、リクルートエージェントには大手企業も多くの求人を出しています。

豊富な実績に基づいた転職サポートが充実しているので、難度の高い大手企業での選考通過率も高まることが期待できます。

>リクルートエージェントの公式サイトはこちら

3-3.DODA(転職エージェント)

DODA

出典:DODA

リクルートに次ぐ規模のDODAは、利用者の満足度が高いことでも知られているエージェントです。「キャリアアドバイザーとの相性の良さ」「転職活動のノウハウが聞ける」など、5つのポイントで他のエージェント会社を抑え満足度No.1を獲得した実績があります。

求人数も非常に多く、大手企業から中小・ベンチャー企業まで。希望に応じて日々新たな求人を紹介してもらうことができるでしょう。

年収アップにはキャリアプランの設計が欠かせません。キャリアカウンセリングで今後のプランを相談し、自分の思い描くキャリアプランの実現可能性をアドバイスしてもらうことが期待できます。

>DODA(エージェントサービス)の公式サイトはこちら

3-4.JACリクルートメント

ミドル層〜ハイキャリア層の転職で利用したいのがJACリクルートメントです。年収が500万円を超える方の転職に強く、既に一定のキャリアが築けている方にはさらなる年収アップが望めるサービスとなるでしょう。

特に外資系企業の転職活動に注力しており、外資専任のエージェントも多数在籍して入ります。中にはネイティブのエージェントも在籍しているので、英文の応募書類や英語での面接対策も行うことが可能です。

外資系企業は、一般的に日系企業よりも年収が高い傾向にあります。もちろん外資以外の求人も紹介していますが、外資系企業にも興味がある方にとっては必ず登録したいエージェントとなるでしょう。

>JACリクルートメントの公式サイトはこちら

3-5.ビズリーチ

これまで紹介してきたエージェントサービスとはやや使い勝手が異なるビズリーチ。自分の経歴をデータベースに登録することで、エージェントのような役割を持つヘッドハンターと呼ばれる方や、企業の人事担当者から直接スカウトを受けられるシステムとなっています。

一般に公開されていない秘匿性の高い求人も多く、管理職などエグゼクティブ層に向けた求人に巡り合うことができます。もちろん、声がかかるのは実績のあることが条件になりますが。

人材紹介サービスには珍しく、有料の会員制サービスです。そのぶん、スカウトが来る企業や求人はビズリーチ側の審査を通過したものとなり、質も高いでしょう。

登録だけであれば無料なので、実績に自信のある方は試しに登録されてみてはいかがでしょうか。

>BIZREACH(ビズリーチ)の公式サイトはこちら

4.転職で年収がダウンする人の2つの特徴

年収アップ 転職

最後に、転職によって年収がダウンしてしまう方の特徴をお伝えしておきます。転職エージェントを利用する前に、今一度自身の転職理由・そして現状を鑑みるようにしましょう。

特徴その1.ネガティブな理由で短期間で転職をしてしまう

人材紹介会社DODAが発表した転職理由ランキング< 2017年4月~9月>によると、転職理由の上位5件は以下のようになります。

順位 転職理由 割合
1位 ほかにやりたい仕事がある 13.1%
2位 会社の将来性が不安 9.8%
3位 給与に不満がある 8.6%
4位 残業が多い/休日が少ない 6.7%
5位 専門知識・技術を習得したい 3.7%

「ほかにやりたい仕事がある」「専門知識・技術を習得したい」などは現状よりも良い環境を手に入れようとする、ポジティブな理由です。

他方で、「給与に不満がある」「残業が多い/休日が少ない」はネガティブな理由であり、いわゆる“逃げの転職”になってしまいます。

一度逃げの転職をしてしまうと、気になるポイントを見つけては再び転職をするようになってしまいます。完璧な会社はありません。いくらでも見つかってしまう自分にとっての欠点ばかりに目がいってしまい、転職を繰り返すハメになってしまうのです。

転職の回数は多ければ多いほど、転職の成功率を下げることになります。なかなか採用されないことで、条件を下げての転職になってしまいがちです。

年収がアップできるような環境での転職を行いたいのであれば、現状からの逃げではなく、キャリアアップに繋がるような転職をしていく必要があります。

特徴その2.自分の市場価値を知らず給与交渉を行わない

自身の市場価値を知らない方は少なくありません。特に一つの職場という狭い世界でキャリアを詰んできた方の中には、自身が思っている以上に価値をもっているケースもあります。

現職での年収が低いと、自分の適性年収を見誤ってしまうケースがあります。転職の際もその金額をベースに行うので、大きなアップが見込めないのです。

さらに自分の市場価値を理解していないので、適正年収も分かりません。そのため、転職の際に給与交渉も行わず、余り待遇が改善されないというケースが発生してしまいます。

転職エージェントを利用することでこの問題を回避することができます。転職エージェントとのカウンセリングで、市場価値を見極め、また適正年収での給与交渉を行うことができるのです。

5.まとめ

年収アップ 転職

年収アップを目的とした転職活動ですが、冒頭で触れたように実際に年収が上がるのは、男性で40%を切ります。しかし、この中には2通りのパターンがあると想定されます。

一つは、純粋に経験不足やキャリアプランが詰められていないことによる、条件を下げての転職です。これは回避しようがないので、現職で実績を積むか、転職後に改めてキャリア構築を行うしかありません。

そして、もう一つが「一時的に下がってしまうパターン」です。

現在年収が800万の方が、一時的に700万円に下がってしまったとしましょう。しかし、将来的なキャリア設計にもとづいた計画的な転職であれば、成果に応じて数年以内に1000万まで上げることも不可能ではありません。

一時的に900万に上がるが、その後なかなか昇給しづらい企業と比較すると、一時的に下がったとしても前者のほうが圧倒的にメリットのある転職なのです。

転職成功の明暗を分けるのは、キャリアプランが構築できているかに尽きるでしょう。年収アップの転職をする場合は、転職直後ではなく、5年後、10年を見据えた計画性のある転職活動が重要となります。