今以上に裁量を持って仕事をしたい人やモチベーションを高めて働きたい人が検討するのがキャリアアップではないでしょうか?
キャリアアップをするとこれまで以上に業務で求められるスキルと責任のレベルがあがる一方、給与面などの待遇が良くなります。
そのため、今任せられている業務を一通りこなせるようになるとキャリアアップを意識する人が多くなります。
この記事では、キャリアアップがキャリア構築においてどのような意味を持つのかを整理し、納得のいくキャリアアップを実現するために日頃の業務から意識しておきたいスキルや仕事への向き合い方を解説します。
目次
キャリアアップとは専門知識を深めて経歴を高めることを意味する
キャリアアップは日本語に直訳すると「経歴を高める」という言葉になりますが、どのような状態になるとキャリアアップしたと言えるのか曖昧な方も多いのではないでしょうか。
具体的には「専門知識やスキルを高めることで職務経歴を高める」状態がキャリアアップであり、大きく分けると以下の4つのケースに分類できます。
- 今任されている仕事で成果をあげる
- 昇進する
- 転職で活躍の幅を広げたり、給与をあげる
- 独立・起業
すると、「キャリアアップを目指して働いている」と言っても、人によって思い描いているケースはバラバラであることが多いです。
そのため、自分が仕事をしていくうえで達成したいことを明確にし、そのために何をすべきかは自分の頭で考えることが必要になります。
スキルアップとキャリアアップの違いは?
ちなみに、似たような言葉でスキルアップとキャリアアップの意味を混同する方もいらっしゃるのではないでしょうか。
スキルアップは、業務をこなす技術を資格取得や経験を積むことによって高めることを意味します。
社内でどのような経歴を積み、将来どう活躍したいかの道筋を描いたものがキャリアパスになりますが、これを実現するためには昇進昇格などのキャリアアップが必要になることが多く、キャリアアップのためには日々のスキルアップが欠かせない、という関係性が成り立ちます。
20代と30代では「キャリアアップ」で重視されるスキルが異なる
若手も中堅もキャリアアップを意識する場面は複数あると思います。
実は、年代によってキャリアアップ時に期待されることは異なってきます。
キャリアアップを目指す場合、年代ごとにどのようなことに意識しておくべきか、汎用性のある視点から紹介します。
20代のキャリアアップはビジネスの基礎体力が求められる
20代はまだ経験も浅く、専門性という面で見てもまだ不十分であることが多いです。
一般的にキャリアアップは自身のスキル向上や専門性を深ることによって実現するため、若手は違ったアプローチからキャリアアップを考える必要があります。
その時に重視されることがビジネスの基礎体力を兼ね揃えているか、ということです。
ビジネスの基礎体力とは業務を遂行するうえで必要になる観察力・思考力・行動力などを指します。
何事も基礎を怠らずに固めることで成長や成果に繋がりますよね。仕事も同じで、ビジネスの基礎体力をいかに着実に身につけているかどうかによって成果を生み出せる人材になるかどうかが決まります。つまり、ポテンシャルをどれだけ広がるかは基礎体力次第なのです。
20代のキャリアアップはポテンシャルが評価されることによって実現するケースが多いです。
日々の業務で腐らず、できることを着実にこなしていくようにしましょう。
30代のキャリアアップはビジネスの再現性が求められる
30代でキャリアアップを実現するためには、それまで培ってきたビジネスの基礎体力に合わせて立ち回り方を変えていく必要があります。
若手の頃に出遅れてビジネスの基礎体力が足りていない人の場合は、苦手な部分を補強することが何よりも先に求められますし、若手の頃にプレイヤーとして武器となるスキルを身につけたのであれば、それを生かしつつマネジメントも視野に入れる必要があります。
また、30代の場合はこれまでの経験を生かし、担当する業務において達成したいゴールを明確にし、そこにいたるまでの道筋を自分で考え、行動する力が必要になります。
このように、状況に合わせて臨機応変に戦略や行動を決め、実践していくことを再現性と呼びます。30代は基礎体力に+αして応用しやりアレンジを加えてビジネスを進めることがキャリアアップするために必要な力となります。
キャリアアップを実現させる人が共通して持っているスキルとは?
一人一人が成し遂げたいキャリアパスに応じて、目指すべきキャリアアップも異なってくるため、キャリアアップを実現するためにすべきことは、基本的に自分で考える必要があります。
しかし、目指すゴールが異なっていても、キャリアアップを成し遂げられた人が持つスキルには共通しているものがあります。
それは、キャリアアップ実現に向けた道筋を自分で用意し、着実にこなしていく力を持っているということです。
この力は4つのスキルに分解することができるでしょう。一つずつ詳しく見ていきましょう。
戦略的に将来を見通し、実行プランを設計できるスキル
まずは先を見据えて行動できるかどうか、という点が挙げられます。
行き当たりばったりで過ごす人と、明確なゴールを決め、そこに向けて努力をしながら過ごす人の間に圧倒的な実力差が生まれるのは火を見るよりも明らかです。
人間が想像できることは人間が実現できる、という有名な言葉もある通り、人には「自分が思い描いたものを実現する力」があります。
長期的な視点でキャリアパスを描き、数年後に自分がどのように活躍したいかを思い浮かべる時にも、「実現する力」は働きます。しかし、思い浮かべるだけではまだ不安定です。
絶対に実現させたい!と思う人は必ず戦略を立てて実現するための道筋を可視化します。そうすることで漠然と思い浮かべていたプランでは足りていない要素や見落としに気づくことができ、具体的なアクションプランを策定・落とし込むことで「実現する力」の精度を向上させることができるのです。
自分を深く掘り下げて分析するスキル
先ほどお話しした戦略設計ですが、真面目に向き合えば向き合うほど自己分析能力も必要になります。
そもそも自分は仕事に対してどのような志向性を持っているのか、どんな時にやりがいを感じるのか、自分が幸せに感じるのはどんな瞬間なのか、など自分自身のことを理解していないとキャリアという観点から自分の将来のゴールを掲げることは難しいでしょう。
本来、キャリアアップは達成することによって充実感や喜び、さらなる意欲の促進に繋がります。
しかし、自分自身を正しく理解できずに設定したゴールだと、キャリアアップに成功しても仕事に対するやる気が上がらなかったり、物足りなさを感じる恐れがあります。
自分一人でもいいですし友人や信頼できる人の力を借りても良いので、自己分析の時間を十分に取り、あなたという人間像や仕事観、私生活での価値観などを深く掘り下げてみましょう。
自分のことが理解できれば自ずと目指したい未来が漠然としているかもしれませんが見えてきます。
そして、その未来に憧れやワクワク感を抱くことが戦略設計の意欲を高めることにリンクしているのです。
モチベーションを上手にコントロールするスキル
キャリアアップに向けた完璧な戦略を完成させ、いざそれに則ってアクションを取ろうとすると、戦略を立てていた時には想定していなかった壁にぶつかる場面が必ず生じます。
特に、自分が掲げた目標と今の自分のスキルに乖離があればあるほど途中で挫折したり諦めてしまいそうになる可能性が高くなるでしょう。
しかし、キャリアアップを実現できるか否かはこの困難をいかに乗り越えるかにかかってきます。
少し挫けてしまった、予想外のトラブルによって思い通りに物事が進まなくなってしまったからといって投げ出してしまってはキャリアアップは難しいでしょう。
一方で、問題に直面してストレスや疲れ、悩みを抱えている状態にも関わらず、それを解消しないまま無理に頑張り続けることもよくありません。心身の健康を害する恐れがあるからです。
ここで求められるのはモチベーションを上手にコントロールするスキルです。
自分の今の能力では簡単に解決できなさそうな壁にぶつかった時、その状況をどのように捉えれば前向きに頑張れそうか?逆に、疲れてしまった時はどんな息抜きをするとリカバリーできるのか。仕事をする上でストレスに感じるのはどんな時なのか。
案外このように問われると言語化できない人も多くいます。それはすごくもったいないことです。
まずは自分のモチベーションが上がる要因、下がる要因を理解しましょう。
そうすることでモチベーションを自分でコントロールすることができます。
キャリアアップは日々の着実な努力の積み重ねによって実現できるものです。
周囲の目を引くような派手なアクションを起こす必要はないのです。
最も大事なのはいかに自分のモチベーションを維持し、日々継続的に挑戦し続けることです。
ちなみに、このスキルはキャリアアップに限らず、何かを成し遂げたい時に非常に役に立つスキルとなるので身につけて損することは絶対にありません。
周囲の人間を巻き込み、マネジメントするスキル
これまで紹介してきたスキルは自分の内面的な部分に関わるものでした。
仕事においては自分一人だけで成し遂げられることは限られてきます。同僚や上司はもちろん、多くのステークホルダーが動くことではじめて数字を動かしたり目に見える形で成果をあげることができます。
そのため、先述のスキルを手に入れ、キャリアアップに必要な素地を身につけたら最後は周囲を人間を動かすスキルが必要になります。周囲の人たちと連携を図り、動いてもらえるような関係構築やマネジメント力があるとチャレンジングな案件であったとしても必ず結果を残すことができ、それは人事評価や周囲からの信頼といった形でプラスに作用するでしょう。
キャリアアップ実現のために、明日から取り組めることは何か
ここまでキャリアアップを実現できる人に共通しているスキルを解説しました。
どれも特別難しいことではありませんが、それらを確実に自分のモノにするためには「習慣」を通して無意識のうちにスキルを育てるような環境を作ることが必要になります。
ここではキャリアアップを成功させるスキルを身につけるために、明日から実践できる考え方や行動の具体例を紹介します。
わからないことがあればすぐに「教えてください」と尋ねる
キャリアアップのためには自分の視野を広げることが大事になります。
視野が広がればそれだけ将来の戦略設計もより詳細でリアリティあるものを作り込むことができます。
視野を広げるためには「自分には知らないことがたくさんある」ということを自覚し、未知なるものに触れていく姿勢が重要になります。
これは仕事でも同様です。しかし、業務を進めるにあたって不明点があっても一人で抱え込もうとしたり、すでに知っている方法でなんとか対応できないか動こうとしたことはありませんか?
実際、「分からないことがある=恥ずかしい」と考えている方は少なくありません。
ですが、知らないことを質問しないまま過ごしてしまうと自分の知っている範囲でしか物を考えたり話すことができなくなり、長期的な視点で見ると視野が狭くなるといえます。
一瞬の恥のせいで将来の視野を狭めるようなことは非常にもったいないでしょう。
自分の専門領域はもちろん、本来であればカバーする必要のない分野であっても気になることや知らないことがあれば「教えてください」と積極的に聞くようにしましょう。
自分の頭で考えることを放棄して何でもかんでも質問をすることは良くないですが、学ぼうとする姿勢による質問であれば喜んで教えてくれる方が多いでしょう。
日記やブログを書いて思考をアウトプットする
自分を深く知り、分析するスキルを日常的に培えるのが日記やブログの執筆になります。
日頃自分が思っていること、感じたことを文章に記すことは思考の整理になりますし、(どうして自分はその時にこう感じたのか)という感情の動きや思考の変遷を論理的に説明しようとすることは自己の深掘りにつながります。
また、書いた内容を期間をあけてから読むことで客観的な視点から当時の自分を振り返ることができます。
自分の思考パターンや行動の傾向を掴むことで、これまでの出来事に対してなぜ自分がそのように感じた・行動したのかといった原因の分析や、今後似たような状況が起きたらこのように動けばいいといった次に繋がる教訓を得られます。
一度書いた文章は残る形で蓄積されるため、非常に価値のある財産となります。
忙しくても週に1回、分量は少なくても構わないため自分の言葉でアウトプットする習慣をつけると良いでしょう。
「ほんの少しの冒険」に毎日挑戦してみる
毎日決まりきったことばかりをこなしていると、刺激も新たな学びがないため、日々を「消費」して過ごすようになってしまいます。そこには成長のチャンスはありません。
スキルアップには成長が不可欠です。それは必ずしも仕事面での成長ばかりではありません。余暇を楽しむ方法を新たに見つけたり、今まで勇気がなくてできなかったことに挑戦してみるといった強い好奇心は人間としての深みを生み出しますし、それらは巡り巡っていずれ仕事でも生きてきます。
「昨日よりも今日の自分の方が新しいことを知っている・できることが増えた」と言えるような毎日を送ることで、それは将来的に大きな成長に繋がっています。
具体的には
- 苦手意識がありなんとなく避けてきた業務を自ら手を上げて挑戦してみる
- いつもより早起きして、いつもとは違う通勤ルートで出勤してみる
- 退勤後にずっと前から気になっていたバーに一人で立ち寄ってみる
などのアクションが考えられます。少し頑張ればクリアできそうなレベルの冒険をこなしていくことで成功体験を積むことができ、自信につながります。
「自分が納得できるかどうか」を判断基準にして行動する
モチベーションを維持して日々の業務に当たることがスキルアップでは欠かせないと先述しましたが、仕事においてモチベーションを下げる要因の一つに
- 正しいと思えない仕事をする
- 納得のいかない仕事をする
というものが考えられます。
全ての仕事が理屈に沿って「正しい/誤っている」と判断できれば良いのですが、実際は良心や感情面でしか判断できないケースもあります。
この時に自分の頭で考え、「自分はこれが正しいと思う」と納得した上で行動できないとやる気は急激に下がるでしょう。
上司や現場の判断に従わなければいけない場面はどうしてもありますが、「言われたから仕方なくやる」という状態ではモチベーションの維持は難しいです。
常に自分の中の判断軸を持っておき、いざという時に自信を持って行動に移せるようにしておくことで自身のすべきことを見失わずに済みます。
周囲の人の強みや良いところを学び、褒めるために人間観察をする
仕事で関わる人と良好な人間関係を築くためには、お互いのことを理解するためのコミュニケーションが必要です。
そこでおすすめなのが「積極的に褒める」ことでコミュニケーションを増やす方法です。
褒められて嫌な気分になる人はいませんし、自分が褒めたことをきっかけに相手の自信につながることもあります。
ここでおさえておきたいことが「人を褒めることは相手のことをよく知っていないとできない」ということです。
例えば、誰にでも当てはまるようなことでむやみやたらに褒められると「リップサービスの多い人なんだな」と思いませんか?
口が上手いだけであんまり信頼できない、とマイナスな印象を与えてしまう恐れもあるためただ褒めればいいといわけではないのです。
嬉しい気持ちにさせる褒め方ができる人は「この人は自分のことをよく見てくれているんだ」ということが相手に伝わるような褒め方をしています。
相手のことをよく知るためには相手が仕事で特に頑張っていることは何か、他の人にはない強みは何かを観察するところから始まります。
他人の良いところを探すことは、自分に足りない要素を知るきっかけにもなります。
周囲の人たちから学べることがあれば吸収し、お互いを伸ばし合えるような関係の構築をすることが理想的ですね。
転職し、環境を最適化させることはキャリアアップ実現の有効な手段に
これまで紹介してきたことを意識して働いていたとしても、キャリアアップの実現が難しいと感じるケースもあるのではないでしょうか。
なかでも、今在籍している会社の業務方針と自分が本当にやりたい方向性がズレてきた、自分の目指す職種のポジションに年配の社員がずっと居座っている、会社の業績不調など、「このままこの会社で働き続けて大丈夫なのだろうか」と不安を感じるケースが多いと考えられます。
基本的にキャリアアップを目指す際の障害は周囲や環境のせいにせず、内省を通してネクストアクションを決めることが重要になります。
しかし、上述のような理由の場合は自分一人ではどうしようもない問題になってくるため、「転職をし、キャリアアップに専念できる環境に身を投じる」といった選択肢が有効です。
また、スキルや経験によっては社内で昇進昇格を目指すよりも、転職をした方がスピーディーかつ給与も分かりやすく上がることでキャリアアップを達成できる可能性もあります。
業界差はありますが、昔と比較して若いうちから転職をすることは珍しくなくなってきています。
そのため、自身のキャリア形成を考えた結果として転職が最善であると思った場合、納得感のある転職理由を説明した上で積極的に自分をアピールするようにしましょう。
このように、社内にとらわれず、広い視野を持つことでキャリアップ実現のための近道やヒントを得られることがあるので覚えておきましょう。
まとめ|自分が納得いくキャリアを描くことが継続的な努力につながる
以上、キャリアアップを実現するために必要なスキルや実践したいアクションについて紹介しました。
記事内で繰り返している通り、キャリアアップは一朝一夕の努力で実現できるものではありません。
長期的な視点で計画を立て、常に目的意識を持ちながら努力することが重要になります。
努力をし続けることは簡単にできることではありませんが、「このキャリアアップを達成することが自分にとって必ずプラスになる」と納得感を持つことができるキャリアを描けていればモチベーションを保つことができます。
目先の給与や待遇にとらわれたキャリアアップを目指してしまうとその後のキャリアパスを描く時に苦労する恐れがあります。
やりがいを感じられる仕事
充実感のある毎日
につながるようなキャリアアップを目指しましょう。